Happy Wi-Fi Life

次世代Wi-Fi規格 “Wi-Fi6”とは?

初心者向け

Wi-Fi6の登場で何が変わるの?

影響とメリットをご紹介します

Wi-Fiが使えるエリアなら、動画の閲覧やダウンロードを気軽に行えます。しかし一度に多くの人が使うと、「通信が遅くなる」といった経験はないでしょうか?

新しく登場する「Wi-Fi 6」なら、今までよりもスマホやパソコンのデータ通信をサクサク行うことができます。Wi-Fiの基本的な役割とWi-Fiの規格、Wi-Fi 6の登場が私たちの生活にどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

01 そもそもWi-Fiとはなに?

基本情報についておさらいしましょう

パソコンやスマートフォンを起動すると、SNSや動画・ニュースや天気予報などあらゆる情報が閲覧できますよね。それらの情報は、インターネット環境につながっているからこそ入ってくるものです。

パソコンやスマートフォンといった端末インターネット環境につなぐためには、ルーターという存在が必要です。

端末とインターネット環境・そして間に入るルーター をつなぐ方法として、有線LANと無線LANという2つの方法があります。

Wi-Fiとは、端末とインターネット環境を接続する「無線LAN」の1種なのです。

Wi-Fiは有線LANと違って、端末をケーブルでつなぐ必要がありません。だからパソコンやプリンターも、Wi-Fiを使えばケーブルが不要で見た目がスッキリするのですね。

基本情報Wi-Fiに関わる2つの団体

IEEE アイトリプルイー(米国電子学会)

詳しくは後述しますが、Wi-Fiには「IEEE」(アイトリプルイー)という規格があります。この規格を決めているのは、アメリカにあるIEEEという学会なんです。日本語では米国電子学会と呼ばれ、Wi-Fiを含む電子通信の規格を標準化しています。

IEEE公式サイト
Wi-Fi Alliance(アライアンス)

そしてもう1つWi-Fiに大きく関わる団体として、Wi-Fi Alliance(アライアンス)があります。Wi-Fi Allianceもアメリカにある団体で、「Wi-Fi」という名前の権利を持っている団体でもあるんですよ。無線LANを世界中に普及させることを目的としています。

02 Wi-Fiもついにナンバリング!なぜWi-Fi “6”なのか

新呼称は「Wi-Fi 6」と正式発表!“6”は6代目の意味

Wi-Fiという言葉をよく聞くようになりましたが、最新のWi-Fi規格として「Wi-Fi 6」という言葉が使われています。今までもWi-Fiは当たり前に使われていましたが、「Wi-Fi 1」や「Wi-Fi 2」という言葉は聞いたことがありませんよね?

実はWi-Fi 6と呼ばれる最新のWi-Fi規格は、「IEEE 802.11ax」が正式な規格名なんです。

Wi-Fiの規格はさきほどご紹介したように、IEEEという団体が決めています。そのため「IEEE」から始まる規格名だったのですが、通信や回線に詳しくない人にとってはなかなか覚えにくいものです。

そこでWi-Fiの普及を行っているWi-Fi Allianceが、最新のWi-Fi規格「IEEE 802.11ax」の正式名称を「Wi-Fi 6」にすると発表したのです。

IEEE 802.11axよりWi-Fi 6のほうが覚えやすいよね!

参照:
FierceWireless「Wi-Fi AllianceがWi-Fi 6を発表して802.11ax製品を特定」
Wi-Fi Alliance「Wi-Fi CERTIFIED 6」

なぜWi-Fi “6”なのかというと、IEEE 802.11axが6代目のWi-Fi規格だからというのが理由。とても単純ですが、一般の私たちにもわかりやすくなりましたよね。

今後もWi-Fiの認定を受けた製品はロゴシールが貼られますが、認定マークにも“6”と数字が入ったものになります。Wi-Fi 6は2019年からスタートなので、これからどんどん日本にも普及していくでしょう。

「これからはWi-Fi 6になっていくんだね。」「なるほど…。でもまだ、Wi-FiとかIEEEとか呼び名があって難しいわ。」

実は「Wi-Fi」は愛称のようなもの

無線LANの事を調べると、「Wi-Fi」と「IEEE」という単語をよく見かけますが、「何が違うんだろう?」と疑問に思うことはないでしょうか。実は「Wi-Fi」とは呼びやすさを重視して付けられた名前で、ブランド名のようなものなんです。

「IEEE…」というWi-Fiの正式な規格名は素っ気なく、回線を普及させる妨げになります。そこでWi-Fi Allianceが一般の人にも受け入れられるよう、ブランド名を考えました。

覚えにくかったWi-Fiの規格名

Wi-Fiの正式名称である「IEEE 802.11」は、規格によって最後のアルファベットが変わります。歴代のWi-Fi規格を表にまとめると、以下のようになります。

Wi-Fi 規格名 最大通信速度 周波数 新呼称
IEEE 802.11a 54Mbps 5GHz 帯 -
IEEE 802.11b 11Mbps 2.4GHz 帯 -
IEEE 802.11g 54Mbps 2.4GHz 帯 -
IEEE 802.11n 600Mbps 2.4GHz 帯
5GHz 帯
Wi-Fi 4
IEEE 802.11ac 6.9Gbps 5GHz 帯 Wi-Fi 5
IEEE 802.11ax 9.6Gbps 2.4GHz 帯
5GHz 帯
Wi-Fi 6

