充電器に最適なUSBケーブルは?種類や最新高速充電規格についても解説

タブレット、 パソコンだってUSB! 最新USBで高速充電!

スマホもゲームも、充電といえばUSB。大型の機器も充電できる時代に。「より高速で、より高出力」に対応した新しい充電規格ができ、それに対応したデバイスも増えてきています。新しい充電規格によって、これまでワット数が足りず充電ができなかったノートパソコンやタブレットも、急速充電ができるようになりました。USBの規格の違いを解説します。

スマートフォンやゲーム機器などバッテリーを搭載したデジタル製品を中心にUSBを使って充電をするシーンが、私たちの身の回りに広がってきました。
USBを使った充電は、これまではスマートフォンなどの小さなデバイスに限られていました。
しかし従来の充電規格に加え、「より高速で、より高出力」に対応した新しい充電規格ができ、それに対応したデバイスも増えてきています。
新しい充電規格によって、これまでUSBでは充電ができなかったノートパソコンやタブレットも充電ができるようになりました

ますます便利になる 最新のUSBの充電規格。 どのような種類があるのでしょう?

規格名 CERTIFIED USB TM CHARGER 30WCERTIFIED USB TM CHARGER 30WUSB Power Delivery(PD) Qualcomm quick chargeQualcomm quick chargeQuick Charge(QC) 従来規格
Type-C current
@3.0A
USB 3.0
USB 2.0
USB BC1.2など
説明 USB-IFが策定した、最大100wの充電が可能な、最新充電規格。USB PDと表記される。スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどが対応。 クアルコム社が開発した最大18wの充電が可能な急速充電規格。Android搭載のスマホなどが対応。 最大15w
充電器側 USB Type-Cに対応USB Type-Cに対応USB Type-Cに
対応
USB Type-Aに対応USB Type-Aに対応USB Type-Aに
対応
USB Type-A、Type-Cに対応USB Type-A、Type-Cに対応USB Type-A、
Type-Cに対応
デバイス側 USB Type-C micro B に対応USB Type-C micro B に対応USB Type-C
、Lightningに対応
USB Type-C micro B に対応USB Type-C micro B に対応USB Type-C、
micro B に対応
USB Type-C micro B に対応USB Type-C micro B に対応USB Type-C、
micro B、
Lightningに対応

※USB Type-C™ are trademarks of USB Implementers Fourm.

いろんな種類が あるんだねいろんな種類が あるんだね

それぞれの充電規格についてもっと、くわしく。

  • USB Power Delivery
  • Quick Charge
  • 従来規格

そもそも、 「充電」とはどういう状態のこと?

まずは充電の基本的な考え方を 知っておきましょう。

バッテリーを搭載した機器への充電は、イメージとして注射器でコップに水を貯めることに似ています。

充電器 電気 バッテリー

バッテリーを搭載した機器への充電は、イメージとして注射器でコップに水を貯めることに似ています。

  • ・注射器が充電器
  • ・水が電気
  • ・コップがバッテリーを搭載した機器です。
    コップにどれだけ早く水を貯めることができるか、つまり電力を供給できるのかがポイントとなります。
「押す」力と「押し出される」流れ、 出された「量」がポイントだね!「押す」力と「押し出される」流れ、 出された「量」がポイントだね!

「充電の基本」を理解するための基本キーワード

  • V 電圧V 電圧

    V 電圧

    注射器を押す力= 電気を流そうとする力です。
    単位はボルト(V)で表します。

  • A 電流A 電流

    A 電流

    注射器から押し出された水の流れ= 流れる電気の量です。
    単位はアンペア(A)で表します。

  • W 電力

    コップに貯まった水の量= バッテリーに供給される電気の量です。
    単位はワット(W)で表します。

充電器の性能は「どれだけ」電力を供給できるか。

充電性能は、ワット(W)という単位で表します。
ワット(W)は、・注射器の針の太さ=電流(A)と・注射器を押し出す力=電圧(V)のかけ算で求めることができます。

充電性能(W) = 電流(A) ×電圧(V)

これで性能がわかるんだね。これで性能がわかるんだね。

これまでの充電方法と新しい充電方法。

  • 従来規格の充電方法

    従来規格では、早くコップに水を貯めるために、注射器の針を太くしていました。つまり、出口を大きくすることで、流れる電気の量=電流を増やし、電気が早く貯まるようにしていたのです。

    IPhone付属など 1A充電器 1A 2.4倍 2.4A充電器 2.4A

    1Aの充電器と、2.4Aの充電器では2.4倍の電流を流すことができ、その分だけ充電スピードも早くなります。

  • 新しい規格の充電方法

    新しい高速充電規格では、さらに早くコップに水を貯めるために、注射器の針を太くすると同時に、水を押し出す力も強くできるようになりました。

    SV IPhone付属など 1A充電器 1A×SV=5W 20倍 20V PowerDelivery 充電器 5A×20V =100W

    つまり、出口を(電流)大きくし、より強い力(電圧)で押し出すことで、充電速度を早めるのです。

それぞれの充電規格についてもっと、くわしく。

  • Power Delivery
  • Quick Charge
  • 従来規格

ノートパソコンやタブレットに採用され始めた新規格 PowerDelivery(PD)

近年対応するデバイスが増えているUSBの充電規格が、USB PowerDelivery(パワーデリバリー、以下「USB PD」)です。USB PDは、「USB Type-CのコネクタまたはLightningコネクタがある、USB PDに対応した機器」で利用することができます。

iPhone XS、iPhone XR、XPERIA XZ3、Galaxy Note9、Pixel3などスマートフォンの最新モデルの多くがUSB PDに対応しています。
USB PDは最大100Wという従来規格よりも高い出力に対応しており、スマートフォンだけではなくノートパソコンや、タブレットなどにも採用され始めています。

パソコン タブレットパソコン タブレット

USB PDは最大100Wという高い出力なので、iPhoneやiPadに付属している5W(5V/1A)出力の充電機器と比べると、20倍ものパワーを持っていることになります。
給電する出力が大きいということは、その分、充電の速度が早いということ。
例えば、ELECOMのPD18Wは、30分時点での充電量が付属品の約2.3倍!
スタートアップで差がつくのが特徴です。USB PDはとてもパワフルな規格なのです。

本体の付属品1A PD(PowerDelivery)はとってもパワフル! ELECOMのPD18Wの製品 2.3倍 !本体の付属品1A PD(PowerDelivery)はとってもパワフル! ELECOMのPD18Wの製品 2.3倍 !

