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オムロン株式会社は制御機器、電子部品などを中心に国内外で幅広くビジネスを展開する大手メーカーである。また一般ユーザー向けには健康機器メーカーとしても幅広く知られている。
2009年3月21日付けでそれまでの事業開発本部周辺機器事業部と関連会社であるオムロン直方株式会社が統合され、新組織となる「電子機器事業本部」が発足した。電子機器事業本部は周辺機器や組込用PCを開発している部署である。顧客への供給はもちろんのこと、オムロングループ内の各カンパニーへも製品を供給することにより全社に貢献している。
オムロンの周辺機器事業は1986年から23年の歴史があり、古くはモデムなどの通信機器、近年は無停電電源装置(UPS)に強みを発揮している。オムロンのUPSは産業機器市場で培われた品質をベースに様々なニーズに対応した幅広い品揃えを強みとしている。また、ハードウェア性能だけでなく、管理用のソフトウェア「PowerAct Pro」もユーザーの要望に応じてバージョンアップを重ねている。
今回は「PowerAct Pro」とロジテックNASの動作検証にご協力いただいた電子機器事業本部長 筒井哲志氏、企画開発課長 大河内正裕氏、企画開発課 吉川哲生氏、営業4課 石川治氏の4氏にお話を伺った。 |

UPSは停電などのアクシデントにより電源供給が絶たれた場合に、内蔵されたバッテリによって電力を供給する装置である。サーバやパソコンは正式な手順で終了しないと障害が起こる可能性がある。しかし不意の電源断があれば強制終了されてしまう。そんな時にUPSがあれば機器やデータの保護が可能になる。
UPSが電源を供給できる時間にも限りがある。電源断が長時間にわたる場合はUPSから電源供給している間に接続された機器をシャットダウンしなければならない。その作業を自動化するソフトが「PowerAct Pro」である。
「PowerAct Pro」は親となる「Master Agent」と子となる「Slave Agent」からなる。サーバとなる機器にMaster Agentをインストールし、その他の機器にはSlaveAgentをインストールしておく。電源断が発生するとUPSからMaster Agentにシャットダウン命令を通知する。Master Agentは各Slave Agentにシャットダウン命令を発し、接続された機器が全てシャットダウンされる仕組みである。
「オムロンがパテントを持つ」(大河内氏)「PowerAct Pro」独自の機能として、出力コンセント制御がある。接続された機器のON/OFFのタイミングをずらすことができる機能だ。ネットワークハブの電源をONしてから、外付けストレージの電源をON。その後サーバの電源をON、というように順番に電源が制御できる。順番を間違うと正常に稼働しない機器があるため有用な機能である。 |

Master AgentはWindowsおよびLinux対応版が用意されている。Slave AgentはWindows、MacOS、Linux、UNIXといった「代表的なOSに全て対応できた」(大河内氏)。様々な機器を正しくシャットダウンできる。
またSlave Agentがインストールできない機器でもコマンドラインによるシャットダウンを実現する「スクリプトシャットダウン」機能もある。
このように多機能な「PowerAct Pro」だが、誰でも簡単に使えるようインターフェイスも工夫されている。バージョンアップでウェブブラウザ上での操作がメインになり「使い勝手を大幅に改善」(吉川氏)できたという。
ブラウザ上でのインターフェイスを採用することで、複数のOSが混在するネットワークでも操作が統一できるからだ。 |

エネルギーである電源を管理するソフトとして「PowerActPro」はCO2排出量を測定できる機能を持っている。UPSに接続された機器が使用した電力量と、排出したCO2量が記録される。使用電力量も合わせて記録されるため、電力コストの監視という意味でも有効な機能だ。
「PowerAct Pro」のスケジュール運転機能と組み合わせれば、夜間・休日の機器稼働を停止させることによりCO2と電力コストの削減が可能になる。 |

従来からロジテックのNAS製品はオムロンUPSの動作確認済み機器として扱われていた。さらに今回はWindows Storage Server(WSS)を搭載したNASのため、「PowerAct Pro」との連携により高度な動作ができるようになった。
UPSとNASを1対1で接続するときにはMaster Agent、別にMaster Agentがインストールされたサーバを持つネットワークの場合はSlave Agentをインストールして使うことができる。
独自のOSを使ったNASは「PowerAct Pro」がそのままではインストールできないため、1対1の構成だと電源管理ができない。
ロジテックのNAS製品は「WSS搭載機種の品揃えが豊富なので、お客様の用途に応じて選ぶことができる」と評価をいただいた。 |

またWSSならではのメリットとしてハイバネーション(休止状態)が使えるという点がある。時間のかかるバックアップ中に停電が起これば、休止状態ができないOSではシャットダウンせざるを得ず、それまでバックアップした内容が失われてしまう可能性がある。
しかしWSSと「PowerAct Pro」の組み合わせなら、停電が起こった場合に休止状態にできる。電力が復旧すれば休止状態から復帰させることができ、それまでの続きからバックアップが再開できる。時間や手間が大幅に削減できるのである。 |

RAIDで冗長化されたNASも電源に障害が起こればデータを保持できなくなる。大切なデータを守るためにはNAS本体の障害だけでなく、その周りの環境まで考えなければならない。障害の可能性を無視できない電源をバックアップするUPSはNASの強い味方だ。
オムロンのUPSは豊富なラインナップでユーザーのネットワーク構成に合わせた製品が選べる。「PowerAct Pro」付属のUPSであれば、ロジテックのNASと組み合わせることでより安全にデータを守るソリューションを提案できそうだ。
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オムロン株式会社
http://www.omron.co.jp/
設立:1948年5月19日
代表取締役社長:作田 久男
創業以来、人や社会を便利に快適にするためには何が必要かを考え、さまざまな事業を展開。オムロン独自のコアコンピタンスである「センシング&コントロール」を通じて、各種製品をつくりだす生産の場や、人々が暮らす街や働く場、そして健康を維持増進する家庭や病院などで、常に新しい価値を創造し、時代を切り開くソリューションを提供している。 |
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