Vol.06 ワイヤレス充電でスマホを発熱させずバッテリーを劣化させない方法
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ワイヤレス充電でスマホを発熱させずバッテリーを劣化させない方法

ワイヤレス充電でスマホを発熱させずバッテリーを劣化させない方法

最近、Qi規格のワイヤレス充電をスマートフォンの充電手段として活用する人が増えてきました。ワイヤレス充電を使えば、ケーブルレスで充電できるため、Qiに対応しているスマートフォンであれば、機種を選ばず充電が可能です。また、充電器のタイプによっては複数のスマートフォンを同時に充電できます。
このように、便利なワイヤレス充電ですが、バッテリーが劣化するといったことや、発熱するなどの問題はないのでしょうか。ここでは、ワイヤレス充電器がバッテリーに与える影響や、スマートフォンのバッテリーを劣化させない正しい充電方法、充電中に発熱した場合の対処法をご紹介します。

ワイヤレス充電器がバッテリーを劣化させることはある?

ワイヤレス充電器がバッテリーを劣化させることはある?

Qi規格のスマートフォンをただ置くだけで充電できるワイヤレス充電は、たいへん便利な製品です。スマートフォンを机に置くタイミングがあれば、いつでも充電できますし、使わないときはワイヤレス充電器に置きっぱなしにしておけばいいのです。
しかし、このような使い方をしても、バッテリーにダメージを与えないのでしょうか。ここでは、ワイヤレス充電器がバッテリーを劣化させるかどうかを考えてみましょう。

スマートフォンを繰り返し充電し続けて大丈夫?

繰り返し充電できる「二次電池」には、鉛蓄電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池があります。そのうち、ニッカド電池、ニッケル水素電池には、継ぎ足して充電を繰り返すことで充電容量が減ってしまう「メモリ効果」と呼ばれる欠点があります。そのため、充電を始める前に電力を使い切る必要がありました。

しかし、スマートフォンのバッテリーには、メモリ効果の起きにくいリチウムイオン電池が採用されていることがほとんどなので、継ぎ足し充電をしても問題ありません。iPhoneで採用されているリチウムイオン電池では、充電を繰り返しても本来の容量の80%を維持するように設計されています。ですから、勤務中に自席で充電し、離席するたびに持ち歩き、戻ってまた充電することを繰り返しても大丈夫です。
このように、リチウムイオン電池は何度も充電してもメモリ効果は起きません。しかし、バッテリー自体の寿命にダメージを与えるかどうかも気になるところでしょう。

例えば、リチウムイオン電池の寿命は、「500回の充電サイクル」とされています。この充電サイクルとは、1回の充電を指すのではなく「バッテリー容量の100%に相当する電力を充電したこと」を指します。つまり、バッテリー容量の20%を充電した翌日にバッテリー容量の50%を充電し、さらに翌日にバッテリー容量の30%を充電すると、初めて1サイクル消費したことになるのです。
つまり、毎日1%バッテリーを消費して1%充電したとしても、単純計算では100日で1サイクルしか寿命を消費しないことになります。また、500サイクル消費しても本来の能力を発揮できなくなるだけで完全に使えなくなるわけではありません。ですから、通常の使い方であれば繰り返し充電しても心配はないといえるでしょう。

スマートフォンを繰り返し充電し続けて大丈夫?

スマートフォンを充電器に放置して大丈夫?

前述したように、リチウムイオン電池は継ぎ足し充電も問題ありませんし、充電サイクルも通常の使い方では心配する必要はありません。だとすれば、スマートフォンを使用していないときは、充電器の上に置き続けても大丈夫なのでしょうか?
リチウムイオン電池のウィークポイントには、「熱」があります。例えば、iPhoneに採用されているリチウムイオン電池の場合は、Appleが推奨するバッテリー温度を超えると80%以上の充電を制限する仕組みがあります。これは、iPhoneは80%までは短時間で充電しますが、残り20%はバッテリーの負荷を減らして耐用年数を延ばすため、温度が高い場合は無理に充電を続けないというもの。つまり、過度の熱を与えると、バッテリーにダメージを与えてしまう可能性があるのです。
スマートフォンをワイヤレス充電器で充電した場合、少なからず熱が発生します。それ自体は仕様上、仕方のないことで、誤った使い方をしなければ問題ないといえるでしょう。

ワイヤレス充電でスマートフォンを発熱させない5つの方法

ワイヤレス充電でスマートフォンを発熱させない5つの方法

前述したように、ワイヤレス充電器を使う場合、何度充電しても構いませんし、置きっぱなしにしても大丈夫です。しかし、発熱対策をしないと、バッテリーにダメージを与えかねません。
ここでは、ワイヤレス充電器でバッテリーを発熱させない5つの方法をご紹介しましょう。

1 ワイヤレス充電器の置き場所に注意

ワイヤレス充電器の置き場所に注意しましょう。当たり前のことですが、高温になりやすい場所の近くに、ワイヤレス充電器を置いてはいけません。日光があたる場所や暖房器具の近く、機械類の裏側など、熱くなる可能性がある場所は避けてください。

ワイヤレス充電器の置き場所に注意

2 スマートフォンを置く位置に注意

ワイヤレス充電器にスマートフォンを置く位置にも注意が必要です。Qi規格のワイヤレス充電器は、電磁誘導方式を用いて、充電器のコイルからスマートフォンのコイルへ電力を送っています。
このとき、少なからず発熱するのですが、コイルの位置がずれていると、より高温になりやすいのです。ですから、スマートフォンのどこにコイルがあるかを確認し、位置がずれないように注意しましょう。

3 ケースなどのスマートフォンアクセサリーに注意

ケースなどのスマートフォンアクセサリーにも注意しましょう。スマートフォンにケースをつけていると、充電中に発生した熱がこもり、より高温になる可能性があります。もし、発熱して熱がこもるようなら、面倒かもしれませんがケースから出して充電するなどの対策が必要です。
なお、ケースの中には、そもそもワイヤレス充電器で充電できないものもあります。

ケースなどのスマートフォンアクセサリーに注意

4 充電中はゲームアプリなどを使用しない

ワイヤレス充電器で充電しながら、メールを閲覧したり、SNSをチェックしたりすることもあるでしょう。しかし、長時間スマートフォンを使っていると、充電しているかどうかにかかわらず、スマートフォンが発熱します。特に、ゲームなどスマートフォンに負担をかけるアプリならなおさらです。充電中は、できるだけアプリの利用を控えたほうが、発熱は抑えられます。

5 冷却ファンがついたワイヤレス充電器を使う

根本的な解決案として、冷却ファンがついたワイヤレス充電器を使う方法もあります。このような製品を使えば、冷却ファンがスマートフォンを冷やしてくれるので、多少発熱しても安心です。エレコムでは「W-QA06シリーズ」があります。

発熱対策をしてワイヤレス充電器を安心して使おう

発熱対策をしてワイヤレス充電器を安心して使おう

ワイヤレス充電自体が、スマートフォンのバッテリーを劣化させることはありません。
しかし、誤った使い方をしたり、発熱しているのを放っておいたりすると、バッテリーの劣化のリスクは高まります。発熱対策を万全にして使いましょう。