無線LANの基礎知識

Wi-Fi(無線LAN)の速度目安は?速度測定の方法を紹介

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「最新のWi-Fiルーターを使っているのに通信速度が遅い」「リビングと寝室で通信速度が変わる」などと感じたことはありませんか?
そんな状況を解決する手がかりになるのが、Wi-Fi(無線LAN)の速度測定です。

通信速度や電波状況を数値で測ることができると、11nと11acでどちらが速いかがわかったり、どこにルーターを置けばいいか参考になったりします。
今回は、Wi-Fi(無線LAN)の速度についてご紹介します。

Wi-Fi(無線LAN)の速度測定とは?

光回線などの高速な通信回線を契約しても、ルーターの置き場所や壁などの障害物によって通信速度が不安定になると、ストレスがたまるばかりです。 Wi-Fi(無線LAN)の通信速度を測定し、今利用している通信回線の状況を可視化してみましょう。

通信速度の単位

インターネットの通信速度を表す単位は「bps(ビーピーエス)」です。

これは「bit per second」の略で、1秒間に何ビットのデータを送受信できるかを示しています。
たとえば「100Mbps(メガビーピーエス)」という場合、1秒間に約1億ビットのデータを転送できることを意味します。

一般的な家庭用Wi-Fiでは「Mbps」や「Gbps」といった単位が使われており、数値が大きいほど理論上は高速です。
ただし、これはあくまで理論値であり、実際の通信速度は使用環境により理論値とは異なることがあります。

通信速度は「上り」と「下り」で違いがある

Wi-Fiの通信速度には「上り(アップロード)」と「下り(ダウンロード)」があります。
こちらでは、通信速度における「上り」と「下り」の違いについて解説します。

下り(ダウンロード)とは

下りとは、インターネット上のデータを自分の端末に取り込む処理を指します。
動画の視聴やWebサイトの閲覧、アプリのダウンロードなどはこの「下り速度」に影響されます。

下り速度が快適なときは「下りが早い」といったように表現され、多くの人にとって重要な指標となります。

上り(アップロード)とは

上りとは、写真や動画をクラウドに保存したり、SNSに投稿したり、オンライン会議で自分の映像を送ったりする処理を指します。

頻繁にデータを送信する人でなければ、下り速度ほど重視されない場合が多いです。
しかし、自宅でオンライン会議をおこなったり、配信をおこなったりする人にとっては重要な要素です。

ping値(ピン値)とは

ping値は端末からサーバーへ送った信号が戻ってくるまでの応答時間を示し、数値が低いほど通信の反応が速いことを意味します。

ping値が高い場合、端末で操作・入力した情報が通信相手に届くまでにタイムラグが生じます。 オンラインゲームやビデオ通話を快適におこなうには、ping値が50ms以下であることが1つの目安とされています。
FPSや格闘ゲームなど、リアルタイムな操作が求められるオンラインゲームをプレイする場合は、ping値15ms以下が望ましいでしょう。

先述の通り、通信速度には理論値(仕様上の最大速度)と実測値(実際に計測した速度)があります。
パンフレットや製品仕様に記載されている速度は理論値であり、実際の使用環境では距離や障害物などの要因で速度が変動します。 正確な状況を把握するには、専用の速度測定ツールやスマートフォンアプリで「実測値」を確認するのがベストです。

クリックひとつで速度測定ができるサイトやアプリ

Wi-Fi(無線LAN)の回線速度を手軽に測定できるWebサイトやアプリはいろいろあります。
これらを使うことで、上り(アップロード)と下り(ダウンロード)の回線速度を測ることができます。

ただし、使用するWebサイトやアプリによって測定結果に差が出たり、同じWebサイトやアプリを使っても測定するタイミングによって数値にばらつきが出たりするため、参考程度にとらえるのがいいでしょう。

動画をストレスなく見られる通信速度の目安は?