端末 AC充電器 30分時点での
充電量
充電完了時間
Xs 本体
付属品(1A)
22% 3:00
ELECOM
PD18W製品
52% 2:05
XS MAX 本体
付属品(1A)
17% 3:30
ELECOM
PD18W製品
54% 1:50
XR 本体
付属品(1A)
19% 3:10
ELECOM
PD18W製品
54% 1:45

※2019年8月 当社測定による

端末 AC充電器 30分時点での
充電量
充電完了時間
ipad air
(2019)
本体
付属品(1A)
22% 3:00
ELECOM
PD30W製品
52% 2:05
ipad pro
(12.9インチ)
本体
付属品(1A)
17% 3:30
ELECOM
PD45W製品
54% 1:50

※2019年8月 当社測定による

USB PD対応の充電器選びは、「最大出力」がポイント

USB PDでは充電器側とデバイスが通信を行い、充電器側の最大出力までの範囲で、デバイスに最適な電圧、電流、出力を自動選択します。
各デバイスに最適な出力以上の「最大出力」を持った充電器が必要となります。

各デバイス W数の目安

  • 約18W

    iPhoneなどのスマートフォンiPhoneなどのスマートフォン

    iPhoneなどのスマートフォン

  • 約30W

    iPad Proなどのタブレット、MacBookやLet’s Noteなど、モバイルノートPCiPad Proなどのタブレット、MacBookやLet’s Noteなど、モバイルノートPC

    iPad Proなどのタブレット、MacBookやLet’s Noteなど、モバイルノートPC

  • 約45W

    MacBook Pro 13inchや、ThinkPadなど、一般的なノートPCMacBook Pro 13inchや、ThinkPadなど、一般的なノートPC

    MacBook Pro 13inchや、ThinkPadなど、一般的なノートPC

  • 約65~100W

    MacBook Pro 15inchなど、ハイスペックノートPCMacBook Pro 15inchなど、ハイスペックノートPC

    MacBook Pro 15inchなど、ハイスペックノートPC

複数のデバイスを同時に充電する場合、全デバイスの合計W数が必要になります。

USB Type-Cケーブル1本で電力供給はもちろん、データ通信も同時に行うことが可能です。ノートパソコンと外部ディスプレイをUSB Type-Cケーブルで接続すると、映像を映しつつ、ノートパソコンを充電することができるため、配線をシンプルにすることができます。

電源 スマートフォン ディスプレイ パソコン 電力供給 USB通信電源 スマートフォン ディスプレイ パソコン 電力供給 USB通信

Android搭載のスマートフォンを中心に搭載されている QuickCharge

スマートフォンやタブレットを 高速充電できる規格

Quick Chargeは、Android搭載のスマートフォンを中心に採用されている、米国のQualcom(クアルコム)社が開発・提供している高速充電規格です。「USB Type-Cもしくは、Micro Bメスコネクタがあり、Quick Chargeに対応した機器」で利用することができます。

QuickCharge3.0なら、最大60Wの充電が可能

Quick Chargeにはいくつかのバージョンがあり、最も広く使われているQuickCharge3.0では、QuickCharge2.0と比較して、最大27%の充電速度を実現しています。QuickCharge3.0は2.0との下位互換があるため、QuickCharge3.0対応の製品は、2.0対応の製品にも使うことができます。

Qualcomn quick charge 3.0 Qualcomn quick charge 2.0

QuickCharge3.0は、「Intelligent Negotiation for Optimum Voltage (INOV)」と呼ばれる技術が採用されています。これは最も効率よく急速充電を行うために、デバイスに応じて電圧と電流の両方を最適なレベルに自動調整するものです。

Qualcomn quick charge 3.0 Qualcomn quick charge 2.0

QuickCharge3.0対応の充電器選び

QuickCharge3.0対応の充電器選び

Quick Chargeに対応した製品には、
「Quick Charge認証ロゴ」が記載されています。

また、最大出力の表示にも着目しましょう。電圧(V)、電流(A)の数値が大きいほど、より高速で充電が可能です。

Qualcomm quick charge

USB2.0、USB BC1.2など従来規格

USB2.0、USB BC1.2など 従来規格

USBはパソコンと周辺機器を接続する規格として、1990年代から採用をされています。当初は、マウスやキーボードなどの周辺機器とパソコンとの間でデータの転送をすることが主な役割でした。USBの仕様として、同じコネクタで給電も可能だったため、徐々に充電の役割も担うようになります。2000年にUSB2.0が発表され、2008年にはUSB3.0が発表されます。USBを使った充電の機会が増えUSB3.0では、最大のデータ転送量が増えるとともに、給電能力も500mA(ミリアンペア)から、900mAに引き上げられました。さらに給電能力を高めた、USBBC1.2は、最大1500mAまで給電できるようになっています。USB3.1から追加されたTypeC端子ではUSBTypeCcurrent@3.0A(3000mA)が追加されています。

USB2.0、USB BC1.2など 従来規格