無線LAN導入レポート - 無線アクセスポイント

Wi-Fi導入レポート【西尾レントオール株式会社 様】
広大な敷地の営業所に導入したエレコムの法人向け無線APで現場業務をイノベーション!

※無線アクセスポイントのことを「無線AP」と表記しています。

建設機材のレンタル、イベントでの機材レンタルを
2本の柱とする総合レンタル企業の西尾レントオール

西尾レントオール株式会社は、昭和34年(1959年)10月に設立された東証一部上場の総合レンタル企業のパイオニアである。タワークレーンのような大型機から工事現場の小さな機材まで幅広い建設機械を扱う建機レンタル事業と、大型の仮設テントをはじめ、イベント展示における大小さまざまな機材のレンタル、設計や施工をおこなうイベント・展示会向けレンタル事業の2つが事業の大きな柱となっている。

近年では、建設ICT(情報化施工)の分野に注力している。建設ICTとは、GPSと測量機器、建設機器を組み合わせて、施工の自動化またはサポートをおこなうものである。作業員の高齢化が進み、若い人に技術が継承されない問題が起こっている。そこで最新の機器と技術を組み合わせることで職人ワザと呼ばれる技術を自動化し、若い作業員でも一定レベルの施工ができるようにするものだ。また建設ICTでの工事に不慣れなお客様の場合は、機械のレンタルとともにサポートスタッフも提供する「モノ+人」というシステムにも注力している。

ITを使った技術革新が進む建設業界であるが、その波は同社の社内にも及んでいる。2014年夏に全国の営業所に、業務改善を目指して営業マンと技術マン向けにタブレットとWi-Fi環境を導入、その無線APとしてエレコムの“WAB-S1167-PS”が約600台導入されている。そこで今回、西尾レントオール株式会社 情報システム室 室長 辻野東亜様、情報システム室 係長 佐々井武志様に今回導入されたWi-Fiシステムについてお話を伺った。

当初は営業マン向けにタブレットの導入を計画現場を見て
Wi-Fi+タブレットで業務改善の可能性

2014年に営業所へのiPadを使ったタブレットの導入が計画された。同社の営業所の多くは、営業マンだけでなく、大型の建設機械などが留置する広大な敷地や、レンタル機材を保管する倉庫を備え、営業部門以外に機材のメンテナンス等をする技術マンもいる大きなものだ。計画当初は営業支援でのタブレット導入だったが「単にニーズがあるから取り入れるではなく、そこに何かを加えることで、何らかのイノベーションが起こるかを考えてプロデュースしていくのが我々の部門です。」(辻野様)とおっしゃるように、今回も情報システム室の手腕が発揮された。

自社のレンタル機材を使って、無線APを
収納したBOXを高所へ取り付け。

当初の計画を進めるために営業所を調査したときに、技術マンが事務所と作業場を頻繁に行き来している姿を見た。話を聞いてみると作業場で必要な書類を取りに戻ったり、作業場でできない業務を事務所に戻ってやっていることがわかった。また、事務所に出入りするたびに、安全靴を脱ぎ履きする姿を目にして、技術マンにタブレットを持たせることで、無駄な時間を省き業務改善につながると分析したのだ。

技術マンが広大な敷地でタブレットを利用しようとすると、敷地内を網羅するWi-Fiを導入するか、キャリアなどのデータ通信サービスを利用する必要がある。しかし、データ通信サービスはランニングコストがかかりすぎるし、通信業者が提案したWi-Fiシステムでは、全国に200ほどある営業所に導入すると億近い費用がかかることがわかり計画は頓挫する。そんな時、取り引きがあるエレコムの営業マンから、新製品の法人向け無線AP“WAB-S1167-PS”の紹介があった。製品の説明を聞いて、これならとサンプルを借りて実際に営業所でテストして、良い感触を得る。こうして営業所の敷地全体をWi-Fiでつなぐという計画が一歩進んだ。