混雑時には通信速度が遅くなるなど、品質保証をしない「ベストエフォート型」の通信サービスの場合、通信速度の目安は回線契約の理論値の3~6割となります。
100Mbpsの回線の場合、30~60Mbps程度の速度が出ると考えていいでしょう。
ただし、Wi-Fi(無線LAN)で接続する場合は、その半分くらいの数値になることもあります。

たとえば、自宅で動画を視聴する場合、どのくらいの通信速度が必要になるでしょうか?
YouTubeのヘルプページを見ると、「インターネットや端末の接続のトラブルシューティング」として、動画視聴の推奨速度が示されています。 推奨速度は以下のとおり、動画の解像度によって異なります。

動画の解像度 推奨される持続的な速度
SD 360p 0.7Mbps
SD 480p 1.1Mbps
HD 720p 2.5Mbps
HD 1080p 5Mbps
4K 20Mbps

契約回線の理論値が100Mbpsの回線の場合、Wi-Fi(無線LAN)で接続した場合は、15~30Mbps程度の速度が目安となります。
上の表の数値を見ると、HD 1080pの高画質動画でもスムーズに閲覧できそうですが、必ずしもそうとは限りません。

複数の機器を回線につないだり、ルーターと端末とのあいだに障害物がある場合は、動画が途中で何度も停止したり、再生されなかったりする可能性が高くなります。 まずは速度測定をしてみて、通信速度が契約回線の理論値を大幅に下回る場合は、ルーターの置き場所を変えたり、接続端末を減らしたりするなどの工夫をしてみましょう。

Wi-Fiの通信速度を上げる方法

通信速度が遅いと感じたときは、以下のような対処法を試してみましょう。

ルーターの設置場所を見直す

ルーターは家の中心や高い位置に設置するのが理想であり、壁や家具の裏など障害物がない場所に設置することで、電波が届きやすくなります。

周波数帯を変更する

2.4GHz帯は壁を通りやすい反面、ほかの機器と干渉しやすいため、高速通信を重視する場合は5GHz帯を利用しましょう。

使用していない端末を切断する

同時接続台数が多いと速度が分散するため、不要なデバイスをWi-Fiから切断することで通信速度が改善する場合があります。

ルーターを再起動する

長時間使用しているとルーターの処理能力が低下してしまいますが、再起動するだけでも速度が回復することがあります。

ファームウェアを更新する

古いソフトウェアは速度低下や不具合の原因になることがあるため、ルーターは最新のファームウェアにアップデートしましょう。

ルーターを選ぶときのポイント

ルーターの性能は通信速度に直結するため、以下のようなポイントを押さえて選びましょう。

通信規格

2025年現在、最新の通信規格Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)に対応したルーターは、高速かつ安定した通信が可能です。
Wi-Fi 4やWi-Fi 5などの旧規格のルーターを使っている場合、ルーターを買い替えるだけでも通信速度が改善される可能性があります。

対応可能な接続台数

家庭内で複数のデバイスを使う場合、接続可能な台数に余裕があるモデルを選ぶのが安心です。
特に、スマート家電を使用している家庭では、10台以上の同時接続に対応したルーターが理想です。

メッシュWi-Fi対応

広い家や複数階にわたる住居では、メッシュWi-Fi対応のルーターがおすすめです。
複数の中継器を使って家全体をカバーできるため、どこでも安定した通信が得られます。

ビームフォーミング機能

接続端末に向かって電波を集中させる「ビームフォーミング」機能があると、速度や安定性が向上します。
ビームフォーミング機能により、距離や障害物による影響を軽減して安定した高速通信が実現しやすくなります。

セキュリティ機能

安全な通信を確保するために、WPA3など最新の暗号化方式に対応しているかも確認しましょう。
また、ファームウェアの更新が定期的におこなわれているメーカー製品であることも安心材料です。

Wi-Fiの通信速度を計測して目安を把握しよう

こちらの記事では、Wi-Fi(無線LAN)の速度目安や、速度測定の方法をご紹介しました。
Wi-Fiの通信速度は「上り」「下り」のほか、サーバーと端末の応答速度を示す「ping値」で表されます。 それぞれの通信速度はWebサイトやアプリなどで計測・確認が可能です。

通信速度を上げるためにはルーターの設置場所の見直しや、周波数帯を5GHzに変更するなどが有効な方法となります。
定期的な計測と環境改善により、より快適なWi-Fi環境を実現することができます。

計測してみて速度が極端に遅かったり、ping値が高かったりする場合は、ルーターの位置調整や買い替え、通信環境を見直しましょう。