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働き方改革

インサイドセールス導入で営業活動を効率化 定義・メリット・導入方法は?

執筆者BUSINESS SOLUTION WEB 編集部
2022.01.25

働き方改革などにより業務の効率化が企業に求められる中、顧客や取引先と直接対面せず、電話やメールなどを活用した非対面の営業スタイルが注目されています。このインサイドセールスという手法は、コロナ禍の中で導入が進むリモートワークとも親和性が高いとされています。では、インサイドセールスの特徴や注目される背景、導入のポイントなどを順番に見ていきましょう。

インサイドセールスとは

一般的に「インサイドセールス」とは、顧客と直接対面でやり取りを行うのではなく、電話やメール、WEBコンテンツなどを活用して営業を行う手法です。

インサイドセールスは、1990年代に普及したインターネットなどの影響で世界中に拡大し、その後デジタル技術を利用したマーケティングが登場したことによって、その手法が多様化することになりました。1950年代に米国で始まったテレマーケティングが起源とされており、現在、効果的な営業活動の手法として米国で確立されています。

インサイドセールスと混同される手法の1つとして「インバウンドセールス(インバウンド営業)」が挙げられますが、これは“売り込まない営業手法”としての意味合いがあり、インサイドセールスとは少し異なります。プル型の営業手法であるインバウンドセールスでは、顧客が必要とする情報を提供し、商材への興味関心を高めて顧客を引き寄せます。

インサイドセールスとインバウンドセールスは、言葉が似ているため混同されがちです。インサイドセールスは基本的に“非対面で行う営業活動”を意味するため、積極的に商材を売り込むプッシュ型の営業活動も含みます。マーケティング業界では、両者の区別に関して曖昧な場合も見られますが、この記事では上記のように定義して解説を進めます。

インサイドセールスの対になる概念

インサイドセールスの反対の手法として、顧客と直接対面して営業活動を行う「フィールドセールス(アウトサイドセールス)」が挙げられます。顧客の自宅に訪問し、対面で営業を行う飛び込み営業などもフィールドセールスの一種です。

なおご参考までに、インバウンドセールスの反対の手法には、企業が積極的に商材を売り込む「アウトバウンドセールス(アウトバウンド営業)」が挙げられます。この手法では、広告や展示会、テレアポイントなどを駆使し、見込み顧客らに対してプッシュ型のアプローチを行います。

インサイドセールスが注目される背景

新しい営業活動の手法として、国内でも注目され始めたインサイドセールス。その背景には、コミュニケーション方法の多様化などがあるとされています。

インターネットが普及する以前、顧客と対面せずにコミュニケーションを図る方法は、主に電話でした。その後、メールの利用者が増え、顧客にアプローチできる方法が増加。現在は、チャットボットなど最新のテクノロジーを用いたさまざまな方法が登場しています。このように、非対面でコミュニケーションを行える方法が多様化したことにより、企業は商材や顧客の特性に適したツールを選ぶことが可能になりました。

インサイドセールスが注目されるもう1つの背景は、政府や企業が進める働き方改革です。現在、柔軟性の高い労働のスタイルや、効率的で生産性の高い労働の進め方などが企業に求められています。飛び込み営業などと比べ労働の効率性が高いインサイドセールスは、こうした労働変革と相性がいいのは言うまでもありません。従って、効率性や生産性などの観点から、さまざまな企業がインサイドセールスに注目しているのです。

特に2020年春以降では、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけにして、インサイドセールスの導入が一気に加速。これは、感染症予防として非対面のコミュニケーションを進める企業が急速に増えたことが大きな理由です。営業活動のツールとして非対面のコミュニケーション手法の導入に後ろ向きだった企業も、現在はインサイドセールスを取り入れざるを得ない状況にあります。このように、コミュニケーション技術の多様化や、労働の効率性・生産性以外の観点でも、インサイドセールスが注目を浴びているのです。

インサイドセールスのメリット

インサイドセールスには、営業活動にかかる時間や経費を削減できるなど、さまざまなメリットがあります。

飛び込み営業などのフィールドセールスと異なり、インサイドセールスでは顧客訪問をしないため、移動時間がかかりません。また、交通費もかからないので、企業は時間や経費を大幅に削減することが可能です。

もう1つのメリットは、柔軟な働き方の促進です。顧客と直接対面することがないインサイドセールスでは、コミュニケーションツールさえあれば、オフィスや自宅、カフェなどさまざまなスペースで仕事を行うことが可能です。働き方改革の促進や感染症予防などの観点においても、大きなメリットをもたらすでしょう。

さらに、営業活動の状況を迅速に把握できるメリットも挙げられます。メールやビジネスチャット、WEBコンテンツなどのデジタルツールを利用するとコミュニケーションの履歴が残るため、いつ、どの顧客に対して、どのように営業活動を行ったのか、把握することが容易になります。また、昨今はさまざまなコミュニケーションツールとデータベースを連携できるビジネスプラットフォームが登場しており、営業活動の効果拡大などにつながります。

