ホテルWi-Fi導入レポート

ホテルWi-Fi導入レポート【ホテルメトロポリタン秋田 様】
日々の運用で大事なのは安定性!過去の教訓を活かし、エレコムの小型ルータを導入!

※無線アクセスポイントのことを「無線AP」と表記しています。

東北観光拠点のひとつJR秋田駅に隣接、
便利なシティホテル「ホテルメトロポリタン秋田」

秋田県の表玄関であるJR秋田駅、その商業施設「トピコ」に隣接するシティホテルが「ホテルメトロポリタン秋田」である。東日本旅客鉄道株式会社のグループ会社である「JR東日本ホテルズ」のシティホテルブランド「メトロポリタンホテルズ」のひとつで、商業施設「トピコ」「アルス」と共に秋田ステーションビル株式会社が運営している。

1986年に「秋田ターミナルホテル」として開業、1996年に現在の「ホテルメトロポリタン秋田」となる。その後、2004年に現在の運営形態となった。地上9階、地下1階のうち地下1階から地上2階までが商業施設「アルス」、3階より上層階がホテル施設となっている。客室数は全115室、秋田新幹線の終着駅であるJR秋田駅に隣接し、観光にもビジネスにも非常に立地のよいホテルである。

田沢湖や男鹿半島周辺の観光をはじめ東北観光の拠点のひとつとして国内外の旅行者に幅広く利用され、連泊されるお客様も多い。また旅行者ばかりでなく、各種会議や視察・研修に訪れる日本人、外国人の団体も多く受け入れている。最近は円安や外国人の日本旅行ブームもあり、東南アジア系を中心とした外国人宿泊客が増加。一時期は東日本大震災の影響により減った宿泊客も、今や震災前の人数を大きく超える勢いだ。

外国人宿泊客が増えると必要とされるのが、やはり無料のインターネット接続サービスだ。特にスマートフォンやタブレットから利用できる「無料Wi-Fiサービス」は、外国人旅行者が求めるサービスの1位になるほど重要になっている※。

そのニーズに対応すべく2014年春に、ホテルメトロポリタン秋田では、全客室にエレコムの小型ルータを使った無料Wi-Fiサービスを導入した。今回はその経緯について、秋田ステーションビル株式会社 総務部 設備担当課長の大川正様に加え、IT分野における高度なサービスを提供し、同ホテルのWi-Fi設備の導入をサポートした株式会社アイネックス ITサポート事業部取締役事業部長 佐藤智好様、同事業部 法人営業部 営業担当チーフ 山上道也様にも同席いただきお話を伺った。

※観光庁「訪日外国人消費動向調査(2014年1~3月)」より

営業活動にも影響が見え始める
もはや待ったなしの無料Wi-Fiサービス導入

ホテルメトロポリタン秋田では2004年に、宿泊客のニーズに合わせて有線LANによる無料インターネット接続サービスを開始し、有線LAN用のモジュラージャックを全客室に設置している。その後、無線LANの普及にともない、2012年頃からは小型ルータの貸し出しによるWi-Fi接続サービスも提供しはじめた。フロントに5台ほど小型ルータを用意し、宿泊客からWi-Fiが使えないのか問い合わせがあった場合に貸し出すという細々としたサービスだった。

しかし、近年の爆発的なスマートフォン/タブレットの普及は、無料Wi-Fiサービスの必要性を急速に高めていった。「同じ秋田市内の多くのホテルが、すでに無料Wi-Fiサービスを導入する中、遅れを取っており、すぐにでも導入しなければならない状況でした。」(大川様)。実際、海外からの団体予約の機会を失ったり、ウォークイン(予約なしの宿泊客)で来た海外からのお客様が無料Wi-Fiサービスが使えないことを知って宿泊してもらえなかったこともあった。

営業サイドでも、旅行代理店などとの交渉時に、無料Wi-Fiサービスが用意されているかを問われることが当然のようになり、対応していないとなると宿泊先の選定から外されるという不利な状況になっていた。そしてようやく2013年秋に、Wi-Fi設備の導入計画が始まった。しかし、この時、大川様の頭の中に過去の苦い経験がよみがえった。それはかつて東京で携わっていたホテルにWi-Fi設備を導入した時のことだった。

