
サイズや接続方式など、内蔵SSDにはどんな種類がある?

HDDをSSDに換装する場合に注意したいのが、交換するSSDの種類です。SSDには、サイズや接続方式、インターフェースなど、さまざまな違いがあり、自分のパソコンに使用できない、あるいは使用するのにアダプタがいるといったケースもあります。
ここでは、SSDのフォームファクタや換装する際に注意したいことについてご紹介します。
SSDのフォームファクタとインターフェースの種類

まずは、SSDの種類について見ていきましょう。SSDのフォームファクタとしては、「1.8インチ」「2.5インチ」「mSATA」「M.2」の4種類です。
これらはサイズの違いもありますが、採用されているインターフェースが異なる場合が多いです。SSDのフォームファクタやインターフェースについてご紹介します。
・1.8インチ
1.8インチのSSDは、おもに「Micro SATA」というインターフェースが採用されています。Micro SATAは、ノートパソコンに採用されているインターフェースです。
・2.5インチ
2.5インチのSSDは、おもに「Serial ATA」というインターフェースが採用されています。Serial ATAは汎用性が高く、スタンダードなフォームファクタなので、デスクトップパソコンやノートパソコンに採用されています。
・mSATA
mSATAのSSDには、フォームファクタ名と同じ「mSATA」と呼ばれるインターフェースが採用されています。このインターフェースは、Serial ATAを小型にしたフォームファクタです。1.8インチのMicro SATAと混同しやすいですが、mSATAは「Mini SATA」の略となります。また、インターフェースの形状も、まったく異なります。
・M.2
M.2のSSDには、スタンダードな「Serial ATA」タイプと、「PCIe(PCI Express)」タイプのインターフェースが採用されています。また、PCIeタイプは、「NVMe(NVM Express)」という仕組みにより、SSDの持つポテンシャルを最大限引き出した速度を期待できます。
1.8インチや2.5インチのSSDのようにケースに入っておらず、基盤むき出しとなりますが、ノートパソコンだけでなく、デスクトップパソコンにも専用のスロットが用意されています。
内蔵ドライブを交換する際に注意したいこと

通常、内蔵ドライブをSSDに交換する際は、「ハードディスクからSSD」「容量の小さいSSDから大容量のSSD」の2パターンがあるかと思います。
「ハードディスクからSSD」の場合は、デスクトップパソコンでもノートパソコンでも、インターフェースが「Serial ATA」なので、問題になるケースは少ないかもしれません。しかし、「SSDからSSD」の場合は、4種類あるSSDのインターフェースのうち、どのフォームファクタが使われているかわからないので注意が必要です。ここでは、内蔵ドライブを交換する際に注意すべきことをご紹介しましょう。
1. SSDを搭載する場所とインターフェースを確認する
まずは、SSDを搭載する場所を確認します。特にノートパソコンは、メーカーだけでなく機種ごとに場所が異なりますので、ご注意ください。

・デスクトップパソコンの場合
デスクトップパソコンであれば、ハードディスクが設置されている3.5インチのドライブベイか、M.2を差し込めるスロットがあるか確認します。
基本的には3.5インチのドライブベイにアダプタを介して2.5インチのSSDを搭載するのがスタンダードです。筐体によっては、2.5インチのドライブベイがあるかもしれませんが、いずれにせよ、インターフェースはSerial ATAを使えますから問題ありません。
もし、マザーボードにM.2を差し込めるスロットがあれば、高速なSSDが使えます。可能であれば、M.2用のSSDを用意しましょう。
・ノートパソコンの場合
ノートパソコンの場合、まずは製品のマニュアルを見てSSDを搭載する場所を確認します。記載がない場合は、内蔵ディスクの交換を推奨していないと考えられます。最悪の場合、ノートパソコン本体の保証が受けられなくなるケースもありますので、内蔵ディスクを交換すべきか検討しましょう。
SSDを搭載する場所がわかったら、次はフォームファクタとインターフェースの確認です。こちらも、マニュアルに書かれていればベストですが、そうでない場合はインターネットで情報を集めたり、目視で確認したりします。
インターフェースは、よほど特殊な場合を除いて、1.8インチのSSDにはMicro SATA、2.5インチのSSDにはSerial ATA、mSATAのSSDにはmSATAが使われていることが多いです。ですが、2.5インチのSSDの場合、古いタイプのパソコンであれば旧式の「IDE」というフォームファクタが使われている場合がありますのでご注意ください。
また、M.2の場合は、スロットがSerial ATAかPCIeのどちらなのかも確認しましょう。
2. 交換するSSDは、サイズに注意して選ぶ
1.8インチや2.5インチのSSDについては、名前のとおりのサイズなので問題ありませんが、mSATAとM.2については、必ずサイズの確認が必要です。
まず、mSATAには「ハーフサイズ」と「フルサイズ」の2種類があり、それに合わせて接続するMini Serial ATAの端子も「ハーフサイズ対応」と「フルサイズ対応」の2種類があります。ただし、フルサイズ対応のMini Serial ATAの端子に変換アダプタを使うことで、ハーフサイズのmSATA SSDを搭載可能です。

