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福井コンピュータ株式会社は建築・測量・土木関係のCADソフトウェアを開発、販売、サポートしているソフトウェア会社である。3次元建築設計システム「ARCHITREND Z」、測量設計CADシステム「BLUETREND V」はそれぞれの市場でNo.1のシェアを持つ、CADソフトウェア業界の雄だ。また官公庁向けの電子納品管理システム「EX-TREND 官公庁シリーズ」はシステム導入済みの44都道府県の内、21道府県で導入されており、シェア半分に近い導入実績を持つ。2007年には東証一部上場を果たし、今後さらなる躍進が期待されている。
今回は福井コンピュータ開発本部 建築商品開発部 プロダクトマネジメントグループ 下河様と土木商品開発部 プロダクトマネジメントグループ課長 桝井様にご協力いただき、同社製ソフトとロジテック製NAS製品の動作検証を行っていただいた。CADソフトのユーザーが実際に使う場合にファイルサーバとして実用になるかどうかをチェックする内容の検証である。インタビューでは検証の結果と現在の市場環境、今後の展望をお聞きしていく。 |

国土交通省を始めとして地方自治体でも工事などの図面・写真をデジタルデータで納品する「電子納品」の義務化が進んでいる。そのためCADによるデジタルデータ化は必須という状態である。
また土木業界では、中規模以上での工事で共同企業体(JV)を組織することがとても多く、複数の企業がそれぞれにパソコンを持ち込むケースが「当たり前になっている」(桝井課長)。この時仕様するデータの一元管理をするためにファイルサーバが使われるのが一般的となってきた。
大規模な工事であれば専用のファイルサーバを立ち上げることもあるが、実際には中小規模の工事も数多い。そこに専任の管理者が必要なPCサーバーをファイルサーバとして導入することは現実的ではない。
そこで昨今、現場で急速に普及しているのが管理者不要で設定が容易な「NAS」である。
ただし最近台数を伸ばしているLinuxを搭載したNASは安価で導入時に専門家も必要ないが、「レスポンス面でかなり問題があった」(下河課長)。同時にアクセスするユーザーが多くなると低スペックなLinux搭載NASでは処理が追いつかないためだ。
またLinux搭載NASは安定運用面でも問題を抱えているケースが散見され、レスポンスが悪かったりトラブルが多いと業務にならないため「ある程度のスペック、安定性を持った製品でないと実務での採用は厳しい」(桝井課長)。
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今回、福井コンピュータ様ではロジテックの松LSV-6R1000/4Bと竹LSV-5S1000/4Cを検証していただいた。双方ともOSにWindows Storage Server 2003 R2(以下WSS)を採用しているため、Windowsと操作も共通しており、システム的にも互換性が高いため大変使いやすいと評価していただけた。例えば「OSがWindowsシリーズなのでWindowsドメインへの参加も簡単にできた」(下河課長)。
Linux搭載NASの場合は設定や操作方法が各社でバラバラであり、それぞれは簡単にできたとしても製品ごとに学習が必要になる。使い慣れた操作方法が通用するWSSは余計なコストをかけずに使いこなすことができる。
建築や土木の現場ではパソコンやファイルサーバはあくまで道具の一つであり、「気軽に使えると言うことが一番求められている」(桝井課長)。普段使っているパソコンと操作が共通しているWSS搭載という点は導入に対するハードルを下げることができそうである。
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WSS搭載NASがLinux搭載NASよりも有利な部分はインターフェイス面だけではない。セキュリティ面に関しても使い勝手の差が出てくる。「WindowsならばOSの更新があった場合、インターネットから自動的にアップデートすることが出来る上、市販されているセキュリティ対策ソフトがそのまま使えるため万全の対策を講じることができる」(下河課長)。
Linux搭載NASの場合はOSの完成度が低いため、機能に関するアップデートが頻繁にある。各メーカーのサポート情報を随時チェックする必要があり、アップデートする場合も手動でやらなければならない。一方でLinuxベースのアンチウイルスソフトはほとんど市販されていないためウイルスに感染したファイルへの対策が無いのが実情である。
工事現場でJVを組織した場合、様々なセキュリティレベルのパソコンが持ち込まれることもある。その中の一つでもウイルスに感染していた場合、NASを介してネットワーク全体に広がる危険がある。その場合でもNAS本体にウイルス対策がしてあれば、感染の拡大を防止することが可能だ。
特に公共事業の場合、セキュリティ対策を怠っていてデータの流出や消失が起これば大きな問題に発展してしまう。「セキュリティに対してはシビア」(桝井課長)な目が向けられている。
あらかじめセキュリティホールをゼロにすることができないのはWindowsでもLinuxでも同じであり、どこまで対処を素早くできるかが問題になる。その時にOSを自動でアップデートができ、しかも容易に市販ソフトでの対策が打てるWindowsは現場の手間を少なくする意味でも有利なのである。 |

性能面については、Linux搭載NASとのスピード差をハッキリ感じていただけたようだ。「安価なLinux搭載NASを使ったときよりは、かなりストレスが少なく使えた」(下河課長)。
実際に福井コンピュータで検証した結果についてはグラフを参考にしていただきたい。
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CADを扱う現場でもLinux搭載NASで運用できる場合もあれば、PCサーバを用意してファイルサーバを構築しなければ効率的に業務ができない場合もある。しかし電子納品の義務化により、デジタルデータでの処理が中小企業まで浸透していく現在、一番求められているファイルサーバは両者の中間的なバランスを持った製品である。
ロジテックのWSS搭載NASは性能面ではLinux搭載NASをはるかに上回り、コスト面では導入時から運用に関わる費用まで汎用サーバマシンと比べて有利である。福井コンピュータのCADソフトウェア製品と組み合わせれば、多くのユーザーが求めるバランスの取れたシステムを構築することができそうである。
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製品に関するお問い合わせはこちら>http://www1.fukuicompu.co.jp/


製品に関するお問い合わせはこちら>http://www1.fukuicompu.co.jp/


同社製ソフトとロジテック製NAS製品の動作検証にご協力いただいた、
開発本部 建築商品開発部 プロダクトマネジメントグループ
下河様(左)と土木商品開発部 プロダクトマネジメントグループ課長 桝井様(右)。
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