技術開発の「駆け込み寺」。
最先端エンジニア集団の
開発力を支える秘訣とは?

“生き残る企業になれるか?いま経営者がアップデートすべきは「価値観」の捉え方だ 生き残る企業になれるか?いま経営者がアップデートすべきは「価値観」の捉え方だ
Introduction
システム開発において、「指示通りのものしか上がってこない」「こちらの意向が上手く反映されていない」といった課題を抱えている担当者は少なくないのではないでしょうか。顧客の意向を汲み取って形にできるエンジニアは、業界にとって非常に貴重な存在です。ディー・クルー・テクノロジーズは、そんな課題に悩まされている企業の多くが相談を持ちかけるという「業界の駆け込み寺」とも言われています。彼らの何が特別なのか、開発手法にはどのような秘密が隠されているのかを社員のみなさんとの座談会を通して探ってきました。

メンバー

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長澤 達也
(ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社 執行役ETM)
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土田 幸宏
(ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社 システムソリューション開発部 部長)
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早田 征明
(ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社 システムアナログ開発部センシングシステム開発課 課長)
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齋藤 亮
(ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社 システムソリューション開発部インテリジェントIoTモジュール開発課 課長)

「業界の駆け込み寺」である秘密は、技術者ファーストの企業理念

2017年にエレコムグループの一員となったディー・クルー・テクノロジーズは、さまざまな企業が開発委託先に困った時に相談を持ちかける「業界の駆け込み寺」とも言われる存在。同社に持ち込まれる案件のうち、実に9割は仕様書がないのだとか。業界でも高い評価を受ける同社社員に、変化し続けるクライアントのニーズに対応していくための開発手法やエンジニアとしての仕事への向き合い方を伺いました。

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−−「業界の駆け込み寺」を代表するみなさんのキャリアや得意領域について教えてください。D-CLUEにはどのようなきっかけで入社をされたんでしょうか?

長澤: 私は創業メンバーの一人なのですが、社長の石川の「技術者が本質で頭を使う会社を作りたい」というビジョンに賛同し、元の会社をスピンアウトしました。技術者が事務作業などに振り回されることなく、技術一本に取り組める。D-CLUEはそんな会社です。

早田: 私は半導体メーカーで管理職をしていたのですが、当時50歳という年齢もあり色々考えた結果「もっと技術を究めたい」と思い、新たな会社を探しました。そこでD-CLUEが面白いことをやっているというのを見つけ、入社しました。入社してみると、本当にいろんな技術者がさまざまなことをやっている会社でした。毎日技術的な刺激が多くて知恵熱が出てしまいそうなくらいです(笑)

齋藤: 私はもともと前職で社長の石川と一緒に仕事をしていたのですが、新しくD-CLUEを立ち上げるタイミングで誘われたのが入社のきっかけでした。ちょうどいろんなことに挑戦したいなと思っていたところだったので、ベンチャーならそれができそうだと思いました。

土田: 私は前の会社で3年ほどD-CLUEと取引先として仕事をしていたのですが、そうした日々の経験のなかで、この会社に入ることを決めました。前の会社は担当がきっちりと決まっており、自分がやれる範囲が狭まっていたのですが、D-CLUEはベンチャーということもあり、なんでもチャレンジできます。自分の知らない分野の技術者がいることも決め手となりました。

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アナログ/デジタル/ファームウェアとそれぞれ違う専門を持ちながらも、高い志と技術的好奇心を持ったメンバーが次々と集まっているD-CLUE。持ち寄られる案件ごとに、必要な技術を持ったスペシャリストがチームを組み、開発に当たるという彼らですが、その高い開発力により開発委託先に困った時の「駆け込み寺」とも言われています。

−−D-CLUEに持ち込まれる案件のうち、実に9割は仕様書がなく、業界の駆け込み寺とも呼ばれているとか。その理由はなんなのでしょうか?

土田: 単純に“仕様書がない”という仕事ならば、私たち以外のところでもやっている企業は多いと思います。ただ、私たちの仕事で特長的なのは、技術的な裏付けや知識がなく「○○がしたい」という要望だけの状態でお話をいただき、そのために何ができるのかを考えて提案していく案件が多いということです。

早田: 言ってみれば“お客さまとコラボレーションしながらゴールに突き進んでいく”という形での仕事が多いですね。ですので、私たちは、お客さまの要望をそのまま叶えるのではなく、さらにいいものにするための“提案型エンジニア集団”というイメージだと思います。

長澤: 技術者として自分の専門分野を持ちながらも、PM(プロジェクトマネージャー)としてデジタル/アナログの区別なく上流の話ができる。日々そんな訓練をしているような感じですね。

−−技術者というと黙々と自分の分野の仕事をしていくイメージがありますが、包括的に全体を見られる人材やネットワークが揃っている、と。

長澤: はい。仕事上、コミュニケーションに関係するものを作ることが多いのも含め、社長の石川が常々言っているのが「(社内外問わず)コミュニケーションを大切にせよ」ということです。

早田: D-CLUEって、アナログ/デジタル/ファームというそれぞれ違った分野のエキスパートが同じフロアにいるので、何かあった時に相談しやすいんですよね。日常的にそれぞれ融合や越境をしているので、開発にとってはすごくいい環境だと思います。

長澤: 例えば、ファームウェアエンジニアって基本的にはソフトウェアに近い領域なのですが、うちのスタッフは、ハンダ付けまでするんですよ。他の会社の方がそれを見た時「一人で全部できるんですか!?」って驚いていました(笑)

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−−ハンダ付けまで!? パソコンに向かってプログラミングをしているのかと思いきや、試作までされているんですね。

土田: どういう形状のものになるかをお客さんに見てもらうために、粘土をこねて「こんな形ですよ」とか。

齋藤: 「重さはこんな感じですよ」とか。

長澤: 粘土でこねたものに、さらに色をつけたりもね(笑)

−−まさに一気通貫といった感じですね!