M.2の場合は、さらに注意が必要です。スタンダードなM.2 SSDのサイズは、幅22mm、長さ60mmまたは80mmとなっています。しかし、これはあくまでスタンダードなサイズであり、M.2のフォームファクタサイズとしては、幅は12、16、22、30mmから、長さは16、26、30、38、42、60、80、110mmの中から選べばいいことになっていますので、絶対にこのサイズとは限らないのです。ですから、ノートパソコンの場合、現時点で使われているSSDのサイズを必ず確認しましょう。
3. 使用用途に合わせた最適なSSDの容量を選ぶ
どのタイプのSSDを購入すればいいかがわかれば、最後に決めるのはSSDの容量です。基本的には、元々使っているドライブの容量よりも大きいものを選ぶと思います。しかし、ハードディスクからSSDに交換する場合は、必ずしも容量を増やす必要はなく、同じ容量のSSDに交換するだけでも恩恵を得られます。
基本的にストレージは、大は小を兼ねるので、できるだけ大容量のSSDを選びたいところです。最近のSSDは、かなり大容量の製品も流通し始めましたが、ハードディスクに比べて容量あたりの単価が高いため、一般ユーザーが買うにはコスト面で折り合いがつかない場合もあります。ですから、現実的にSSDの容量を選ぶのであれば、「120GB~128GB」「240GB~256GB」「480GB~512GB」
「960GB~1TB」の4種類が多くなっています。
この4種類のうち、どのくらいの容量が最適かは、用途で判断することができます。ですが、お使いのパソコンがノートタイプの場合、頻繁にドライブの交換はしないと思いますので、将来性を考えて1段階上の容量を選んでおくのもおすすめです。

・120GB~128GB
SSDにOSのみを入れて起動用ドライブとするなら、120GB~128GBでも対応可能です。このレベルの容量であれば、書類の作成やインターネットの閲覧、電子メールの送受信などが行えます。もし、保存するデータが増えてきたら、外付けのストレージを購入すればいいのです。また、ノートパソコンをモバイル環境で使うのであれば、クラウドサービスを利用するのも手です。
・240GB~256GB
240GB~256GBあれば、OSのほかにアプリケーションをインストールできますので、書類作成や表計算、プレゼン資料の作成など、通常のビジネス利用が可能です。また、個人利用の場合、ライトユーザーであれば、十分なスペックでしょう。もし、保存データが増えるようであれば、外付けのストレージやクラウドサービスを利用すればいいのです。
・480GB~512GB
ウェブ制作やDTPなど、クリエイティブ系の職種であれば、PhotoshopやIllustratorなどのアプリケーションをインストールできるよう、480GB~512GBは欲しいところです。しかし、480GB~512GBあっても画像などの素材データまで保存していたら、すぐにいっぱいになってしまうでしょう。こちらも、外付けストレージとの併用を検討する必要があります。
・960GB~1TB
960GB~1TB以上の大容量SSDが必要なのは、ゲーミングパソコンを使う人や動画編集をする人です。SSDのメリットは読み込み速度が速いことなので、ゲームソフトをインストールすれば起動時間が短くなりますし、マップの切り替えなどでデータを読み込む際にもストレスなくプレイできます。
内蔵SSDを交換する際は本当に必要かを考えよう

Windows 7のサポートも終わり、使用しているパソコンをWindows 10にアップデートしたいという人も多いと思います。このような場合に、SSDの交換やメモリの増設など、お使いのパソコンを強化しようと考えるかもしれません。
しかし、ドライブのインターフェースが旧式のIDEフォームファクタであったり、搭載するメモリも時代遅れのフォームファクタだったりするかもしれません。古い物を大事にするのは良いことですが、古いパソコンは性能面で劣っていたり、故障のリスクが高くなったりしています。
ですから、内蔵のハードディスクやSSDを交換する際は、「本当に交換したほうがいいのか」「新しいパソコンに買い替えたほうが良くないか」などを検討した上で計画を進めたほうがいいでしょう。