多彩な機能を持った法人向け無線AP“WAB-S1167-PS”
実際の導入に向けて営業所で現地調査を実施

法人向けPoE無線アクセスポイント
WAB-S1167-PS

エレコムの法人向け無線AP“WAB-S1167-PS”には、工場や倉庫といった現場にも適したさまざまな機能がある。2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドに対応し、IEEE802.11ac/a/n/g/bのいずれの無線規格でも利用できる。電源は「PoE」に対応し、無線APの周囲にAC100Vがない場合でも、PoE対応のスイッチングハブからLANケーブルを使って給電できる。PoEで受電している無線APからさらに先の無線APにPoE給電できる「PoEパススルー」も利用可能だ。また、無線AP同士を無線で接続する「WDS」にも対応している。これらをうまく組み合わせることで現地の電源や配線状況に応じた無線APの設置が可能になっている。

さらに複数のSSIDを同時に利用できる「マルチSSID」やタブレットを利用しながら移動できる「ローミング」機能の搭載、空調のない倉庫のような過酷な現場でも耐える「耐熱50℃仕様」など、多彩な機能を搭載しながらアンテナを本体に内蔵したコンパクトでスクエアな筐体となっている。この“WAB-S1167-PS”を使った現地調査は2014年の5月から始まった。

営業所では高所に設置する場合が大半なので、まずは高所作業車と、その操作資格を持った人員を段取りするところから始まった。次にインターネット回線の引き込みだ。各営業所のネットワークは専用回線で社内LANとつながっていたが、別途インターネット接続業者の回線を引き込んでおくことで、万一の障害発生時にもメールのやり取りや最小限の業務は止めずに済み、システムの冗長化にもつながる。さらにWi-Fiとタブレットにインターネットを組み合わせることで、新たな利便性も生まれる。こうして準備が終わると、実際の導入に向けて無線APの性能をテストする現地調査が始まった。どこまで電波が届くのか3人のメンバーでiPadを持ってポイントごとに印を付け、距離を伸ばしながら調査を進める。単に接続できるかだけでなくスピードテストも実施し、本格導入へ向けて動き出した。

さまざまな問題に直面しながらも、ノウハウを積み上げ
全国の営業所にWi-Fi設備を展開

だが調査は一筋縄ではいかなかった。同じ営業所で翌朝ふたたび調査を始めると、重機や作業車が出入りすることで電波状況が変わってしまうことがわかり、いろいろと試行錯誤を繰り返した。電源の確認にも苦労する。露天である重機や作業車の留置スペースには照明設備ぐらいしかなく、その照明の電源の供給元が敷地外の電柱だったり、それさえわからなかったりと、ひとつひとつ確認をとる必要があった。それでも「徐々にノウハウが蓄積されて頭の中にイメージもできあがってきました。それでも次の営業所で見事に打ち砕かれることもありました。」(辻野様)。

重機を運ぶことが多い同社の営業所は、地理的に幹線道路や 高速道路、インターチェンジに隣接していることが多く、どうし ても電波干渉を受けやすい。無線を利用するトラックが通過す ると一時的に電波が途切れることもある。そこで現場の状況に 合わせて5GHz帯と2.4GHz帯を使い分け、環境に応じて 2.4GHz帯をオフにするなどした。こうして現地調査で得たノウ ハウをもとに各営業所の図面に無線APの配置を落とし込む。 最終的には全国の営業所に設置工事をする施工業者と打ち合 わせをして、現場で調整しながらの施工を依頼する。まずはス ピードテストを実施し、インターネットのYahoo!で確認して、そ の後に社内システムでの動作確認、この3つのチェックポイント でOKが出る環境を考えたという流れだ。2014年6~8月の間 に200ある営業所への導入工事が完了し、最終的に600台近 い無線APが設置された。

全国の約200拠点に600台弱を導入
双方が協力して導入できたことを高く評価

導入から半年が経過したが運用は順調とのことだ。とはいえ600台近く導入されているので故障がないわけではない。「これだけあると故障も発生しますが、交換用の無線APを確保してもらっているので、届いたら設定情報(config)を入れて、すぐポンと送れますので、非常に簡単・便利で助かっています。」(佐々井様)とのことだ。各営業所の無線APごとの設定情報はすべて管理されており、現場のほうでは交換するだけで済むようになっている。

興味深いのが故障した無線APの特定方法だ。高所に設置され簡単には近づけないので、故障した無線APを特定することが重要だ。そこで無線APごとに業務で使用する共通のSSIDとは別に、無線APごとに独自のSSIDを持たせている。故障すると無線APが持つ独自のSSIDは表示されないので簡単に対象となる無線APを特定できるというユニークなアイデアだ。

