2018年に
デビュー30周年を迎える
『SING LIKE TALKING』。
ボーカルとしてバンドを
牽引し続ける
『佐藤竹善』
スペシャルインタビュー。

ミュージシャンとしての音楽活動のみならず、
その深い造詣によって洋楽の伝道師、
邦楽ポップ&ロックの生き字引としての側面も持つ
佐藤竹善さんに、
エレコム製のBluetooth®イヤホンや、
ハイレゾ対応イヤホンについて語っていただきました。

インタビュー視聴イヤホンLBT-HPC40 / LBT-HPC50 /
EHP-CH2010 / EHP-SH1000 / EHP-RH2000 /
EHP-GB1000 / EHP-HH1000

「楽器まわりの空気感まで
伝わってきます。」

「楽器まわりの空気感まで伝わってきます。」「楽器まわりの空気感まで伝わってきます。」
Bluetooth®対応のイヤホンは
普段から使用されていますか?

いや、しないですね。今回がはじめてに近いです。
実際に聴いてみた感想を
聞かせてください。
Bluetooth®イヤホンが出始めの頃にちょろっと聴いたときは音域的に
ギリギリ飛ばせるものだけを飛ばしている感があったんですけど、
今これで聴いてみると進化していますね。
特に楽器まわりの空気感は有線に近いくらいのものを感じます。
HPC40とHPC50で、
違いは感じられましたか?

大きく違いますね。HPC50は音楽的な迫力というよりはそれぞれの楽器が均等にバランス良く、
入っているものをしっかり聴かせようとしている感じで、
どちらかというとモニターイヤホンのような印象でした。
では、HPC40は?
HPC40は非常に音楽的というか、
楽器まわりの空間や細かな部分も非常によく聴こえつつアナログ的な空気感も漂っていて、
普段聴くぶんにはこちらの方が疲れないんじゃないかなと思います。
ただ、ボトムが非常にブーストされているので、その辺は若者向けなんだと感じました。
色付けがされている印象が
ありましたか?
最近の流行りなんだと思いますが、実際のレコードのバランスと比べるとドラムやベースがブーストされているので、
オリジナルの印象とは違うかもしれません。だけど逆に言うと、
ボトムが弱い昔の歌謡曲とか古いジャズ音源とかを聴くには持ち上げられていいかなと思います。
他に違いはあったでしょうか。
音の温かみはHPC40の方が圧倒的にありましたね。
HPC50はどちらかというとデジタル感が強くて、非常にソリッドにそれぞれの音が届いてくる感じです。
それぞれ、相性の良い
音楽ジャンルは何でしょうか?
HPC40は、パワーだったり激しさだったり、熱情を味わうものにいいと思います。
HPC50は、音圧で押すような激しい音楽というより、アコースティックなものだったり、
全体の印象がシンプルなものが良いんじゃないかなと思います。

ご自身は、
どちらが好みでしたか?
どちらかといえばHPC40ですね。
ただ、僕だったらイコライザーでブーストをもっと下げちゃいます。
これは人それぞれだし、音楽の楽しみ方によるんですけど。
僕の場合はレコーディングでどういうバランスで
その音にしたのかっていうところまで聴きたいので、
イヤホンやスピーカーで改めて音が作り込まれるのは苦手なんです。
ミュージシャンの
意図した音をそのまま
聴きたいということでしょうか。
そうですね。音楽的な分離は感じられるけど、
モニタースピーカーのような分離ではなくて、
ある程度のアンサンブルも楽しめるようなナチュラルなもの。
上から下までの帯域が本来どのようにレコーディングされているのかっていうのも
アーティストの意図なので、そこまで聴けるものがいいですね。
ただ、それはあくまでも僕の場合です。音楽の楽しみ方はいっぱいあるので、
まずは迫力を楽しみたい10代とかはそういうものから入っていいと思いますし、
年齢を重ねて音楽的な部分に興味を持てば自然と違う楽しみ方もするだろうから、
イヤホン選びは自分の好みでいいんだと思います。

「スタジオで録ろうとした音が
そのまま聴こえます!」

「スタジオで録ろうとした音がそのまま聴こえます!」「スタジオで録ろうとした音がそのまま聴こえます!」
続いて、ハイレゾ対応イヤホンを
聴いていただきましたが、
CH2010はどのような印象ですか?