運用における最重要ポイントは安定性
過去の教訓を活かし十分な検証のうえで製品設定

大川様はホテルメトロポリタン秋田に赴く前、東京で340室ほどのホテルの立ち上げに携わり、その中でWi-Fi 設備の導入も経験されていた。

その時は、あるメーカーの小型ルータを各客室に導入したのだが、1か月も経つと、ほぼ全部の小型ルータにトラブルが発生するようになったのだ。機器自体が故障するわけではく、再起動さえすれば復旧することがほとんどであったが、それはそれで厄介の種となった。宿泊客からトラブル発生のクレームを受けるたびに客室へ駆けつけ、ACアダプタを抜き差ししなければならないからだ。「340室も客室がある中、頻繁にトラブルが発生し、そのたびにACアダプタの抜き差に走るという作業を大変な思いでやっていました。」(大川様)。あまりにも頻繁に起こるので、メーカーに調べてもらったが原因はわからなかった。結局、システム会社に相談してネットワーク経由でリセットできるシステムを構築してもらい、ようやく大半のトラブルが沈静化した。それでも100%改善されたわけではなく、相変わらず対応が必要なトラブルが多くあり、この時の教訓が今回の導入に大きく影響することになった。

今回、大川様はWi-Fi設備の導入が決まった時点で、候補となる機器を綿密に調査し、エレコム製の小型ルータを選定した。そして実際に使用する環境を想定した条件下で3か月以上テストを繰り返したところ問題なく安定して動作を続けたことから第1候補となった。同時に取引先であるアイネックスの山上様にもお話があった。「去年の秋頃、当社にご相談があり、いくつかの導入プランをご提案させていただきました。使用する機器については、大川様のほうで実機を使った検証をされており、その結果を踏まえてエレコムさんの小型ルータを推奨いただきました。」(山上様)。

幸いにもアイネックスとエレコムの間には取引があり、エレコムの営業担当に話を持ちかけたところ、エレコムでホテルのWi-Fi化工事ビジネスに力を入れているとのことで、トントン拍子に話が進み、翌年1月にはホテルでの現地調査が実施された。「他社に聞いたときは、調査だけでも何十万もすると言われましたが、エレコムさんは調査費用も安く、このときは(キャンペーン中で)無料ということでした。」(山上様)。

調査では、高性能の無線APを廊下などに設置して、1台で複数の客室のWi-Fiをまかなう「無線APプラン」と、各客室に小型ルータを設置する「小型ルータプラン」のどちらが適切かを調べたほか、別途導入予定のホワイエとロビーでも電波状態を調べてプランを決定した。

小型ルータとACアダプタが
有線LAN用のコンセントボックスに収まった!

現地調査や現場のシステムを考慮した結果、客室は大川様も推奨された小型ルータを使用するプランで進められることになった。一方、オープンエリアが広いホワイエとフロントロビーには、高性能無線APを適切な場所に複数設置することになった。

工事は1室10分程度で、チェックアウトとチェックインの状況を見ながら4日間で全115室を完了した。

今回の導入での大きな特長は、有線LANのモジュラープレートとACコンセントが一緒のプレートに装備されていたことで、コンセントボックス内に空間があり、その中に小型ルータを収めることができたことだ。この工法だと壁にネジ穴を開けて小型ルータを固定する必要もないうえ、見栄えがよく盗難の心配もない。プレートを外すだけで作業ができるので工事も容易だ。「エレコムさんから機器をコンセントボックスに入れるという提案があり驚きました。当初はユニットバスの天井口から入って、天井裏に設置しておくつもりだったのですから。」(大川様)。

工事は、まずプレートを外し、コンセントボックス内のLANケーブルを切断して、両端にLANコネクタを取り付ける。小型ルータのWAN側とLAN側にそれぞれを接続したら、ACケーブルにタップを追加し、ACアダプタを接続するだけだ。小型サイズの本体とACアダプタのメリットを100%活かすことができる工法だろう。

SSID、パスワードをはじめ環境設定は客先の要望に合わせて設定してから出荷するため、ホテル側で1台ずつ設定する必要がなく、すぐに運用を始めることができる。客室ごとに小型ルータを設置すると電波状態が非常によく、初期設定のままでは周囲の客室まで電波が届くので、出力は15%に抑えている。

