葉田:株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。この度、エレコムグループは代表取締役社長として経営マネジメント能力と法人ビジネス及び海外ビジネスの経験を兼ね備えた石見浩一氏を迎えることとなりました。これを機に、次の成長に向けた体制を確立し、グループ全体を更なる高みへ進めてまいります。
石見:この度、代表取締役社長執行役員を拝命いたしました石見浩一でございます。私の使命は、エレコムグループがこれまで培ってきた強みを基に、海外市場の拡大とBtoB領域の強化を通じ、新たな成長軌道に加速していくことです。皆様の継続的なご支援と信頼に応えるべく、全力を尽くしてまいります。
葉田:前期までの2期連続減収減益の反省を活かし、製品開発体制においてスクラッチ開発の強化と円安下での利益確保を目的としたコスト体質の強化に全力を尽くしました。
石見:BtoB領域では、地方での業績が低迷しており、その原因を究明すべく現場へ赴くと「お客様とのコミュニケーションの中でニーズを捉え、最適なソリューションを提案する」という当たり前の活動をしていないことが分かりました。そこで、まず基本に立ち返ることを徹底。その結果、業績は急速に改善しました。
葉田:当期のM&Aにおいて、テスコム電機株式会社とgroxi株式会社の2社が新たにエレコムグループに加わったことは、将来に向けての大きな成果であり、当期の業績にも大きく寄与しました。
これらの結果、第39期(2024年3月期)の連結業績は、売上高は110,169百万円(前連結会計年度比6.2%増)、営業利益は12,380百万円(前連結会計年度比9.5%増)、経常利益は13,360百万円(前連結会計年度比17.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,985百万円(前連結会計年度比22.8%増)となりました。利益面についても期初の目標を上回り、増収増益となりました。
葉田:私たちの究極の目標は、世界的なブランドとしてエレコムの地位を築くことです。その第一歩となる成長戦略では、売上高3,000億円を目指した基盤づくりに注力します。まずは国内市場での着実な成長を図る一方、海外展開が急務だと考えています。
石見:海外展開は、エレコムの将来ビジョンを実現する上で最も重要な成長戦略です。特に米国市場は、世界最大の消費市場であり、ECを販売チャネルに製品ラインナップの拡充とデジタルマーケティングを積極的に推進し市場攻略を進めてまいります。米国市場でエレコムブランドの浸透とともに、アジア市場や欧州市場への展開も合わせ考え展開する計画です。
葉田:国内市場は、新製品の積極的な投入とシェア拡大に努めるとともに、EC販売チャネルの強化を進めてまいります。さらに、新しくグループに加わったテスコム電機株式会社の理美容関連製品においても、エレコムの強みである製品開発・調達、営業提案力を融合することで、これまで以上に収益を向上させます。特に、新製品開発マネジメント(営業・開発の部門連係等)の立て直し・機能強化を図り、2024年4月に立ち上げた深圳開発拠点を最大限に活用することで、各チャネルとも第2四半期以降成長軌道への回帰を視野に新製品を続々と投入し、将来的には海外販路のさらなる拡大を行います。
石見:BtoB領域では、同じくグループに加わったgroxi株式会社の強みである広域ネットワークの設計・構築・保守・運用をハブに、DXアンテナの監視カメラなどのセキュリティ製品や通信設備等の設置工事などを加えた一気通貫の総合ソリューションとして提供することを柱に積極的な販路拡大を図ります。
葉田:M&Aにつきましては、グループ全体の成長を加速し事業領域の拡大を目的に推進します。特に海外市場での拡大を見据え、革新的な技術や製品を持つ企業や魅力的な販売チャネルを持つ企業を積極的に検討します。これにより、新たな市場への進出を加速するとともに、エレコムの技術力やブランド力の強化を図ります。
石見:私は、革新を恐れず変化に柔軟に対応し、「当たり前のことを当たり前に行う」というシンプルながら根本的な考え方を組織全体で共有し、徹底することが企業成長に不可欠だと考えています。幸いエレコムには、高いポテンシャルを持った有能な人材が揃っています。マネジメント、EC、DX、AIなどの専門分野における人材の育成を通じて、エレコムの競争力をさらに高めていきます。
葉田:中期経営計画の初年度にあたる第40期は、エレコムグループにとって新たな飛躍の始まりです。この期間に達成される成果は、将来の成長基盤を築く上で重要な役割を果たすものと考えています。
葉田:当期の大改革を経て、ようやく新たな成長期に突入する準備が整いました。そして、市場や為替の動向に左右されず、真に価値ある企業へと変貌を遂げなければなりません。エレコムグループが目指すのは、業績の向上とともに、本質的に優れた企業になることです。
石見:私たちは「日本発、One & Only」の精神のもと、エレコムブランドをグローバルに展開し、唯一無二の存在へと成長させることを目指しています。エレコムグループには、チャレンジ精神旺盛で有能な人材が集まっています。彼らとともに新たな価値を創造し、日本国内での成長を続けつつ、グローバル市場での無限の可能性に挑戦します。
葉田:なお、株主の皆様への配当につきましては、これまで通りの方針を継続いたします。私たちは、皆様の期待に応えるべく、一層の努力を重ねてまいります。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。