これはもう完璧です。凄いですね!
聴いていただいた楽曲は?
Steely Danの「Babylon Sisters」とQueenの「Killer Queen」。
僕のオーケストラのアルバム「CORNERSTONES 6」の「Story Of My Life」です。
※すべてハイレゾ音源
視聴してすぐに「なるほど!」と
頷かれていましたね。
はい。ハイレゾ自体の音も凄いんだと思いますけど、なにより音のバランスが素晴らしい。
ちゃんとメンテナンスされたレコーディングスタジオで聴く音と同じです。

ミュージシャンがスタジオで
聴いている音と同じですか?
そうですね。僕らはLPもCDもMDも全部経験してきた世代なんですけど、
やっぱり作品になった時にスタジオで聴いた理想的な音は再現しきれないんですよ。
でもハイレゾだと限りなく近いですよね。ダイナミックスの部分を除いて語れば
アナログ・レコードには敵わないんでしょうけど、それでも凄いです。
音の解像度が高いという
印象ですか?
そこで録られた音、録ろうとした音がそのまま聴こえます。
それは、ミュージシャンが
意図した音が聴こえると
いうことでしょうか。
はい。それこそスタジオでトラックダウンをするときは、
例えばドラムの音ひとつとっても0.5db上げるか0.75db上げるかだけでも
喧々諤々やるんですよ。上げたら上げたでEQもいじったり、細かな作業を
ひたすらやって、理想的な音とバランスを狙いつつ、元々の音の良さや楽器の
質感というのも失わないように。そうやって作った音がそのまま聴こえますね。
他のハイレゾ対応
イヤホンはいかがでしょうか?

SH1000はモニター的ですよね。さっきのHPC50に近くて、輪郭重視というか。
ハイレゾなのに輪郭系の傾向が強いので、人によってはちょっと疲れるかもしれない。
ここまで音が良くて、音の輪郭がガチっとしていると多分ちょっと疲れるかな…。
短期集中用にした方が良い?

というか、隅々までチェックしたい人用ですね。
潜水艦のソナーとか聴くひとだったらいいかも(笑)。
なるほど(笑)

RH2000はCH2010とSH1000の中間みたいな感じですね。
音楽的な広がりとか深みとか、楽器の輪郭とかも少し再現が可能になっています。
GB1000やHH1000も聴きましたが、やっぱりCH2010が一番ですね。
それはやはり音源に
忠実という点で?

音質とバランスに忠実ですね。音って、それぞれの楽器の元々鳴っている音だけじゃなくて、
鳴っている音のまわりに空気というか“鳴っていない音”っていうのもあるんですよ。
エンジニアとも話したりするんですけど、究極的には、
レコードやハイレゾではその空気感も拾って聴かせることができる。
ハイレゾだからこその
良さでもありますね。
空気感があるから、その音が「ドゥ」なのか「ドォッ」なのかの違いになって
聴こえるんですよね。実は音色が同じでも空気感があることで音色が違って聴こえて、
それがそのスピーカーやイヤホンが音楽的かどうかっていうことを
左右するというのはあると思います。
ある意味、凄く良いスピーカーに近づけるかどうかっていうのはイヤホンの宿命だと思うんです。
スピーカーと人の間にある空気感までイヤホンは感じさせることができるのかっていう。
CH2010ではその空気感も
感じられましたか?
そういう意味では、ハイレゾっていう音色の次元からトライしている部分と、
聴くっていうマテリアルな部分で調整するっていう両方があると思うんですけど、
その両方が一番うまくいっているのがCH2010なんだろうなと思いますね。

「一番便利なもので、
一番いい音を聴かせたい!」

「一番便利なもので、一番いい音を聴かせたい!」「一番便利なもので、一番いい音を聴かせたい!」
エレコムのイヤホンを
実際に使用してみて、
総合的な印象はいかがでしょうか?
音が良かったということは非常に重要ですし、どのイヤホンも音の分離が素晴らしかったですね。
あとはそれぞれの装着の仕方などにも工夫があって、色々考えていらっしゃるなと思いました。
お値段も、ハイエンドなものとビギナー向けのものと、それぞれ妥当だと思いました。
ご自身がイヤホンを
購入されるときの基準などは?
まずは音です。もちろん。これは仕事上しょうがないですよね。
音が一番大事ですが、その音も“ナチュラルである”ということです。
ナチュラルな音ですか。
ナチュラルというのはやわらかく聴こえるということではなくて、
本来の作品が目指した音がちゃんと聴こえるということですね。
スタジオで聴いても、オーディオセットで聴いても、家や車で聴いても同じバランスで聴けるということが大事なんですよ。
イヤホンで聴いたときだけスタジオで聴いたバランスと違うと、自分の中で混乱するので。
ただ、これは機材の問題だけではなくてエンジニアの問題でもあるんですよね。
どこで聴いても同じバランスで聴かせてくれるのがいいエンジニアなんです。
「このCD気持ちいいな」って思って、iPhoneに入れて聴いたときに音が良くなくて、
「まあiPhoneだししょうがないか」ってなると、その音楽に対しての気持ちの入り方が削られてしまう。
どうやったらそういう部分を解消できるかっていうのは自分も考えてやってきましたね。

