
パソコンやスマホをまめに最新機種に買い替える人でも、ルーターはそのまま使い続けていることが多いようです。
しかし、ルーターが古いままだと、最新のパソコンやスマホが持つ通信性能を活かすことができない可能性があります。
ここでは、ルーターの「買い替え時」についてご紹介します。
ルーターの寿命は3種類ある
ルーターの寿命には、物理的な側面だけでなく、技術的・セキュリティ的な観点も含めて、主に3種類の視点があります。
それぞれの寿命の考え方を知っておくことで、買い替え時を見極める目安になります。
ルーター本体の寿命:4~5年
ルーターは精密機器であり、内部には電子部品やファンなどが使われています。
これらは使用を重ねることで徐々に劣化し、処理速度や電波の強度に影響を与えます。
とくに、頻繁に接続が切れる・発熱が激しいといった症状が見られる場合は注意が必要です。
通信規格の寿命:2~6年
Wi-Fiには「IEEE802.11n(Wi-Fi 4)」「ac(Wi-Fi 5)」「ax(Wi-Fi 6)」など、通信規格が存在します。
古い規格のまま使い続けると新しいデバイスの性能を活かせず、また対応機器も徐々に少なくなるため、古くなり過ぎた通信規格は実質的な寿命を迎えることもあるでしょう。
通信規格は古くなるにつれ相対的に性能が劣っていくため、最新の通信規格に対応していないルーターは買い替えの対象と考えるべきでしょう。
セキュリティの寿命:2~5年
ルーターのセキュリティは、WPA3などの暗号化方式に対応しているかどうかで大きく変動します。
古い機種では、脆弱な暗号方式(WEPやWPA)しか対応していないケースがあり、サイバー攻撃を受けるリスクが高くなってしまいます。
また、古いルーターの場合、ファームウェアのアップデートが打ち切られていることがあります。
アップデートしなければ、脆弱性が放置されたままの状態になります。
通信できない原因を特定する
「さっきまでインターネットを閲覧していたのに、急に接続できなくなってしまった」など、通信が突然切れてしまったときは、どこに原因があるか確認することから始めましょう。
通信が突然切れてしまった場合は、どこに原因があるか確認するために、まずは回線終端装置(ONU)と端末を、直接LANケーブルでつないでみましょう。 有線接続をした結果、インターネットにつながれば、回線終端装置(ONU)や端末には原因がないことがわかります。 次に、回線終端装置(ONU)とルーターと端末をLANケーブルでつないでみましょう。
インターネットにつながれば、Wi-Fi(無線LAN)の設定に原因があることがわかります。
まずは、回線終端装置(ONU)やルーターの電源を入れ直してみて、設定を確認してみると良いでしょう。
もし、回線終端装置(ONU)とルーターと端末を有線接続してもインターネットにつながらなければ、ルーター本体に原因がある可能性が高いです。 この場合は、一時的な不具合なのか、それともルーターが故障したのかを確認するために、次の項目で紹介する方法を試してみましょう。
不具合か寿命か?ルーターの状態を確認する方法
ルーターが故障していなくても、さまざまな原因で不具合が現れることがあります。
次の方法を試して、ルーターの状態を確かめてみましょう。
ルーターを再起動する
通信が切れた原因が一時的な不具合であれば、ルーターを再起動することで、通信が復活する場合があります。
一度電源を切り、数分待ってから再起動してみましょう。
ファームウェアを最新バージョンに更新する
ルーターのファームウェアが最新のバージョンに更新されていない場合、不具合が起こることがあります。
エレコムのルーターをお使いの場合は、以下のページからファームウェアのアップデート方法を調べることができます。
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ファームウェアのアップデート方法:
パソコンを1台だけWi-Fiルーターに接続してみる
Wi-Fiルーターにつながっている端末が多すぎて、通信に負担がかかっていることも、不具合が起こる原因になっていることがあります。 ルーターにつなげる端末をパソコン1台だけにして、インターネットに接続できるか試してみましょう。