実際にエレコムの法人向け無線AP“WAB-S1167-PS”を導入した評価はどうなのだろうか。まずは求める機能を十分にクリアしている機器が他になかったこと、特に動作時の耐熱温度50℃は大きな魅力だったそうだ。今回は空調のない場所や露天のBOXに収められるものもあり、熱に強いということは重要なポイントだった。そして保守体制がしっかりしていることも選定の大きな理由だ。もうひとつ強調されたことが、このプロジェクトが完成形ありきで始まったわけではなく「エレコム側の製品を提供したい、情報システム室側のそれを使ってみたいという2つのニーズがマッチし、疑問点ではエレコムの技術担当も参加するなど、双方が協力して進めて完成させたことが今回の一番の強みでしょう。」(辻野様)と、高い評価を得ている。

タブレットにWi-Fiとインターネットを組み合わせて
シームレスな作業環境へとイノベーション

当初は営業マンの営業支援のためだったタブレットの導入計画が、営業所の敷地全体へのWi-Fiの導入、技術マンの活動支援にまで広がった。今まで技術マンは作業場で点検した内容を書類に手書きで記入し、事務所に戻ってそれをもとに整備明細書をパソコンで入力するといった業務スタイルで、これでは作業場で夜遅くまで作業してから、さらに事務所で業務処理をする必要があり時間の無駄だった。今回、業務ごとにバラバラだった作業を見直し、今では多くの業務処理が画面上で可能になった。同じ業務をiPadでもパソコンでもできるようシームレス化し、さらに作業場でも事務所でもできるようにした。また、インターネットにiPadから接続できることで、事務所のパソコンまで戻らずに、作業場で整備する機械を目の前にしてメーカーの図面を検索したり、FAQを調べたりできるのも大きなメリットだ。

今後は、ファームウェアのバージョンアップ等による新しい機能を取り入れたり、現在200近くある営業所のWi-Fiシステムを1年間しっかり管理し、実際の現場での電波状況がどうなるかなどのノウハウを蓄積し、これから新しくできる営業所では、建物のどの位置に電源やLANを準備すればよいかを設計段階で提案するなど、情報システム室のほうから営業所の中へ攻める体勢で、得られたノウハウをうまくプロデュースして関連会社にまで広めていけたらと考えているとのことだ。そして、「次はNASとつなげるなど、Wi-Fiと他の違うものをつなげることで新しい何かが生まれないか。Wi-Fiだけで何かを考えるのではなくて、ソリューションとして違うハードと組み合わせたり、社内のネットワークとどうつなげていくか。今はCloudのサービスなども色々あり、こういったものも上手く活用していけたらいいなと考えます。今回、まずはその下地ができたのでここからだと思っています。」(辻野様)と、まだまだ情報システム室による社内業務のイノベーションは終わらない。

エレコムの法人無線AP の機能を駆使して、
敷地全体をWi-Fi でカバー!

事務所内も、作業場内も、屋外の留置スペースも、
Wi-Fiでタブレットとつながり業務を効率化

タブレット + Wi-Fi導入前

  • 客室に有線LAN 設備はなかった
  • できれば客室や廊下に機器を露出させたくない
  • 特別室など大きな客室に電波が届くか心配

タブレット + Wi-Fi導入後

  • 作業場でも事務所でもその場で業務処理ができるようになった
  • 作業場でタブレットを使ってその場で直接入力できるようになった
  • タブレットとPCで同じ業務をシームレスに処理できるようになった
システム構成イメージ※システム構成をわかりやすく説明するために架空の営業所をイメージ化しています。
  • デリバリー保守

    製品が故障した場合、お客様にて障害原因切り分け後、ハードウェア故障の場合に代替品を指定場所へ発送する保守サービスです。代替品が到着し、故障品と交換いただいた後、故障品をご返送いただきます。

  • センドバック延長保守

    3年間のセンドバック形式の無償保証期間が設定されています。「延長保守」とは製品購入時に別途「延長保守」を契約いただくことで、無償保証期間終了後に修理を依頼される場合に修理費用が不要となるサービスです。

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西尾レントオール株式会社
設立:昭和34 年 / 本社所在地:大阪
東証一部に上場する総合レンタル企業。建設機材、イベント展示の
分野における大小さまざまな機材・備品をレンタルする。

今回、取材に応じていただいた
情報システム室
室長 辻野東亜様(左)
係長 佐々井武志様(右)