iPhoneでのリスニングなど、
ユーザー環境も変化し続けていますよね。
便利さと音の良さのせめぎあいですよね。
僕も実は便利なものをとるタイプなので、
家ではレコードとかほとんど聴かないんですよ。
それは意外でした。
CDか配信で聴くことが多いです。
世の中の人が通常嗜んでいる方法論のなかで良い音じゃなければ
ポップスじゃないと思っているんですよ。ほんとはレコードも好きだし、
オーディオセットを揃えてじっくり聴きたいんですけど、
ぼくの場合、それをやったらその世界にはまっちゃうので、
70歳超えるまでは我慢かなって思っているんですよね。
それは聴く側ではなく、
作り手だからこその考えですね。
そう。作る側だからこそ、なるべく一般の人が聴いている環境で、
できるだけ良い音楽の魅力を伝えたいと思っています。
そのためには多くの人が利用する一番便利なものの中で、
どれだけいい音を作れるかっていうことを意識していますね。

「演奏者の素晴らしさを耳で感じ
られたら、音楽は何倍も楽しい!」

「演奏者の素晴らしさを耳で感じられたら、音楽は何倍も楽しい!」「演奏者の素晴らしさを耳で感じられたら、音楽は何倍も楽しい!」
SING LIKE TALKINGの活動に
ついてもお話を聞かせてください。
2017年6月には新アルバム
「6月の青い空」がリリースされました。
表題曲の「6月の青い空」という曲は、自分の中で最大限のキャッチーでポップな楽曲になっています。
「SING LIKE POP’N ROCK & MELLOW」っていうライブを毎年やるんですけど、
昨年、一昨年は、ストリングスやホーンに焦点をあて、
ジャズだったりクラシックだったりの要素を活かした大人っぽいアプローチのものを主にやりました。
そういうアカデミックだったり大人っぽい音楽的なものをやりつつも、やっぱり僕らはポップスが好きなので、
今年は自分たちの土台にあるポップ・ロックっていうところを全面に出していこうということで生まれた曲ですね。
それでもこの曲は難しいという人もいますけど、僕の中では最大限のポップスですね。
映画の主題歌にも
なっているんですよね?
そうです。
「Music Of My Life」という、この30年近い時間のなかでSING LIKE TALKINGのファンの皆さんと
SING LIKE TALKINGの曲の間で生まれたたくさんのエピソードの中から選ばれたお話3つが、今秋映画になります。
その主題歌になっています。
映画のために書き下ろされた
曲なんでしょうか?
映画の主題歌になることは決まっていましたが、僕の中ではそれほど意識せずに作りました。
自分の中でどういう曲にしたいかなって思ったときに、「6月の青い空」っていうタイトルが最初に出てきまして…。
タイトルが先なんですね!
6月って梅雨で一番青空が少ない時期なんですけど、その梅雨時に出る青空の嬉しさというか、感慨というか。
長く生きていると、そんなにいいことばっかりじゃないですよね(笑)。
そんなときの良い日の、「今日は良い日だったな!」っていうありがたさって、
子供の頃のそれとは比べ物にならないくらい感慨深いと思うんです。それと6月の青い空っていうもののイメージを重ねて、
その世界観で歌詞を書いてくれってうちのメンバーに伝えて仕上げました。
このアルバムはハイレゾでも
配信されていますね。
ぜひ、エレコムのイヤホンで
聴いてほしいです(笑)
そうですね。なにしろ、エンジニアがカラム・マルコムというスコットランドの素晴らしいエンジニアなんですよ。
彼は各演奏や楽器の素晴らしさはもちろん、彼自身も元々ピアニストでミュージシャンでもあるので、
その音楽がどう奏でられているのかっていうことも掴んでトラックダウンしてくるんですよね。
その彼のマニアックなまでのこだわりを味わいたいと思うならば、ハイレゾで聴いてもらえたら!と思いますね。
「え?各ミュージシャン、こんなことやってるんだ!?」って感じてもらえると思いますし、
それは音楽を聴く楽しさに繋がってくると思いますね。
そういう楽しみ方、
いいですね!

