株式会社ルクレでは、従来は100台単位の案件に注力していたが、ネットワークカメラ市場の裾野の広がりに合わせて、2013年からは、カメラ20台未満の中小規模向けの案件にも注力することとなり、2つの取り組みを開始した。
ひとつは「アロバビューフリー版」の提供である。使用できるカメラが10台(※)まで、ノンサポートであるという制約を除けば、有償である「アロバビュー プレミアム版」のレコーディングサーバーと同等の機能が無償で利用できるうえ、利用期間の制限もないという思い切ったものだ。ここまで思い切ったフリー版を提供する目的は、従来アナログカメラのシステムを扱っていた施工業者や販売店などの顧客にフリー版を体験してもらい、ネットワークカメラの鮮明な映像や“アロバビュー”の魅力を理解してもらおうというわけだ。
※発売当初の台数となります、バージョンアップにより、使用できるカメラは2台までとなります。
もうひとつは “アロバビュー”をインストールするサーバーを、小規模な案件に適したNASにして、導入が容易で安価なパッケージモデルを用意することだ。しかしながら同社はこれまでハードウェアを扱っていなかったため、新たに調達先を見つける必要があった。そんな中、2012年末に取引先の紹介が縁で、エレコムが扱う「ロジテックNAS」に出会う。ロジテックNASは、Windows系のサーバーOS搭載NASとして実績があるうえ、コストパフォーマンスも良く、専用のNVRに比べ10万円以上の価格メリットが生まれた。大きさも非常にコンパクトで、ショップなどスペースがない現場でも置き場所に困らないサイズだ。“アロバビュー”との組み合わせによる検証結果も満足度が高く、ロジテックNASとのパッケージ化が決まった。“アロバビュー”の信頼性と実績を重視する同社にとって、同様に高い信頼性と実績を持つロジテックNASとの組み合わせはベストマッチであった。
そしてなによりエレコム側の担当者の対応に、ともにこの市場に取り組んでいけると確認できたことが大きかった。こうして2013年7月からパッケージモデルの提供が始まり、2014年にはサポート付きの“アロバビュー”をプリインストールしたNAS本体の出荷も予定されている。この連携により監視カメラという新たな市場に向けてロジテックNASの提供が可能となった。
「アロバビューフリー版」の申込み事業者はすでに数百社に上り、“アロバビュー”の使い勝手の良さや、ネットワークカメラによる映像の鮮明さに、驚きの反応が返ってきている。
こうした営業戦略に加え、新たなる取り組みも始まっている。フリー版のサポート対策としてWeb上でのフォーラム設置など「アロバビュー オフィシャルパートナー制度」を開始し、施工業者や販売店をフォローしていく。また、スマートフォンやタブレットで監視カメラの映像をモニタリングしたり、スマートフォンのカメラをネットワークカメラとして利用するといった機能に加え、スマートデバイス向けの機能のさらなる充実を目指す。ネットワークカメラは、さまざまなシステムとの連携が可能なことから、人の流れの分析やマーケティングでの活用も期待され、将来はビッグデータの一端を担うシステムとしても注目されるだろう。