掲載の製品や価格等の情報は当時のものとなり、既に終息している製品情報も含まれます。
2.5GbEポート搭載のTS-x53Dリリース、従来モデル、他社製品との違いは?
2.5GbE が小型NAS の主流に
QNAPが中小企業向けNASの主力製品である TS-x53シリーズの最新モデルとして、2.5GbEポート搭載の「TS-x53Dシリーズ」をリリースしました。
スマホが5Gになり、無線LANもWi-Fi 6 (802.11ax、9600 Mbps) への移行が始まり、SSDの大容量化と低価格化が進む中で、NASのさらなる高速化も求められるようになりました。QNAPはこれまでも10GbE/5GbEカード、USB-C - 5GbEのネットワークアダプターなどを提供してきましたが、NASの標準ポートを1GbEから2.5GbEにグレードアップすることで、より低価格に、より簡単にマルチギガ環境を導入できるようになりました。
2020年春以降、このモデルを含め多くのシリーズがモデルチェンジされますが、ほとんどのモデルで2.5GbEが標準となります。
NASの高速化は企業だけでなく個人ユーザーにも求められており、企業よりもむしろ個人のゲーミング用途、マルチメディア用途での普及が早いかもしれません。実際に、QNAPはTS-x53Dシリーズをゲーム用ストレージとしても位置付けていて、価格をみても個人ユーザーに十分に手の届く製品になっています。
TS-x53Dシリーズの特長、従来モデルとの比較
Intel Celeronクアッドコアプロセッサー、4GBメモリー搭載 (最大 8GB)で、数十人規模の中小企業や部門、マルチメディアクリエイター、ARMプロセッサー採用のローエンドモデル (TS-x31系など)では物足りない個人ユーザーに適したモデルです。
6/4/2ベイのラインアップで、数TBから数十TBのファイルサーバーの構築が可能です。市販されている最大容量の16TB HDDを6台搭載すると、物理96TB、RAID 5で80TBのストレージを組めてしまいます。
6ベイモデルにHDD x 4台 (RAID 5)、SSD x 2枚 (RAID 1)を搭載してQtier自動階層化を設定する構成もオススメです。また、導入時は6ベイモデルにHDD x 4台のみを搭載し、容量がいっぱいになったときに空きスロットにHDDまたはSSDを追加することもできます。
このシリーズの最大のポイントである2つの2.5GbEのLANポートは、大容量ファイルを扱うユーザー、同時アクセスの多い拠点、また大容量のバックアップが必要な環境などで威力を発揮します。小規模拠点や個人ユーザーであれば、QNA-UC5G1T USB-C -
5GbEアダプターを接続したPCとTS-x53Dと直接接続する使い方も可能です。リンクアグリゲーションで1GbEポートを複数束ねて使用している企業であれば、2.5GbEに切り替えることでネットワークをシンプル化し、スイッチの使用ポートも節約できます。
このクラスのNASでPCIe拡張スロットを持つのも他社製品にない特長です。
2017年5月リリースのTS-x53Bシリーズで初めて採用された、ドライブトレイの見えないすっきりとしたデザインです。
フロントカバーを外すとドライブトレイを引き出すことができます。3.5インチHDDはネジ不要、2.5インチSSD搭載時はネジ止めをします。
TS-x53Bおよび廉価版のTS-x53Be
(2018年4月リリース)とのモデル比較です。
CPU、メモリー、LANポートなどの基本性能を向上させながら、オーディオ入出力をなくすなどのコストダウンが図られています。
主な変更点
- Intel Celeronの最新プロセッサーを搭載
Intel Celeron J3455 クアッドコア 1.5 GHz → Intel Celeron J4125 クアッドコア 2.0 GHz に変更されました。
PassmarkのCPUベンチマークは2227 → 3035にアップしています (2020年7月時点)。 - メモリー規格がDDR3L SODIMM → DDR 4
SODIMMに変更
標準は4GB x 1枚で、4GB x 1枚を追加することで8GBに増設できます。
TS-x53Bは2GB x 2枚だったので、増設時は元のメモリーを抜いて、4GB x 2枚または8GB x 1枚を搭載する必要がありました (TS-x53Beは4GB x 1枚)。
ちなみに、製品仕様は最大8GBですが、8GB x 2枚を搭載すれば16GBで動いてくれたりします (サポート対象外ですが)。 - LANポートが1GbEポートから2.5GbEポート
