
加湿器に次亜塩素酸水を入れて空間除菌する方法と注意点
人体や金属製品などに悪影響を及ぼすので、絶対に加湿器に加えないようにしましょう。 メーカーによって推奨している用途・用法が異なるため、製品の取扱説明書をよく読み、使用方法を守ってお使い下さい。

特に、寒い季節に活躍する加湿器は、エアコンやストーブの使用による湿度の低下(室内の乾燥)を防ぐために使われます。一方、外の空気も乾燥する冬は、ノロウイルスやインフルエンザウイルスが流行しやすい時期でもあります。これらのウイルスに感染しないためには、うがいや手洗いの徹底、マスクの着用、感染者との接触を防ぐといった方法が有効です。しかし、どれほど注意していても、感染を完全に防ぐことは難しいのが現実でしょう。
そして、自身が感染、または身近に感染者が出て室内にウイルスが広がってしまった場合、ウイルスが存在する可能性が高い場所を対策する必要があります。ウイルスが飛散しやすいトイレのほか、ドアノブやリモコンといった手がふれる物、食器などは、特に念入りにウイルス対策して、被害の拡大を防がなければなりません。
こうしたウイルスの抑制に役立つのが「次亜塩素酸水」や「次亜塩素酸ナトリウム」です。このうち、次亜塩素酸水は、加湿器のタンクに加えることにより、空間に噴霧することが可能です。
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ウイルス対策やアレル物質の抑制など、さまざまな用途がある次亜塩素酸水について、その特徴や良い商品の選び方、加湿器での利用法をまとめました。
次亜塩素酸水とは?

次亜塩素酸水は、一般的に塩酸もしくは塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を電気分解して作られる物です。厚生労働省よりさまざまな専門分野での使用が認可されていて、例えば、医療分野では「強酸性電解水」として医療機器などの消毒に、食品分野では食品添加物の「殺菌料」として野菜や調理器具の消毒、あるいは野菜の色を維持するために使われています。
ちなみに、食品に使用するときは、商品に次亜塩素酸水が残らないことが求められますので、店頭で購入するカット済みの野菜や果物、サラダなどの加工品には、成分はまったく残っていません(除菌目的で市販されている次亜塩素酸水は食品添加物ではないため、食品には使用できません)。
農業分野においても、2014年に特定防除資材(特定農薬)として、2017年には有機栽培資材として農林水産大臣と環境大臣から認可・指定を受けています。つまり、次亜塩素酸水は医療、食品、農業など様々な分野で活用されているのです。
次亜塩素酸水のおもな使い道
市販されている次亜塩素酸水は、原液を希釈して使うタイプ、希釈せずに使うタイプ、粉末タイプなど様々な種類があります。具体的な用途は、おもに以下のようなものがあります。

・ウイルス対策
次亜塩素酸水は、ノロウイルスやインフルエンザウイルスの不活化に高い効果を示します。ウイルスが付着した場所にスプレーで噴射し、時間を空けて拭き取ることで対策を行うことができます。ただし、次亜塩素酸水は汚れに弱いため、あらかじめスプレーしたい場所の汚れを取り除いてから使用することが大切です。
名前がよく似ている次亜塩素酸ナトリウムもウイルスの抑制効果を持ちますが、こちらは強いアルカリ性で、次亜塩素酸水とは異なり、汚れに強いという特徴があります。ただし、肌につくとたんぱく質が溶ける、金属を腐食させる、布を漂白させるといった面があります。そのため、定期的に除菌をしたい箇所や漂白させたくない箇所には次亜塩素酸水、汚れがひどい場所では次亜塩素酸ナトリウムを使用するなど、特徴に合わせて選ぶことが重要です。
・アレル物質の除去
ダニや花粉に含まれる「アレル物質」の除去にも、次亜塩素酸水は高い効果を示します。アレル物質が付着した衣服や鞄、室内に噴霧(スプレー)するなどの方法がおすすめです。
・身の回りの除菌と消臭
次亜塩素酸水には、さまざまな細菌への除菌効果もあります。エレコムが行った実験では、いわゆる悪玉菌や生乾き臭菌、薬剤に耐性を持った菌などに対する除菌効果が示されました。また、靴下のにおいや加齢臭(イソ吉草酸)、肉や魚の腐敗臭(トリメチルアミン)、生ゴミのにおい(硫化水素)、おむつやペットのにおい(メチルメルカプタン)についても、その臭気を減らす効果が認められています。
次亜塩素酸水の選び方
さまざまな効果が知られるようになった次亜塩素酸水は、数多くの製品が出回っています。商品名こそ同じ次亜塩素酸水であっても、本来の除菌・消臭効果を発揮しない物も存在しているのが現状です。ウェブサイトや店頭で次亜塩素酸水を選ぶときは、次のポイントをチェックするようにしましょう。
・成分や濃度、製造方法の表示
それぞれの成分(有効塩素)量を見ると、除菌能力の強さを知ることができます。使用目的に合わせた濃度の次亜塩素酸水を選びましょう。
・製造年月日、保存期間の表示
除菌や消臭効果の保持期間が長いということは、それだけ長く使えることを意味します。期間が数ヵ月程度と短い物は、それだけ効果が失われるのが早いため、いざというときに使えない(効果がない)場合があります。また、次亜塩素酸水は、日光にさらされると劣化するので、遮光性容器に入れられていることもポイントです。。
次亜塩素酸水の加湿器での使い方

次亜塩素酸水の中には、加湿器に入れて噴霧できるものもあります。ただし、加湿器での使用を前提としていない次亜塩素酸水があること、加熱式の加湿器はいずれの次亜塩素酸水でも使用できないことには注意が必要です。また、次亜塩素酸水は反応する際に塩素臭がする場合があります。気分が悪くなった場合は、換気を行う、しばらく運転を休止する、人が居ない時間帯に使うなど、調節しながら使用しましょう。
さらに、次亜塩素酸水を加湿器に入れると、タンク内の除菌にも効果が期待できます。過去には、細菌が繁殖した加湿器を使ったことが原因の死亡事故も起きているので、水の管理やタンクの清掃は大切です。ただし、似た名前で効果もそっくりな次亜塩素酸ナトリウムは、人体や金属製品などに悪影響を及ぼす恐れがあるため、取扱説明書などを確認した上で適切に使うことが大切です。