モバイルバッテリーなど、避難生活で本当に役立つ必需品とは?

地震や台風、集中豪雨といった自然災害は、いつでも、どこでも起きる可能性があります。特に近年は、これまで被害のなかった地域で大規模な災害が発生し、多くの人が避難生活を余儀なくされました。今後は、これまで以上に一人ひとりが防災意識を高め、予期せぬ災害や避難生活を想定して準備をしておく必要があるといえるでしょう。

ここでは、メディアを通して「なんとなく知っている」避難生活の実情と、準備しておきたいグッズをご紹介します。

避難生活を送る可能性は誰にでもある

「自分の住む地域でこんな災害が起きるなんて考えてもみなかった」というのは、被災した人の多くが口にします。これは、過去の経験からくる根拠のない自信や、軽い災害に対する慣れからくるものかもしれません。しかし、首都圏を含め、日本国内のどこで災害が発生してもおかしくはありません。

実際、今後30年以内に起きる確率が高いといわれる首都直下地震では、避難者が約700万人、帰宅困難者が約650万人と推測されています。そのうち、避難所で生活する人は、約460万人に達すると予想されています。大規模な災害では、たとえ命が助かっても、ライフラインの切断などにより避難生活が長期化するケースが少なくありません。

避難生活はどこで送る?

自宅が被災して居住できなくなった場合、被災者は避難所で生活します。避難所は被災者を一時的に保護するための場所で、東京都では約3,000ヵ所の公共施設を避難所として準備しているほか、障害がある人などを受け入れる福祉避難所を約1,200ヵ所確保しています。避難所として開放される公共施設の多くは、大規模な公園や団地、大学のほか、地域の公民館や体育館などです。しかし、多くの被災者が詰めかけた場合、グラウンドにテントを張って過ごしたり、車中泊したりするケースが過去にはありました。

各市区町村が定めている避難所は、ウェブサイトやパンフレットで公開されています。自宅や職場の近くにある避難所の位置はあらかじめ確認し、被災時に落ち合う場所を家族で決めておくようにしましょう。

01. 避難生活の実情

一ヵ所に多くの人が集まる避難生活には、さまざまな問題があります。

プライバシーがない
毛布など最低限の物資は備蓄されていても、そもそも宿泊を想定した施設ではないため、ゆっくり落ち着いて過ごすというわけにはいきません。その上、一人あたり、一家族あたりに割り当てられる面積は非常に狭く、行動範囲も限定的です。段ボールなどを利用して個別のスペースを作っても、完全にプライバシーが守られるわけではありません。避難所生活の経験者からは、着替えや授乳に悩んだという声も多く聞かれます。
暑さ、寒さへの対応が難しい
エアコンなどの設備がないか、あっても十分でない施設では、暑さ・寒さへの対応が困難で、体調を崩す人もいます。特に、小さい子供やお年寄りには負担が大きいでしょう。
食事や水の不足
ライフラインが切断されると、避難所への救難物資の到着が遅れ、食事や水が十分に行きわたらない可能性があります。また、調理設備がない施設では、温かい食事を供給することが難しいだけではなく、栄養面にも偏りが出るため、育ち盛りの子供や持病のある人にはきびしい環境だといわざるをえません。
衛生面
避難所生活でストレスを感じる人が多いのが、トイレなどの衛生面です。災害の混乱の中ではトイレ掃除まで手が回らず、汚れたままになりがちです。汚いトイレを使いたくないという一心で我慢を重ねたり、トイレに行かないように食事や水分を制限したりして体調を崩す人もいます。

02. 避難生活で必要なもの

避難生活の実情を踏まえて、準備しておきたい物やあると便利な物には、どのような物があるのでしょうか。

トイレ関連
大きなストレスになりうるため、簡易トイレや消毒用品を準備しておきましょう。
モバイルバッテリー
安否確認と情報収集に必要なスマートフォンの充電を確保するため、モバイルバッテリーがあると安心です。災害に備えて準備しておくモバイルバッテリーは、大容量タイプがベストです。また、電源が確保できるのであれば、容量は少し落ちますが、エレコム製品の「DE-AC01-N2924シリーズ」のような、AC充電器としても使える一体型モバイルバッテリーも便利です。
補助電源(車載用DC-ACインバーター)
補助電源として、車の電源を家庭用の電源に変換できる車載用インバーターもあるといいでしょう。「LPA-CIVT150BK」であれば、車の電源(DC12V)を家庭用の電源(AC100V)に変換可能です。ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどを車で充電する際に便利です。
携帯ラジオと予備電池
情報収集に欠かせない携帯ラジオは、充電切れを防ぐため、予備電池とセットで準備しておきましょう。充電式電池は繰り返し使えるだけでなく、ごみとして捨てる必要がないので、災害時に重宝します。
懐中電灯、ライト
一人ひとりに合わせた繊細な調光が難しい避難所では、手元の明かりが必須です。夜間、トイレへ行くときなどにも役立つので、必ず1つは持っておきましょう。昔ながらの懐中電灯を選ぶなら光量の多いタイプがおすすめですが、避難所生活などで使うには、両手が自由になるLEDハンズフリーライトのほうが使い勝手がいいでしょう。

助かった命を避難所で失わないために

1995年の阪神・淡路大震災以降、避難所生活のきびしさやストレスで体調を崩して死に至る「災害関連死」は約5,000人に上るといわれています。

助かった命を避難所で失うことがないよう、避難生活も視野に入れた防災を心掛けましょう。