以上のことを試しても、Wi-Fiに接続できなかったり、通信状態が不安定だったりする場合は、ルーターが寿命を迎えている可能性があります。 その際は、買い替えを検討したほうがいいでしょう。
故障ではなくても買い替えを検討したいタイミング
たとえルーターが正常に動作していても、メーカー保証期間から何年も過ぎていたり、通信速度が極端に遅かったりする場合は、買い替えを検討したほうがいいでしょう。
具体的に以下のようなときは、ルーターの買い替え時といえます。
電波強度や通信速度にムラがある
電波強度や通信速度にムラがある場合は、ルーターの置き場所を変えてみましょう。
また、ルーターの通信規格がIEEE802.11nの場合は、周波数帯を5GHz帯に切り替えてみます。
それでも速度が上がらない場合は、ルーターを最新機種に替えるだけで通信状態が改善される可能性があります。
近年のルーターでは、パソコンやスマホがある方向を自動的に検知して、その方向に集中的に電波を送る「ビームフォーミング」機能が搭載されている製品があります。 これによって、ルーターから離れている部屋などでも、快適にインターネットを楽しめます。
回線の契約を光回線に変更した
回線の契約を高速の光回線などに切り替えたときも、ルーターの買い替え時といえます。
回線速度が速くても、ルーターが古いままではその速度を活かすことができないからです。
最新の通信規格に対応する端末に買い替えた
パソコンやスマホなどの端末を最新の製品に買い替えたときも、ルーターの買い替え時といえるでしょう。
端末がIEEE 802.11beなど高速の通信規格に対応していても、ルーターが古いままだと、せっかくの通信性能を活かすことができません。
動画を見たり写真をアップロードしたりする機会が多くなった
テクノロジーの進化に合わせて、インターネットとの付き合い方は変わっていきます。
動画の閲覧や、写真のアップロード/ダウンロードなどの作業は、通信速度が遅いとストレスを感じやすいです。
このような作業をする機会が多くなったときも、ルーターの買い替え時といえます。
ルーターを買い替える場合は、IEEE 802.11beを採用した機器をおすすめします。 また、セキュリティ対策のためにも「WPA3」など、最新の暗号化方式を採用した機器を選ぶといいでしょう。
ルーターの買い替えを検討するときの注意点

こちらでは、ルーターの買い替えを検討するときの注意点をご紹介します。
ルーターの機能を確認
ルーター選びで重要なのは、自分の使い方に合ったスペックと機能を備えているかどうかです。
たとえば、家族全員で動画を見たり、オンラインゲームを楽しんだりする場合は、高速通信や多台数接続に強いWi-Fi 7対応の機種がおすすめです。
広い家の場合はメッシュWi-Fiに対応したモデルを選ぶと、家の隅々まで安定した通信が可能になります。
また、セキュリティ機能(ファイアウォール、ペアレンタルコントロールなど)もチェックポイントです。
SSIDとパスワードが変わるため各デバイスの再接続が必要
新しいルーターに替えると、ネットワーク名(SSID)や接続パスワードがデフォルトの設定内容に戻ります。
そのため、スマートフォンやパソコン、スマート家電など、すべての接続機器を再設定しなければなりません。
再設定をスムーズにおこなうためには、下記を実施しましょう。
- 事前に旧ルーターのSSIDやパスワードを記録しておく
- 新ルーターに旧設定を引き継げる機能があるかを確認しておく
中古品には故障のリスクがある
ルーターの購入費を抑えたいとき、中古品に目を向ける人もいますが、経年劣化や不具合のリスクがあるため注意が必要です。
特にファームウェアの更新が終了している製品は、セキュリティリスクが高くなります。
長く安心して使うことを考えるなら、保証付きの新品ルーターを選ぶのが無難です。
ルーターが寿命になったら買い替えを検討しよう
本記事では、ルーターの寿命について解説しました。
ルーターは、インターネット通信を日常的におこなう昨今では、もはや欠かせない存在です。
快適で安全なインターネット環境を維持するためには、定期的な点検と、適切な買い替え時の見極めが重要です。
ルーター本体の経年劣化だけでなく、通信規格やセキュリティの面からも寿命を見極める必要があります。
各種機器が古くなっても「まだ通信ができるから大丈夫」と考えず、必要に応じて最新モデルへの切り替えをおこないましょう。