Vol.23 SSDのフォームファクタのひとつ「M.2」とは?
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SSDのフォームファクタのひとつ「M.2」とは?

SSDのフォームファクタのひとつ「M.2」とは?

SSDのフォームファクタには「1.8インチ」「2.5インチ」「mSATA」などがありますが、いずれもSSDのポテンシャルを完全に発揮できない仕様でした。そこで、新たに登場したのが、「PCIe Gen 3.0 x4, NVMe」で接続することでSSDの性能を最大限発揮できるよう設計された「M.2」フォームファクタです。
最近では、ノートパソコンの利用だけでなく、デスクトップ用のマザーボードにも専用スロットが用意されるようになりました。ここでは、SSDの各種フォームファクタを含め、M.2フォームファクタのSSDについてご紹介します。

M.2登場前のSSDのフォームファクタ

M.2登場前のSSDのフォームファクタ

SSDはSolid State Drive(ソリッドステートドライブ)の略で、ハードディスクで使われていた磁気ディスクの代わりに、半導体素子を使ったNAND型フラッシュメモリを使った記録媒体です。そのため、ハードディスクのように、データの読み書きに物理的な動作は必要ありませんので、小型に作れるだけでなく、衝撃に強いといった特徴があります。これらのメリットにより、SSDはハードディスクに代わってノートパソコンのドライブとして利用されるようになりました。
そして、SSDのフォームファクタは、2.5インチのハードディスクサイズに合わせた「2.5インチ」だけでなく、「1.8インチ」「mSATA」など、2.5インチよりも小型のSSDが登場しました。これらのSSDは、形が違うこともありますが、接続するためのインターフェースも異なっていますので、互換性はありません。なお、従来のSSDのフォームファクタの詳細は、下記のとおりです。

・1.8インチ

1.8インチのSSDは、「Micro SATA」というインターフェースを利用します。

・2.5インチ

2.5インチのSSDは、「Serial ATA」というインターフェースを利用する場合が多いです。以前は、「IDE」というインターフェースも使われていました。

・mSATA

mSATAのSSDは、「mSATA」というインターフェースを利用します。1.8インチのMicro SATAと混同しやすいですが、mSATAは、Serial ATAフォームファクタの小型版で「Mini SATA」の略です。

SSDのポテンシャルを発揮できるM.2フォームファクタとは?

SSDのポテンシャルを発揮できるM.2フォームファクタとは?

M.2は、前述した「mSATA」の後継として開発されたSSDのフォームファクタです。では、このM.2 SSDは、これまでのSSDとどのように異なるのでしょうか。

M.2フォームファクタSSDのインターフェース

これまでのSSDのインターフェースは、基本的にSerial ATAをベースにしていました。M.2 SSDもSerial ATAに対応していますが、「PCIe(PCI Express)」という汎用のインターフェースにも対応しています。PCIeは、グラフィックカードのインターフェースとしても使われており、M.2 SSDで高速なデータのやりとりが可能なのです。
なお、PCIeにも種類があり、M.2 SSDを接続するのはPCIe Gen 3.0 x4, NVMeというフォームファクタで、理論上は最大32Gbpsのデータ転送速度を出せることになっています。実際に使った場合、その理論値の速度は出ないかもしれませんが、通常のSSDよりも格段に速いことは間違いありません。

M.2フォームファクタSSDの接続端子

Serial ATAは「B&M key」という接続端子、PCIe Gen 3.0 x4, NVMeは「M key」という接続端子が使われています。インターフェースごとに接続端子が異なりますので、あまり意識することはないかもしれませんが、「スロットに差せなかった」といったときは、店員が取り違えている場合もあります。念のため覚えておけば、いざというときに役立つでしょう。

M.2フォームファクタSSDの接続端子

M.2フォームファクタSSDのサイズ

M.2フォームファクタは、サイズ的にはmSATAよりも大きくなっています。しかし、大きくなったとはいえ、ほかのSSDよりも十分小型で、ノートパソコンだけでなくタブレットなどにも採用されています。
M.2 SSDのサイズは、幅は12、16、22、30mm、長さは16、26、30、38、42、60、80、110mmの中から選べば良いことになっています。流通しているM.2 SSDのサイズとしては、幅22mm、長さ60mmまたは80mmの製品が多くなります。これらは、「Type 2260」や「Type 2280」などと呼ばれています(理由はType2280なら幅22mm、長さ80mmだから)。
ですが、必ずこのサイズとは限らないので、特にノートパソコンのM.2 SSDを換装するなら、実際に使われているSSDのサイズを必ず確認してください。

M.2フォームファクタSSDのメリット・デメリットとは?

M.2フォームファクタSSDのメリット・デメリットとは?

ほかのSSDフォームファクタに比べて能力の高いM.2フォームファクタのSSDですが、必ずしもメリットばかりではありません。ここでは、M.2フォームファクタSSDのメリットとデメリットをご紹介しましょう。

<M.2フォームファクタSSDのメリット>

・PCIe Gen 3.0 x4, NVMe接続のタイプのM.2 SSDは速い

PCIe Gen 3.0 x4, NVMe接続のタイプのM.2 SSDは、ほかのSSDに比べて断然速いです。このメリットだけで、PCIe Gen 3.0 x4, NVMe接続のタイプのM.2 SSDを使う理由として十分でしょう。

M.2 SSDは速い

・M.2 SSDは小さい

M.2 SSDのサイズはいくつかありますが、ハードディスクはもちろんのこと、1.8インチや2.5インチのSSDよりも小型です。

<M.2フォームファクタSSDのデメリット>

・SSDの中でも高額

M.2 SSDは基本的に高く、特にPCIe Gen 3.0 x4, NVMe接続のタイプが高額な傾向があるようです。大容量なのに安い商品の場合、セルのタイプに格安なものが使われている可能性が高く、耐久性などに不安が残ります。複数の店舗を見て、平均的な値段の製品を買うようにしてください。

SDの中でも高額

・高速だが発熱する

SSDはハードディスクに比べて発熱しにくいですが、PCIe Gen 3.0 x4, NVMe接続のタイプのM.2 SSDは発熱量が多くなります。デスクトップパソコンであれば、もし発熱がひどいようならファンを増設するなどの対応をしましょう。ノートパソコンであれば、市販の筐体を冷やす製品などを使うといいでしょう。

・Serial ATAのポートが使えなくなる

M.2 SSDをPCIe Gen 3.0 x4, NVMeで使用する場合、Serial ATAのポートが使えなくなることがあります。どのポートが使えなくなるかは事前にわかるわけではないので、実際に利用する場合は注意が必要です。

・M.2 SSDは種類が複雑

M.2 SSDはフォームファクタやインターフェース、サイズなどの種類が複雑で、わかりにくいといえます。

PCIe3.0×NVMe接続のタイプのM.2 SSDを使おう!

PCIe3.0×NVMe接続のタイプのM.2 SSDを使おう!

高速なSSDの中でも、PCIe Gen 3.0 x4, NVMe接続のタイプのM.2 SSDは格段に速くなります。
パソコンを使う上で「速い」ということは、作業時間や待ち時間を短縮できるということです。ビジネスはもちろん、プライベートでも時間は有限です。その時間を有効活用するためにも、PCIe Gen 3.0 x4, NVMe接続のタイプのM.2 SSDの導入を、ぜひご検討ください。