運用が始まって半年近く経つが「かつて導入したWi-Fi設備の苦労に比べると、もう本当に何もしなくていいぐらい、メンテナンスフリー状態です。」と大川様は笑顔で応える。

エレコムなら営業マンがすべての窓口に、
レスポンスもよくスムーズな導入を実現

エレコムへの高い評価は、大川様からだけではない。導入をサポートしたアイネックスの担当者である山上様も、エレコムの営業スタイルについて、「他社さんだと、商品のことや見積は営業担当、工事のことは工事担当、技術的なことはサポート担当というように、それぞれの担当者と話さなければならないことが多いのですが、エレコムさんは営業担当の方がすべての窓口となってくれるので、仕事の距離感をすごく短く感じることができました。疑問点も質問しやすく、またそのレスポンスもよく、仕事がとてもスムーズに進みました。」と、こちらも高い評価だ。

では、現場では無料Wi-Fiサービスの導入によって、どのような変化があったのだろうか。有線LANしかなかった時は、ホテルの下にあるカフェなどのフリースポットを利用してもらっていたものが、客室で無料Wi-Fiサービスが利用できるようになったことで宿泊客の利便性が向上して好評なうえ、有線LAN時代より通信量も増加している。SSIDやパスワードを案内した多言語版の接続マニュアルも標準でエレコムが提供しており、外国人宿泊者の方が困らないように配慮されている。

営業サイドでは、旅行代理店などのWebサイトやパンフレットに、客室が無料Wi-Fiサービスに対応していることをサービス一覧の記号として掲載してもらえるようになり、観光客はもちろん、ビジネスマンなどにも広くアピールできるようになったそうだ。

今回、全客室への無料Wi-Fiサービスの導入で、ようやく時代のニーズに追いついた。しかし、すでにiPhone 6のように11n規格よりも高速な11ac規格のWi-Fiに対応するスマートフォンやタブレットが登場しているため、次は11ac規格対応の必要性も感じている。そのためには、複雑になる運用に対応できるよう現場のスキルアップも重要だ。このような課題を整理しつつ、今後も将来性のあるサービスを導入していく方向で、変化するお客様のニーズに、常に応えられるホテルを目指したいと考えているとのことだ。

客室にあった有線LAN 用モジュラープレートの
コンセントボックスに小型ルータとAC アダプタを収納!!

現地調査で客室および既存設備を確認し、
それぞれのホテル・旅館に適した工事プランをご提案いたします。

ホテルメトロポリタン秋田様の場合

  • 客室にすでに設置されていた有線LAN設備を有効活用するため「小型ルータ方式」を採用
  • ACコンセントと一体になった既存の有線LANモジュラープレートの
      コンセントボックス内に小型ルータとACアダプタを収納
  • 客室に配線された既存の有線LAN設備を活用したことで配線工事費ゼロを実現
  • 客室ごとに小型ルータを設置することでデットスポットを解消
  • オープンエリアの広いロビーとホワイエには、高性能の法人向け無線APを天井内に設置

有線LAN のコンセントボックスに小型ルータを収納!

小型ルータのSSIDとパスワードは、ホテル様ご指定の内容に設定して出荷することも可能です。
工事が終われば、すぐに運用できます。

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ホテルメトロポリタン秋田
開業:1986 年7月 / 所在地:秋田県秋田市
1986年7月に「秋田ターミナルホテル」として開業。1996年に東日本旅客鉄道株式会社のグループ会社である「JR東日本ホテルズ」のシティホテルブランド「メトロポリタンホテルズ」のひとつとなる。
2004 年からは、秋田ステーションビル株式会社が運営を行っている。
ホテル公式サイトhttp://www.metro-akita.jp/
株式会社アイネックス 公式サイトhttp://www.inecx.co.jp/index.html

今回、取材にご対応いただいた
秋田ステーションビル株式会社 総務部
設備担当課長の大川正様(写真左)
株式会社アイネックス
ITサポート事業部
取締役事業部長 佐藤智好様(写真中)
同事業部 法人営業部
営業担当 チーフ 山上道也様(写真右)。