(2.5G/1G/100M対応)にアップグレード
QNAPがマルチギガ対応スイッチのラインアップを増やしているほか、NETGEAR、バッファロー、I-O DATAなどもマルチギガ対応スイッチをリリースしています。
既設のLANケーブルをそのまま利用可能で、10GbEまでは不要、限られた予算でネットワークをアップグレードしたい中小規模のユーザーにおすすめの選択です。
(注意) 2世代前までの4/6ベイモデル (TS-x53A、TS-x53 Pro) は1GbE x 4ポートだったので、3ポート以上使用しているユーザーはネットワークの見直しが必要です。 - 2ベイモデルの拡張スロットが PCIe Gen.2 x4 にアップグレード
(4/6ベイモデルは従来モデルと同じ PCIe Gen.2
x2)
旧モデルは2/4/6ベイが共通仕様になっていましたが、新モデルではリソースに余裕がある2ベイモデルをGen.2 x4にアップグレードしています。 - HDMI 1.4b から 2.0a にアップグレード、ポート数は2 →
1に減少
最大 4096 x 2160 @ 60Hz に対応します。 - オーディオ入出力ポート、スピーカーを省略
法人のファイルサーバー用途では不要、個人ユーザーでも使っている人はわずかだったと思いますので、省略によりコストダウンが図られたといえます。
図 : TS-453D、TS-453B、TS-453Be の比較 (フロント)
図 : TS-453D、TS-453B、TS-453Be の比較 (リア)
TS-x53D New! | TS-x53B (販売終了) | TS-x53Be (販売終了) | |
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リリース | 2020年7月 | 2017年5月 | 2018年4月 |
モデル | TS-653D (6ベイ) TS-453D (4ベイ) TS-253D (2ベイ) |
TS-653B (6ベイ) TS-453B (4ベイ) TS-253B (2ベイ) |
TS-453Be (4ベイ) TS-253Be (2ベイ) |
CPU | Intel
Celeron J4125 クアッドコア 2.0 GHz (最大 2.7
GHz) Intel UHD Graphics 600 Passmark スコア 3035 |
Intel
Celeron J3455 4コア 1.5 GHz (最大 2.3 GHz) Intel HD Graphics 500 Passmark スコア 2227 |
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メモリー | 2 x DDR4
SODIMM 標準 4GB (1 x 4GB)、最大 8GB |
2 x DDR3L SODIMM 標準 4GB (2 x 2GB)、最大 8GB |
2 x DDR3L SODIMM 標準 4GB (1 x 4GB)、最大 8GB |
ドライブ | 6/4/2 x 3.5”/2.5” SATA 6Gb/s HDD/SSD | 6/4/2 x 3.5”/2.5” SATA 6Gb/s HDD/SSD | 4/2 x 3.5”/2.5” SATA 6Gb/s HDD/SSD |
M.2 SSD | オプション (QM2カード使用) | ||
LAN | 2 x 2.5GbE (2.5G/1G/100M) | 2 x 1GbE | |
USB | 2 x USB 3.2 Gen.1 3 x USB 2.0 |
5
x USB 3.2 Gen.1 1 x USB 3.2 Gen.2 Type-C (USBクイックアクセス) |
5 x USB 3.2 Gen.1 |
拡張スロット | 6/4ベイ : 1 x PCIe Gen.2
x2 2ベイ : 1 x PCIe Gen.2 x4 |
1 x PCIe Gen.2 x2 | |
HDMI | 1 x HDMI
2.0a (4096 x 2160 @ 60 Hz) |
2 x HDMI
1.4b (3840 x 2160 @ 30 Hz) |
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オーディオ | なし |
入力 : 2
x 3.5mm
マイク入力ジャック 出力 : スピーカー、3.5mm ラインアウトジャック |
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ディスプレイ | なし | OLEDディスプレイ | なし |