インサイドセールスのデメリット

一方で、インサイドセールスにはデメリットも存在します。顧客と対面せずに営業活動を行うため、商材に対する顧客の興味関心を具体的に把握することが困難です。さらに、メールやコンテンツの一斉配信などセールスのアプローチを量産化するあまり、顧客とのコミュニケーションが画一的になりやすい傾向があります。それぞれの顧客の反応に応じたリアルなコミュニケーションやニーズの掘り起こしの観点では、フィールドセールスに軍配が上がるでしょう。

インサイドセールスを効果的なものにするために

ここからは、インサイドセールスをより効果的なものにするためのノウハウについて説明します。1.インバウンドセールスの導入、2.役割分担の設定、3.顧客情報の緻密な管理、の3段階に分けて、押さえるべきポイントをそれぞれ解説。マーケティングや営業の担当者は、ぜひ参考にしてください。

1. インバウンドセールスの導入

そもそもインサイドセールスを行うには、電話番号やメールアドレスなど、リード(見込み顧客)の情報が必要になります。そこで重要なのがインバウンドセールスの導入です。最初に説明したように、インバウンドセールスでは、顧客が必要とする情報をオウンドメディアなどで提供し、商材への興味関心を高めて顧客を引き寄せます。また、顧客を問い合わせフォームなどへ誘導し、顧客情報やニーズを引き出すことも役割の1つです。

インバウンドセールスを進めるにあたっては、配信コンテンツを検索結果画面で上位表示させるためのSEO(Search Engine Optimization = 検索エンジン最適化)や、顧客の情報入力を促進させるためのEFO(Entry Form Optimization = 入力フォーム最適化)などが重要になります。ポイントは、いかにして多くのリードから多くの情報を引き出すか。すなわち、インバウンドセールスで多くのリードを獲得し、インサイドセールスの対象を拡大させることです。

2. 役割分担の設定

インサイドセールスとインバウンドセールスのシナジー効果を発揮させるには、部門の役割を明確にする必要があります。例えば、コンテンツの制作は広報部門、リードの獲得・管理はマーケティング部門、セールスは営業部門といったように役割を分ければ、各部門のKPI(重要業績評価指標)の設定や、達成状況の把握が容易になるでしょう。

しかし、企業によっては広報部門、マーケティング部門、営業部門が分かれていないケースがあるかもしれません。こうした場合は部門内でチームを分けるなどし、チームや担当者ごとにコンテンツの配信本数やリードの獲得数、また受注件数などの各KPIを追いかけるのがベターです。

3. 顧客情報の緻密な管理

インサイドセールスでは、受注件数を拡大するにあたって顧客情報の緻密な管理が重要になります。リードによってニーズや商材に対する興味関心の度合いは異なるため、やみくもなリードへのアプローチは時に逆効果をもたらします。見込み顧客の住所や年齢、性別といったデモグラフィック情報に加え、顧客のニーズや自社サイトへのアクセス履歴、アプローチ回数、メールの受信内容などを細かく把握した上で、適切なアプローチを図りましょう。

また、リード情報の把握や管理では、各部門や担当者が共通のシステムを使うことが前提です。データを管理するためのプラットフォームやフォーマットが異なる場合、マーケティング部門から営業部門へのスムーズな引き継ぎは困難になるかもしれません。なるべくシステムやプラットフォームを統一するよう心がけてください。

MAツールの活用でインサイドセールスを自動化へ

MA(マーケティングオートメーション)を導入すると、企業はインサイドセールスやインバウンドセールスの効果をより発揮することができます。ひと言で表現するとMAは、リードの獲得からナーチャリング(コミュニケーションを通して商材に対する興味関心を高め、購入などにつなげる活動のこと)までを自動化したり、これらを管理したりするためのツールです。

MAは、ナーチャリングを行うにあたってのシナリオ設計を自動化したり、最適なタイミングでメッセージを自動配信したりして業務を支援します。また、リードのアクション(サイト訪問回数やメールマガジンの開封数、個人情報の入力など)によって加点方式を設定すれば、ツールが設定した基準で自動的にスコアリングを行います。また、スコアリングや顧客情報を活用し、各リードのニーズに沿ったコンテンツを自動配信させることも可能です。

このようにリードの獲得からナーチャリングまでを自動化すれば、購入や申し込みに至る可能性が高いリードに絞ってアプローチをかけることができるため、インサイドセールスの効率をぐんと高めることができるでしょう。

まとめ

インサイドセールスに関する理解は深まりましたでしょうか。働き方改革や新型コロナウイルス感染症などによって、インサイドセールスへの注目は次第に高まっています。業界や職種、商材、サービスなどによって進め方は多少異なりますが、導入方法や効果はほとんど変わりません。これまで説明したように基本的なプロセスは同じです。セールス業務を効率化したい、見込み顧客の状況に合わせて最適化したいと考えている担当者は、ぜひこの機会にインサイドセールスの導入を検討してはいかがでしょうか。

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