導入事例レポート 視野角制御フィルタ内蔵 保護フィルタ付き SXGA対応 17型デジタル/アナログ液晶モニタ
※本製品は取り扱いを終了しています。

「視野角制御機能付き液晶モニタ」で画面からの情報漏えいを防止。
セキュリティにこだわった情報システムだからこそ、画面の表示にまでこだわった


運用面、セキュリティ面でメリットのあるシンクライアントを使った基幹システム
富士山のふもと、富士川の河口にある静岡県富士市は県下で3番目に人口が多い、静岡県東部の中心都市のひとつである。昭和41年に旧富士市、吉原市、鷹岡町の2市1町が合併し、現在の富士市となった。来年(平成20年)11月には、西に隣接する庵原郡富士川町との合併が予定されている。

富士市は古くから「紙の町」として知られ、平安時代の延喜式に「駿河より紙を貢ぐ」と記されているほどで、現在でも全国屈指の紙・板紙の生産地である。トイレットペーパーの生産では平成17年の全国生産量の32.6%を占め、全国一を誇っている。市内には多数の製紙工場があり、新幹線の新富士駅周辺では、車窓からでも多くの製紙工場の煙突を富士山とともに見ることができる。この富士市の行政の中心を担うのが、今回の取材にご協力いただいた富士市役所総務部情報政策課である。

総務部情政策課は、富士市の行政におけるさまざまな情報の管理、庁内のコンピュータシステムの開発や管理・運営などに携わる部署である。

富士市役所では、昭和40年代に汎用機による業務システムの導入が始まった。その後、Windows 95の登場によりパソコンのネットワーク化が普及しはじめると、富士市でも平成11年度に、各部署に1台ずつ設置した端末と庁内のサーバをネットワークで結んだ新しい「財務会計システム」が導入された。

さらに平成13年度からはグループウェアによる業務を前提とし、ひとりにつき1台のパソコンを導入するという計画が立てられ、3か年で約1500台の端末が設置された。こうして平成15年には、富士市役所の事務職レベルの職員すべてに端末が割り当てられるとともに、さまざまなシステムが稼働し、現在の基幹システムの基礎ができあがった。

富士市 情報システム 構成イメージ

富士市役所の基幹システムは、「シンクライアント」というシステム形態を採用している。「シンクライアント」の端末は、内蔵されたHDDにOSやアプリケーションがインストールされている一般的なパソコンタイプの端末とは異なり、モニタ・キーボード・マウスといった操作に必要な最小限の機器と、サーバと接続するためのターミナルを備えただけの端末である。各端末が利用するOSやアプリケーションは、すべてサーバ側にあり、端末側はネットワークを通じて送られてくる画面の表示データを見て、キーボードやマウスを操作するだけのものとなっている。業務で入力・作成したデータもサーバ側にしか保存することができない。

シンクライアントのメリットは、大きく分けて2つある。
ひとつはOSやアプリケーション、データをすべてサーバで一元管理できる点である。一般的なパソコンを使った端末の場合、端末ごとにOSやアプリケーション、データの管理が必要になり、端末の数が100台を超える大規模なシステムでは、維持と管理に大変な労力とコストが必要になる。しかし、シンクライアントではOSやアプリケーションをサーバに集約しているので、ソフトウェアのアップデートも端末単位で実行する必要がなく、サーバ側で一括して処理できるため、維持・管理費を大幅に削減できるのである。

もうひとつのメリットは、端末側にデータを蓄積するストレージやDVD/MOドライブ等のデータ入出力デバイスが存在しないという点である。万一、端末が盗難にあっても、端末にはデータが一切存在しないので情報が流出することはない。常時、膨大な個人情報を取り扱う市役所という場にふさわしい強固なセキュリティシステムと言える。

このように13年度から順次導入されてきたシンクライアント・システムの端末だが、このうちの約1500台が、今年度に入って一斉に更新されることになった。そして、今回入れ替えとなった端末のうち、窓口業務や市民税などの個人情報を扱う部署を中心に約600台について、新たにロジテックの視野角制御機能付きの液晶モニタが採用され、さらなるセキュリティ強化が図られた。

画面のセキュリティ対策から導入された後付けの覗き見防止フィルタには問題点が
平成16年2月に策定された「富士市情報セキュリティポリシー」では物理的なセキュリティ対策のひとつとして、各部署の端末画面にプライバシー保護のためのフィルタを取り付けるという指針が設けられた。それまでにも、窓口や市民の個人情報を扱う部署では、画面に表示されるデータからの個人情報の漏えいを防止するために、個別に予算を使って「後付けタイプ」の覗き見防止フィルタを導入していた。しかし、何種類かのフィルタが試されたものの、いずれも一長一短があり、実際に端末を利用する職員が満足できるものではなかった。

例えば、スクリーンタイプの覗き見防止フィルタの場合、フィルタを通すことで画面のコントラストが低下してしまう。特に当時の液晶モニタは、現在の製品に比べてコントラストが低く、フィルタを装着しない場合と比べると、どうしても画面の文字が見づらくなる傾向があった。そのため、覗き見防止フィルタを通した画面で業務をすることに違和感や、ストレスを感じる職員もいた。

また、画面に貼り付ける「フィルムタイプ」の場合はきれいに貼るのが難しく、フィルム内に空気が残ってしまうと、その部分に表示される文字がにじんで見えるなど、貼り付けに関する問題点が多かった。さらに、故障により液晶モニタのパネル交換が必要になると、フィルムを新しいパネルに貼りなおす際に指紋やホコリが付着したり、空気が入ってしまったり、あるいは粘着性が低下するのではがれやすくなるという問題が起きた。そ して今回のように液晶モニタの画面サイズが15型から17型に変更されると、後付けタイプのフィルタでは再利用できなくなってしまった。

今回のシステムの更新では、「富士市情報セキュリティポリシー」が策定されたこともあり、更新の予算の一部として、総務部情報政策課でまとめて端末の覗き見防止フィルタが発注されることになった。そして、このような問題を解決できるフィルタを探す中で出会ったのがロジテックの視野角制御機能付き液晶モニタ「LCM-TF1701AD/S」であった。

「覗き見もできる」という臨機応変さを持つロジテック「LCM-TF1701AD/S」