早田: 自分もD-CLUE入社前は、パソコンにしがみついて、画面を見ながらずっと考え込んでいるような仕事の仕方をしていました。でも、今では悩んだ時は何人かで集まってホワイトボードに書きながらディスカッションするようなスタイルに変わりました。悩み事のタネが自分の専門分野だとしても、素人考えに耳を傾けてみることで新たな発想が浮かぶこともあるんです。D-CLUEではそういうやり方を「合わせ味噌」って呼んでいます。

土田: 昔の技術ってアナログ/デジタル/ファームウェアがきっちりと分かれている仕事が多かったのですが、少し前からそれぞれの分野を融合しないとできないようなことが増えてきて、今ではそれが主流になってきているんです。それをやろうとすると、人と技術を補い合いながらでないと進まないので、必ずコミュニケーションが発生するようになりました。

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土田: そうした仕事の仕方もあり、オフィスのレイアウトも独特です。普通の会社はマネージャーがお誕生日席にいるようなかたちで部署ごとに島を作っていると思うのですが、うちはプロジェクト単位などで、4人1組のブースを作っています。真ん中にテーブルを置いて、それぞれが四隅で外を向いて仕事をして、何かあったら一斉にみんなで後ろを向いてホワイトボードに書きながらミーティングできるようになっているんです。

長澤: 各ブースの仕切りも、人が前を通っても目につかないくらいの高さでありつつ、乗り出して話しかけられるような絶妙な高さになっているんですよ。これは社長の石川が前職から提案していたスタイルです。

早田: 一般的には「アナログならアナログ設計会社、ファームならプログラム会社」といった感じに分かれているんですけど、D-CLUEは一つの会社の中にアナログ/デジタル/ファームウェア全部があるのが興味深いですね。昨今の技術や案件の流れを見ると、やはり社長は先を見てこの会社を立ち上げたのだと感じます。

エレコムグループに入ったことで、D-CLUEの新しい製品開発が加速する

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−−そんなD-CLUEは2017年にエレコムグループの一員となりました。具体的に変化はありましたか?

土田: 製品企画との距離が縮まったということが大きいですね。私たちはお客さんからのリクエストを受けて製作するスタンスでしたが、エレコムはこれまで製品をいっぱい作ってきた会社なので、自分たちから「こういう製品を作りたい」と言えるようになったんです。もちろん今までの受託業務も継続しつつ、エレコムとお互いの長所を融合させた自社発信の製品も増えていくのではないかと思っています。

齋藤: 個人的にはガジェットが好きなので、自分が欲しいものを作りたいなと思っていますね。これまで培ってきた自分たちの技術をもって、新しい製品開発に取り組んでいきたいです。

長澤: そうした変化はありつつ、社風は驚くほど変わっていないですね。エレコムと私たちでは社長同士のスタンスが一緒だったので、そうしたところが大きいのかと思います。例えば、お酒の席でも、その場にいる全員と乾杯するっていう慣習がエレコムにはあるのですが、うちも元々そうだったんですよ。あと植物が好きでオフィスに植物が多いというのも共通していますね(笑)

土田: あと、エレコムと一緒になることで一番大きいのは、営業力を獲得できたことだと思います。D-CLUEには営業力がなかったのですが、エレコムグループに入ったことで全国的な営業力を得られた。これは大きな違いです。ぜひ「技術力×営業力」で、お互い長年積み重ねてきたもののコラボレーションができたらと考えています。

AIが高度化する未来、求められるのは人間力をベースにした技術力

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−−現代はこれまでになく変化が激しい時代だと思います。最後に、みなさんの技術者としてのビジョンをお聞かせください。

長澤: AIを中心としたオートメーション化が進む一方、技術者はなくならないと私は思っています。AIがクリエイティブなものを作れるわけではないので、そこを私たちがしっかりと守っていきたいですね。また、同時に人間の創造性を高めるための「高速な電卓」としてAIの精度を高めていきたいとも思っていて、我々が作った設計物の審査をAIに任せられるようにしたいです。

早田: 私は自分の年齢もあり、自分たちの世代が持っている技術をどう若い人たちに伝えていくかを考えています。昔は日本の技術力は非常に強かったのですが、現在は他の国に押されてしまっています。そうした状況も含め、若い技術者が元気になるように、自分たちが持っているものを伝えていきたいです。

齋藤: 私は新しいものが好きなので、そうした情報を取り入れながらもベースとなる技術を大切にしていきたいです。実はこの分野は一見新しくなっているようで、なっていない部分もたくさんあるんです。そういう根本的なところを若い人たちに伝えたいですね。それとあまりに世の中が便利になると人は堕落してしまうので、ちょっとストレスを感じられるようなものを作っていかないといけないとも思っています。「この辺もうちょっとこうならないかな」と思われる部分が少しだけある面白いアイテム、そんなものを作り続けていきたいですね。

土田: 齋藤が申し上げたことと重なりますが、私は常に新しいことに興味を持ちながらも、ベース、根幹となる技術を常に持っておくことを重視しています。AIみたいな新しい技術が話題ですが、突然新しい技術が生まれるわけではなく、ベースとなるものがあって新しいものが生まれ、使う人がそれをさらに発展させていくものです。ですが、そのように新しいものを継ぎ足していくと「根本の技術ってなんだっけ?」とみんな忘れていってしまいます。例えばパソコン。70年代や80年代ならともかく、パソコンがどうやって動いているのか今ではほとんどの人がそれを知らずに使っていると思います。そうした根幹の技術は無くなることはないので、それを追いかけていくことが技術者としては必要だと思っています。

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