
【東久留米市立 上の原さくら保育園】
保育園における事務業務のICT化にともない、園内どこでもタブレット端末を使えるWi-Fi環境を整備
保育園における事務業務のICT化にともない、園内どこでもタブレット端末を使えるWi-Fi環境を整備
都心部まで電車で約30分という立地ながら、都内で唯一「平成の名水百選」にも選ばれたほどの自然環境が残る東久留米市。 市内の高台にある上の原さくら保育園は、近隣の園児約110名が通う、公設民営の保育園だ。 同園では、業務効率の向上を図るため「保育支援システム」を導入され、その運用のためにエレコムの無線アクセスポイントを採用いただいた。 今回は、同園の野村園長と事務担当の関口氏に、導入の経緯や運営の実態について伺った。
ICTの導入が急がれる保育の現場
保育士の業務負担軽減を図るため、保育所等へのICT(情報通信技術)導入の必要性が高まっている。そこで厚生労働省では、ICT化に伴うソフト導入に対して補助金を交付する取り組みを行っている。そのため同園では保育支援システムを導入した。
保育支援システムとは、保育園の運営に必要となる年間・月間・週間の指導計画の作成や、園児台帳の作成管理、登降園管理システムなどを統合したものを指す。上の原さくら保育園では、株式会社エステムの「桜システム」を2017年3月初旬に導入され、約2ヵ月間運用されてきた。これにともない、園内全域でWi-Fiの使用を可能にするため、エレコムのWi-Fi関連機器をご採用いただいた。
事務作業の効率化を図り、園児に関わる時間を増やす
上の原さくら保育園の野村園長は、今回のICT導入の目的について「保育園での業務は、様々な報告書の作成が必要になるのですが、できるだけそういう時間を省いて、子どもたちに直接関わる仕事に時間を割きたいのです。そのため人の手に頼る作業を省いて、業務を効率化したかった」と語る。

例えば登降園管理システム。従来は、園児を連れて登園してきた保護者が送迎表に登園時間を記入。それを元に集計を行い、園長や看護師が業務日報などに転記していたのだという。今回導入されたシステムでは、保護者が受付に設置されたタッチパネルにタッチするだけで登降園情報が記録され、同時に各部署で共有される。また、時間外保育の利用状況なども、自動的に弾き出してくれるようになった。
[上の原さくら保育園の保育支援システム運用の概要]
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タッチパネル式登降園
管理システム(1階ホール)保護者が、パネルにタッチするだけで登降園情報を記録・共有。例えば、食物アレルギーを持った園児が登園した場合、その連絡が給食室に自動で届く。
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タブレット端末による
情報共有(各教室)各保育室にタブレット端末(MicrosoftSurface)を1台ずつ設置し、他のクラスや事務室と情報を共有。例えば、トラブル発生時の状況を瞬時に情報共有できたり、散歩の行先が重複しないよう確認したい時などに参照できる。
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必要書類の作成
保育所等の運営においては、厚生労働省が作成した保育所保育指針に沿った指導計画の作成が義務付けられている。同園では、これまでWordやExcelで書類を作成してきたが、今後は桜システムを使うことにより、同園の保育方針にカスタマイズした計画書の効率的な作成と管理が可能になる。
エレコムのWi-Fiシステムを導入
上の原さくら保育園では、桜システムを導入するにあたって、園内全域でWi-Fiの使用を可能にする必要があった。そこで、納入業者の選定を任されたのが事務の関口氏だ。

「業者さん選びでは、3つの課題がありました。一つは『安全性の担保』です。外部に情報が漏れないよう信頼性の高いシステムであることが絶対条件でした。二つ目は『コストパフォーマンス』です。費用面でも納得できることが重要でした。3つめは『保守』ですね。月々の保守料金はバカになりませんし、ほとんど壊れない機器に対して大きなお金をかけるよりは、壊れた時に速やかに対応してくれる業者さんであることを重視しました。この3つの課題のバランスを考えて、エレコムさんにお願いしました」
無線アクセスポイントは園舎の1階と2階に合計6台を設置。配線は天井裏を通し、機器は点検口付近の天井裏に設置したため、外から見ただけでは全くわからない。
実体験を大切に、その先の好奇心を広げるために
タブレットを活用したい

上の原さくら保育園を運営している、社会福祉法人ユーカリ福祉会では、「食育」に力を入れている。
「『子どものそばに命ある環境を作っていこう』というのは、法人設立時からの理念です。ですから、いまも園庭でチャボを飼ったり、保育室で虫を飼ったりということをしています。他にも、畑や田んぼを作って作物を栽培して、それを調理し食べるといった取り組みもしています」と野村園長。そのような「経験」を、さらに深めるためのICTの活用も視野に入れている。
「私は埼玉の田舎の兼業農家で育ったのですが、縁側に立てば庭にニワトリが歩いていて、周りには田んぼしかないという環境でした。そんなこともあって、子どもが小さいうちは、そばに自然なものを置いておきたいという気持ちが強いんですね。まず、実際に自分の手で土に触れたり、作物を収穫したりする実体験。そういうものを経験したうえで、『この虫についてもっと知りたい』とタブレット端末で調べたりする。あくまでも実体験をベースに、ICTをよりその体験を深めるためのツールとして将来的に活用していけたらと考えています」
- 畑では米や野菜のほか、しいたけも栽培されている。
- 地球儀や図鑑などが置かれた「しらべコーナー」。将来的にはここにタブレット端末を加えることも検討中。
整備したWi-Fi環境を、
災害発生時の避難者にも提供したい
同保育園は、災害発生時における地域の二次避難所となっている。最初に住民が避難する場所が一次避難所で、二次避難所はその次の過程で落ち着いて避難生活を送るための場所を指す。同保育園は、小さな子どもを持つ家族が過ごす二次避難所と指定されているのだ。今回の取材を通じて、導入したエレコムのWi-Fiシステムでは「ゲストモード(業務用のネットワークと隔離されたネットワーク)」が設定できると知った野村園長は、ぜひこの機能を使って避難者向けにWi-Fi環境を提供したいと語った。
- 社会福祉法人ユーカリ福祉会
東久留米市立上の原さくら保育園
園長 野村氏
- 社会福祉法人ユーカリ福祉会
東久留米市立上の原さくら保育園
事務 関口氏
「東日本大震災の時、私は東村山市の保育園の園長をしていました。幸い人的な被害はありませんでしたが、電話も携帯も繋がらなくなり、保護者への連絡手段はネットしかなかったのです。当時から私はTwitterやFacebookで情報発信をしていましたので、その時も全員無事であることを伝えることができました」と、被災時にネット環境を提供することの意義を語った。
都市部を中心に保育施設や保育士の不足が叫ばれるなか、ICTを通じて業務の負担を軽減していこうという取り組みは始まったばかりだ。普段の業務はもちろん、万一の災害発生時にも、新たに導入したWi-Fi環境が人と人をつなぐ役割を果たしていくことだろう。
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