メッシュWi-Fiの仕組みやメリット、設置方法についてご紹介します。
スマートフォンやパソコンに扇状のマークで表示されるWi-Fi。
無線LANの1種で、機器をインターネットとつなげる役割を持っています。
Wi-Fiとつなげて利用する機器は、ゲーム機やタブレット、音楽プレーヤーなど多種多様なものがあります。スマートスピーカーやAIが搭載された家電なども、Wi-Fi環境が欠かせません。
つまり、家の中にWi-Fi機器がどんどん増えている状態なのです。
家やカフェなどでWi-Fiを使えるようにするには、「Wi-Fiルーター」を設置して環境を作る必要があります。そのWi-Fiルーターは電波を出しており、平均しておよそ100mの範囲は届くといわれているのです。
しかし100mより狭い範囲であっても、家の中ではWi-Fiがつながりにくい場所がありませんか?
家の中には、壁やドア・家電などでWi-Fiの電波を妨害してしまうものがあります。特に鉄筋コンクリートで建てられたマンションや頑丈に作られた耐力壁、家電でいうと電子レンジなどがそれにあたります。
そのため、Wi-Fiルーターから100m以内にある場所でも、通信が不安定な場所が生まれてしまうのです。
メッシュWi-Fiとは、Wi-Fiルーターとは別にサテライトと呼ばれる複数の専用中継器を増やすことで、ルーターの負荷を分散させる方法です。
メッシュWi-Fiはもともと公衆Wi-Fiや産業向けとして開発された技術ですが、2017年あたりから家庭用としても使われるようになりました。
家の中のWi-Fi通信を安定させる方法として、「中継機」という存在もあります。メッシュWi-Fiと中継機は混同しがちですが、じつは似て非なるものなのです。
中継機はWi-Fi機器とルーターの間に設置することで、お互いの電波の「橋渡し」として働きます。
Wi-Fi機器が発した電波を中継機が受け取り、情報をルーターに伝えることで、Wi-Fi機器と
ルーターが離れていても通信が途切れず利用できるのです。
Wi-Fiを設定する時は、SSIDというネットワーク名を決めます。そして中継機を追加する場合は、Wi-Fiとは違うネットワーク名にして、「チャネル」と呼ばれる周波数も変えなければいけません。
つまり中継器は、Wi-Fi機器からの電波をWi-Fiルーターに届ける「仲介役」に過ぎず、ルーターの負担が減るわけではありません。中継機を使いたいときは、周波数も変えなければいけません。
メッシュWi-Fiは電波の橋渡しをする中継機と違い、Wi-Fiルーターの分身のように働いてくれます。
それまでと比べて電波が届く範囲が広がるため、途切れやすかったWi-Fi通信環境が安定します。
「部屋の一部だけ電波が悪い」というご家庭は、特にメッシュWi-Fiがおすすめです。
昔はWi-Fiに接続する端末といえば、パソコンやスマートフォンがメインでした。しかしモノがインターネットにつながるIoTが進んだ現在では、家電やゲーム機・テレビやスマートスピーカーなどWi-Fiに接続して使う機器が急増しています。
リビングで親がパソコンを使い、2階でも子供たちがパソコンやゲーム機・タブレットを使うというシーンも珍しいことではありません。
たくさんの端末を同時にWi-Fiに接続すると、回線が混み合って通信が不安定になります。
先ほどもご紹介したように、メッシュWi-FiはWi-Fiルーターの分身として機能します。そのため、接続するWi-Fi機器が増えても回線が混み合いにくくなるのです。
メッシュWi-Fiと中継機の違いについて、先ほど中継機を経由する場合は手動で切り替える必要があるとご紹介しました。ネットワーク名であるSSIDを異なるものにする必要があるので、自動では切り替えられません。
しかしメッシュWi-Fiは、元から設置してあるWi-Fiルーターの分身のような存在。
つまりネットワーク名を同じにできるので、メッシュWi-Fiを経由するときも自動で行ってくれるのです。
端末はWi-FiルーターをメッシュWi-Fiの電波の強さを判断して、電波が強いほうに勝手につなぎにいってくれます。
つまりWi-Fiルーターがスムーズに使える範囲を広げてくれるので、メッシュWi-Fiを意識することなくスムーズな通信環境になるのです。
完全無欠とも思えるメッシュWi-Fiですが、注意点もあります。
まずはWi-Fiの通信速度。メッシュWi-Fiを導入してWi-Fiが使える範囲が広がるのは事実ですが、本来の目的は回線環境の“安定”であり、速度の向上ではありません。Wi-Fiの電波が強くなることもないのです。
「今のWi-Fi環境は安定しているけれど、処理速度を上げたい」という場合は、メッシュWi-Fiを導入してもメリットを感じにくいでしょう。
しかし、通信の速度が向上しないといっても「高性能なルーターに比べると」というレベルです。通信環境が不安定なせいでWi-Fiの接続が遅くなっている場合は、メッシュWi-Fiを導入すると速度が上がったと感じるでしょう。
Wi-Fi機器が増えたせいで通信が遅くなった場合も、メッシュWi-Fiによって速度が改善します。
メッシュWi-Fiは、ネットワーク名をはじめとする設定情報を元のWi-Fiルーターと同じにする必要があります。あくまでもWi-Fiルーターの“分身”という位置づけなので、メッシュWi-Fiだけ設定を変えるという事はできません。
そのため、「ルーターごとに設定を変えたい」というネットワーク上級者は、メッシュWi-Fi以外の方法を検討するのがおすすめです。
メッシュWi-Fiはあくまでも無線LANであるWi-Fi通信を前提として作られています。そのため、有線LANに必要なポートの差込口は2つ程度など、少ない製品がメインです。
しかし有線LANは通信速度が速く、多くの情報を処理出来たり外部からの攻撃リスクが低かったりと、メリットもあります。
「メッシュWi-Fiを導入したいけれど、有線LANも複数使っている」という場合は、有線LANのポート数が多いものを選びましょう。
一般的なWi-Fiルーターのポート数はおよそ4つなので、ポートの差込口が4つ程度あるメッシュWi-Fiなら有線LANの妨げにもなりません。
家の中心に置く
ルーターは電波を放射状に出しながら働いているので、なるべく家の中心に置くことで電波を効率よく飛ばすことができます。メッシュWi-Fiも同様に家の真ん中に置くよう心がけ、棚の中や家の端っこなどは避けるのが無難です。
電子レンジや
水槽付近は避ける
電子レンジの発する電波も妨げになってしまうので、なるべく離すようにしましょう。
意外に思われる方も多いですが、Wi-Fiの電波は水にも吸収されます。そのため、水槽など水が多くある場所も避けておくのがおすすめです。
床から1~2m
高い場所に置く
床から1~2m高く、周りに障害物が少ない場所にルーターを設置しましょう。これだけでも通信環境がよくなりますよ。