SDXCカードリーダー | なし | 1 | なし |
リモコン | オプション | 付属 (RM-IR004) | オプション |
TS-x53Dをより快適に使うためのアクセサリー
QNAPは拡張カードをはじめ、アクセサリーも充実しています。
10GbE / 5GbEカード
10GBASE-T、NBASE-T (マルチギガ)、SFP+ ポートのラインアップをもつ10GbEカード、5G/2.5G/1G/100Mの4スピード対応の1/2/4ポート拡張カードなどがあります。
QM2カード
M.2 SSDを2枚搭載できる拡張カードです。SATA SSD用、PCIe NVMe用のカードがあるほか、M.2 SSD + 10GbE 1ポート付きのカードもあります。
TS-x53Dの拡張スロットはPCIe Gen.2 x2 のため、SSD、10GbEのパフォーマンスをフルで出せない点には注意が必要です。
QDA-A2AR
ドライブアダプター
3.5インチドライブベイに2枚の2.5インチSSDを搭載するためのドライブアダプターで、RAID 0/1にも対応します。
QSW-1208-8C
10GbEアンマネージドスイッチ
10GbE SFP+ x 4ポート、10GbE SFP+/RJ-45コンボ x 8ポートのスイッチで他社製品に比べても安価です。
RJ-45ポートはNBASE-T (10G/5G/2.5G/1G/100M)対応です。
QSW-M408シリーズ
L2 Webマネージドスイッチ
1GbE x 8ポート、10GbE (10G/5G/2.5G/1G/100M対応) x 4ポートのL2 Webマネージドスイッチです。
QNA-UC5G1T
USB-C -
5GbEアダプター
TS-x53DやPCに5GbEポートを追加できる、USB-C - 5GbE変換アダプターです。
短いUSB Type-A - Type-Cケーブルを同梱しています。
他社製品とのスペック比較
同じCPUを搭載するSynologyのNASとも比較してみました。
TS-x53Dシリーズの優位点は、やはり2.5GbEポートとPCIeスロットによる拡張性でしょう。拡張エンクロージャーによって増やせるドライブ数もQNAP NASの方が多いです。
QNAP TS-x53D | Synology DSx20+ | |
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リリース時期 | 2020年7月 | 2020年5月 |
モデル | TS-653D (6ベイ) TS-453D (4ベイ) TS-253D (2ベイ) |
DS920+ (4ベイ) DS720+ (2ベイ) |
CPU | Intel
Celeron J4125 クアッドコア 2.0 GHz (最大 2.7 GHz) Intel UHD Graphics 600 |
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メモリー |
2 x DDR4 SODIMM |
2 x DDR4 SODIMM 4ベイ : 標準 4GB、最大 8GB 2ベイ : 標準 2GB、最大 6GB |
ドライブ | 6/4/2 x 3.5”/2.5” SATA 6Gb/s HDD/SSD | 4/2 x 3.5”/2.5” SATA 6Gb/s HDD/SSD |
M.2 SSD | オプション (QM2カード使用、SATA or NVMe) |
2 x M.2 PCIe NVMe |
ドライブ拡張 | 6ベイ : 最大14ベイ 4ベイ : 最大12ベイ 2ベイ : 最大10ベイ (TR-004 x 2台、またはTLシリーズ 1台) |
4ベイ : 最大 9ベイ 2ベイ : 最大 7ベイ (DS517 x 1台) |
LAN | 2 x 2.5GbE (2.5G/1G/100M) | 2 x 1GbE |
ネットワーク拡張 | 10GbE、5GbE、Wi-Fiなど (拡張カード使用) |
なし |
USB | 2 x USB 3.2
Gen.1 3 x USB 2.0 |
2 x USB 3.2 Gen.1 |
eSATA | なし | 1 |
拡張スロット | 6/4ベイ : 1 x
PCIe
Gen.2 x2 2ベイ : 1 x PCIe Gen.2 x4 |
なし |
HDMI | 1 x HDMI
2.0a (4096 x 2160 @ 60 Hz) |
なし |
2020/7/3 KH
2021/2/24 Revised