Vol.15 HDDとSSDの違いは?ストレージ拡張・交換の際に知っておきたいこと
エレコム製品購入ガイドハードディスク・SSDの基礎知識
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HDDとSSDの違いは?ストレージ拡張・交換の際に知っておきたいこと

HDDとSSDの違いは?ストレージ拡張・交換の際に知っておきたいこと

まずは、ハードディスクについてご紹介しましょう。ハードディスクとは、パソコンなどでデータを記録するためのストレージです。正式名称は「Hard Disk Drive」になり、HDDと略されることも多くあります。

ハードディスクはパソコンなどにつなぐことで、記憶媒体としての働きをします。そのため、パソコンに内蔵して使う場合は「内蔵ハードディスク」、電源やインターフェースを内蔵したケースに入っている場合は「外付けハードディスク」と呼ばれます。

ハードディスク(HDD)とは?

ハードディスク(HDD)とは?

ハードディスクの特徴

ハードディスクの特徴は、「プラッタ」と呼ばれる「磁気ディスク」に、「磁気ヘッド」を使ってデータを記録したり、読み出したりできることです。この磁気ディスクは円盤形をしており、直径が2.5インチや3.5インチのタイプがあります。ハードディスクにある「2.5インチ」や「3.5インチ」の表記は、この磁気ディスクのサイズから来ています。

サイズの違いは、基本的に記憶容量には関係ありませんが、パソコンの内蔵ドライブとして使う場合には注意が必要です。一般的には2.5インチがノートパソコン用、3.5インチがデスクトップパソコン用に向いていますが、アダプタを使えばデスクトップパソコンで、2.5インチのハードディスクを使うことも可能です。ですが、同じ容量であれば3.5インチよりも2.5インチのハードディスクのほうが高額なので、「余っている2.5インチのハードディスクを再利用する」というケースでなければ、あまり利用されません。

なお、ハードディスクのスペックにある「5400rpm」や「7200rpm」などのrpmは回転数を表しており、数値が大きいほうが読み書きのスピードが速いことになります。ただし、スピードが速いハードディスクは電力消費も大きいので、必ずしもハイスペックであることが有利とは限りません。

ハードディスクのメリット

ハードディスクのメリットとしては、テラバイト単位の大容量の製品があることです。パソコンを使用していると、画像や音楽、動画などのデータが増えていきます。ですから、大量のデータを保存するためには、大容量のディスクが必要になるのです。最近はSSDでもテラバイト単位の商品がありますが、ハードディスクほどの大容量はありません。

また、ハードディスクはSSDに比べて容量あたりの単価が安いというメリットもあり、テラバイト単位のハードディスクでも、安価に購入できます。そのため、複数台購入してミラーリング(同じデータを保存)に利用しても、金銭的な負担は少なくなります。

ハードディスクのメリット

ハードディスクのデメリット

ハードディスクのデメリットとしては、データの破損や消失といったリスクがあることです。例えば、ハードディスクがデータの読み書きをする際に強い衝撃を受けると、高速で回転しているプラッタが磁気ヘッドと接触してしまう可能性があります。また、物理的にデータを読み書きする仕組みなので、使用中でなくても衝撃には弱いです。そのため、持ち歩きなどにはあまり適していません。

読み書きのスピードも、SSDに比較すると遅くなります。これは、物理的に磁気ヘッドが移動して、保存されているデータを探すためです。 ほかにも、消費電力が高いという問題もあります。そのため、デスクトップPCに内蔵するのであれば問題ありませんが、ノートパソコンに内蔵する場合は、バッテリーの消耗が少し早くなります。

衝撃に弱い点や消費電力が高いことを考えると、ノートパソコンの内蔵用に、ハードディスクは向いていないといえるでしょう。

SSDとは?

SSDとは?

SSDは「Solid State Drive(ソリッドステートドライブ)」の略で、ハードディスクと同様にパソコンなどでデータを記録するためのストレージのひとつです。使い方もハードディスクと同じで、パソコンの内蔵ドライブや、外付けの記憶装置として使われます。

SSDの特徴

SSDはハードディスクのような磁気ディスクではなく、半導体素子を使ったNAND型フラッシュメモリという、細かく区切られた「セル」と呼ばれる領域にデータを記録します。つまり、ハードディスクのように物理的に可動する部分はありませんので、普段使われているUSBメモリの大きいサイズの製品ともいえます。

また、磁気ディスクを使いませんので、サイズについても自由度が高いのが特徴です。「1.8インチ」や「2.5インチ」に加え、Mini Serial ATAのスロットに搭載できる「mSATA」や、M.2スロットに搭載できる「M.2」などのタイプもあります。

SSDのメリット

SSD最大のメリットは、データの読み込みや書き込み時間の短さです。SSDはハードディスクのように物理的にデータの保管場所を探すことはないので、瞬時にデータを読み込めます。ですから、起動ドライブなどにSSDを使うと、パソコンの起動時間が短くなります。
また、衝撃に強いこともSSDのメリットです。そのため、ノートパソコンや持ち運びをする外部記憶装置としては、最適なストレージといえます。ただし、落下させても壊れないわけではありませんので、取り扱いには十分注意が必要です。
そのほか、ハードディスクのような動作音がないので、静音性にも優れています。

SSDのメリット

SSDのデメリット

SSDのデメリットは、ハードディスクに比べて価格が高いことが挙げられます。SSDが市場に登場してからかなりの年月が経過しており、発売当初よりも値段は下がっているものの、ハードディスクほど安くはなっていません。また、フラッシュメモリを使っているため、大容量のSSDが少ないこともデメリットのひとつといえるでしょう。現在は、テラバイト単位のSSDも登場しており、1TB前後のSSDは価格もリーズナブルになりました。しかし、4TBなどの新製品は、まだまだ入手しやすい価格まで価格が下がっていません。

そのほかのデメリットとしては、SSDには寿命があることです。前述したように、データはセルに保存されていますが、セルへの書き込みの動作が、フラッシュメモリ内の絶縁体を劣化させてしまうのです。寿命については製品のスペックで変わってきますが、毎日大容量のデータを書き込んだりしなければ、ハードディスクと比べて必ずしも早く壊れるわけではありません。

HDDとSSDは用途に応じて選ぼう

HDDとSSDは用途に応じて選ぼう

ご紹介したように、ハードディスクとSSDには、それぞれメリットとデメリットがあり、お互いを補完するような関係ともいえます。
ですから、スピードを重視する起動ディスクやモバイル環境で使用するならSSD、たくさんのデータを大量に保存するならハードディスクというように、用途に合わせて最適なストレージを選ぶといいでしょう。