別に音楽のことに詳しくなくても、そういう演奏者の素晴らしさを耳で感じられたら、
音楽ってやっぱり何倍も楽しいと思います。
昨年末に発売された
佐藤竹善さんのアルバム
「CORNERSTONES 6」も
ハイレゾで配信されています。
新日本フィルハーモニー交響楽団の
演奏も聴き応えがありました!
オーケストラは特にハイレゾで聴くとものの良さが試されると思います。
このレコーディングは新日本フィルハーモニーの拠点であるトリニティホールで、
実際のホールで演奏するオーケストラを録っているんですよ。
え、楽器ごとに別録ではなく、
オーケストラをそのままですか?
はい、実際に。
2日で10曲分のオケを録ってるんですけど、リハーサルは一緒に歌って、
ボーカルを録るときだけホールに特別に作った別室に僕が入って、
モニターで指揮を見ながら一緒に歌って録りました。
そこまでこだわってるんですね!
だからこそ、そこでの全体の空気感がそのまま入っています。エンジニアも各楽器のすべてのスコア譜を取り寄せて、
それを見ながらどう演奏されていたのかを確実に再現してくれましたね。
選曲もユニークですね。
TotoからOne Directionまで。
「CORNERSTONES」は礎(いしずえ)って意味で、
自分の土台になった音楽を自分が改めて紹介するっていうのを1stからずっとやってるんですけど、
それこそ50〜80年代のほんとに自分のルーツになったものから、新しい曲でも自分がいいなと思って、
礎になっていると感じたものは選曲に入れています。今回、オーケストラとやるときに、
ただ交響楽のアンサンブルを借りて自分の作品をやるだけでは差別化ができないなと思って、自分なりの色を考えました。
自分なりの色というのは?
例えばTotoの「Africa」一曲とっても、彼らがなにを求めて82年にロック・ポップのスタイルでやったのかとか、
当時あのサウンドでアフリカのグルーブを取り入れて、バロック調のメロディでやった彼らが、
もし今交響楽でやるとしたらどう表現するだろうかとか、そういったこともイメージしてやりました。
彼らの心のなかにあった、クラシックも好きでアフリカも好きでロックも好きっていう世界観を取り入れて、
セネガルのパーカッショニスト達と新日本フィルハーモニーを融合させようと挑みました。
洋楽に精通している佐藤竹善さん
らしいアプローチかもしれませんね。
Aviciiの「Hey Brother」なんかも、EDMだけど曲調は完全にカントリー・アンド・ウェスタンなんですね。
カントリー・アンド・ウェスタンというと、いわゆる西部劇の音楽ですよね。
1940年代とか50年代のあの辺の音楽はある意味で初めてのアメリカオリジナルのクラシックといえて、
原曲は最新のEDMのサウンドの上に伝統的な正反対の時代と音楽性が合わさって、
ギャップのおもしろさが生まれるんですよ。そういう彼らのアプローチというか、最新のものをやりながら、
伝統的なものをリスペクトしているという姿勢をオーケストラで体現するにはどうしたらいいかなっていうのを
イメージして作りました。その曲や、その曲をやっていたアーティストのルーツや音楽性に対して、
どれだけの理解とリスペクトをもって音で表現できるかっていうことに挑戦したのが、このアルバムです。
佐藤竹善さんの解釈を踏まえて、
オーケストラの音で表現した
アルバムということですね。
そうです。まずは分析と解釈と、アプローチの方向性をイメージするのに二ヶ月くらいはかけて、
アレンジャーとも綿密に打ち合わせて、ある意味では哲学的な話にもなってくるくらいの話をして、
一緒にオーケストラを組んでいった感じでした。
そんな「CORNERSTONES」ですが、
年末には「The Best Of Cornerstones」と
いうツアーが予定されています。
これは、過去のアルバムシリーズの中から
さらにベストな選曲で楽しめると期待して
良いのでしょうか?
はい。代表曲を選んで、サザン・オールスターズの松田弘さんを中心に、
素晴らしいバンド・ミュージシャン達が一緒にツアーをまわってくれます。
楽しみにしているファンに向けて、
最後にメッセージをお願いします!
カバーアルバムシリーズも20年を超えました。最初の頃は「なぜカバーなの?」と言われる時代もありましたが、
いつの間にか淘汰されて、カバーとかオリジナルとかってことで音楽を語ること自体が違うんだっていうことが
日本でも文化的に当たり前になってきました。そんななかで今でも歌えて、音楽で食えてるのは凄く幸せだと思います。
今までやってきた積み重ねと、そして名曲の良さといったものを気軽に楽しんでくれたらいいなと思います。
ありがとうございました!