表を見るとわかるように、「IEEE 802.11」の末尾のアルファベットはa、bの次がgまで飛んでおり、規則性がつかみにくいです。どれが最新のWi-Fi規格なのか、回線に詳しい人でないと明確にわかりません。

新呼称で「Wi-Fi 6」など数字表記にするとどれが最新かすぐに分かりますね。Wi-Fiの規格が数字表記になるのは、IEEE802.11n の「Wi-Fi 4」からとなります。

Wi-Fi 6に向けて買い替えの必要はない

Wi-Fi 6が始まるからといって、一般の私たちが使っているWi-Fi機器を買い替える必要はありません。

Wi-Fiの規格は「下位互換」といって、古い規格の回線も処理する機能があります。今使っているスマートフォンやパソコンも問題なく使えるので、安心してください。

03 Wi-Fi 6になるとどんなメリットがあるの?

とにかく通信が速くなる!

ではWi-Fiの規格が「Wi-Fi 6」と新しくなることで、一体私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。

Wi-Fi 6で変わる大きなポイントとしては、まず通信のスピードアップが挙げられます。

Wi-Fi 5に比べると、およそ4倍~10倍も情報を処理するスピードが速くなるといわれています。最近ではスマートフォンで動画を見る機会が増えました。SNSでも動画広告が増えているので、今までと比べて動画もスムーズに閲覧できるでしょう。

また、先ほどご紹介したWi-Fiの規格一覧表に記載したように、Wi-Fiの規格ごとに「周波数」が2種類に分かれています。周波数には2.4GHz帯と5GHz帯があるのですが、Wi-Fi 6はその両方の回線を処理できるのです。

情報を処理するスピードだけではなく性能もあがるので、今までのWi-Fiよりもっとパワーアップ。一度に接続できる機器も増えるので、家の中にWi-Fi機器が増えても処理スピードが落ちることはないでしょう。

そして省エネルギー!

Wi-Fi 6では新しく、TWT(ターゲットウェイクタイム)という機能が追加されます。TWTは通信するタイミングをコントロールすることで、Wi-Fi機器のバッテリーを長持ちさせる効果があります。

そのためWi-Fi 6になると、Wi-Fi機器が電池切れするスピードが遅くなるので省エネになるというわけです。

公共のWi-Fiスポット環境でもサクサク動く

空港やスタジアム・カフェなど、Wi-Fiが利用できる場所が増えてきました。しかし人が多いとWi-Fi回線が混雑するので、「せっかくWi-Fiがあるのに遅すぎて使えない」とガッカリしたことはないでしょうか。

Wi-Fi 6は、GPSや公共機関など、サービスが集中したときの接続性もアップするように改良されています。そのため、多くの人が利用する公共のWi-Fiでも混雑しにくくなるでしょう。

遅い、使えないのお悩みがなくなる!?

Wi-Fi6の対応機種がたくさん出てくる

いまでは、Wi-Fi 6に対応したスマートフォンが、続々と販売開始されています。

iOS端末では、iPhone11シリーズ、iPhone SE (第2世代)、Android端末では、Galaxy 20 5G、AQUOS R5G、Xperia 1 IIがついにWi-Fi6に対応しました。

今後はスマートフォンだけでなく、パソコンやIoT家電などにもWi-Fi6搭載される可能性があります。

これからWi-Fiは、Wi-Fi6が主役になっていくでしょう!

Wi-Fi6の対応機種がたくさん出てくる

04 Wi-Fi 6が新登場した理由は!?

IoTやAIのICT基盤となる!

Wi-Fi 6が登場した背景には、世界中のあらゆるもののデジタル化が進んでいる現実があります。

日本でも、スマートフォンの普及が急速に進んでいます。スマートフォンによるキャッシュレス決済や声に反応してくれるスマートスピーカーなどもWi-Fi環境が必要です。医療もIT化が進んでおり、Wi-Fiがなくてはならないものになりました。

モノがインターネットとつながることをIoTといいますが、IoTを運用するためにはWi-Fi環境が欠かせません。

政府が進める情報通信技術「ICT」や、膨大な情報を処理するAIこと「人工知能」をレベルアップさせるためにも、Wi-Fi通信を安定させる必要があるのです。

ICTや人工知能のレベルアップのためでもあるんだね

2020年の「5G」実現に向けた動きが本格化

総務省の調べによると、携帯電話やスマートフォンに使われる「LTE回線」の最大通信速度は、30年間で約10万倍にまで増えています。

参照:「第5世代移動通信システムについて」

2019年9月現在、最新のLTE回線は第4世代です。そのため、Wi-Fi環境にない状態のスマートフォンを見ると、画面の上の方に「4G」と表示されています。

第4世代はホームページの閲覧や動画サイトといった通信用途がメインでしたが、IoTやAIの登場によってさらに通信環境の基盤を整える必要があります。

そこで登場するのが次世代移動通信システムである「5G」なのです。

次世代移動通信システム「5G」の情報を処理するのに必要なのが新しい「Wi-Fi 6」という規格

通信システムが向上しても、その情報を処理するWi-Fi環境が性能不足では効果が出ません。だからこそWi-Fi 6という新しい回線規格を作ることで、もっと世の中を便利にしようと進化しているのです。

私たちの知らないところで、通信技術は日々進化しています。Wi-Fiが進化することで、私たちの生活はもっと快適になるでしょう。

Wi-Fi 6と5Gの社会、楽しみだね。

関連リンク