商品サイトはコチラ
スタイルを持つカメラバック「off toco」シリーズ。
ファッション性が高いだけではなく、機能性が高いだけでもない。
圧倒的なユーザー視点と時代感覚を絶妙に汲み取り、
これまでなかった新しい価値を持つブランドを
生み出した背景を開発者は語る。
「未体験のゾーンへ、ゼロからのスタート」
ー オフトコの開発を行うことになった経緯は?
入社2年目の初め頃に、カメラバックは古い商品1-2点ほどしかなかったので、何か新商品を投入したいとチーム内で要望が上がり担当することになりました。
実際にカメラバッグ売り場を見に行ってみると、カメラ本体売り場は若者で賑わっているのに対し、カメラバッグはどれも中高年層を対象とした機能訴求のマニア向けバッグばかりだと感じました。このターゲットユーザーの食い違いに着目した、今までにない回答があるのではないかと感じ、ブランドの立ち上げにチャレンジしたいと思いました。
ー しかし、今まで前例のないアイテムをひとつのブランドへと確立させるためには、たくさんのプロセスがあったかと思います。
そうですね。まず、プロではなく、カメラにこだわりのある友人やミラーレスを使っているユーザーなどに色々と話を伺っていきました。そこで気づいたのが、カメラが趣味の若者が、ファッション感覚で普段使いでも使えるカメラバックというものがないということでした。そこで、カメラを使わないときは、カメラインナーケースを外すことで通常のバッグとして普段使いができる2STYLEのバッグとして特徴付けをしました。また、それぞれの生活スタイルに合わせ選べるよう、バックパック(大)は一日小旅行、メッセンジャー(中)は自転者で街にお出かけ、ショルダー(小)はちょっと近所にお散歩、という形でシーンを想定した上でバリエーション展開し、シリーズ化を行った上でブランドとして確立させることを考えました。
ー 反響はいかがでしたか?
今まではカメラバッグ専用のバッグが大半の中、通常のバッグとしても使えるようシリーズ展開したことで、今までカメラバッグまでは必要だと感じなかったユーザーまで、カメラ市場を越えて幅広いお客さんに手にとっていただけました。
ー 第一弾の3タイプで最も評判が良かったのはどのタイプですか?
off tocoの中でもメインモデルとなるバックパックになります。一般的にバックパックの欠点として、荷物の取り出しにくさにあると感じていました。デザインする上で、そこさえ何か解決できる方法があればすごく便利になるのではないかなと思っていました。背負いやすさや動きやすさがバックパックの優れた特徴であるので、取り出しにくさを克服するということを一番に考え始め、機能性の向上ということに集中して開発を行いました。
ー そこから生まれたのが「off toco バックパック」最大の特徴とも言えるサイドポケットになるんですか?
はい、両側面からハンドル式ですぐに大きく開口するという機能です。通常、バッグの奥底に入った荷物は、バッグを下ろし・ファスナーを開け・モノを掻き分けて探す、といった多くの工程が必要になっていました。この機能は、下段の収納物をバッグを下さなくても両側面からアクセスできるので、左右にカメラ・レンズを分けて収納することができ、すぐにものを取り出せるという使いやすさを実現しました。また、カメラを使わない際は、下段にお弁当や着替えなどを分けて収納することもでき便利です。
ー 「off toco」というネーミングにはどういう想いが込められているのでしょうか?
「オフの日にトコトコと思わず出かけたくなる」というターゲットシーンを表した直接的な意味と、「off to〜」の訳としても「〜へ出かける」という意味をもった造語になっています。ブランドのコンセプトとして”カジュアル”や”普段使い”などといったターゲットとイメージを表す言葉は決まっていったので、そのイメージに連想される言葉を検討していきました。
ー そこから生まれたのが「off toco」なんですね。
はい。ブランド名からも製品やブランドの世界観を連想でき、「オフトコ」と気軽に名前として呼びんでもらえるような商品になっていってほしいなという願いを込めて「off toco」としました。そして、ブランド名の響き、シンプルな製品デザインからくるイメージを、視覚的に伝えるためのロゴにしています。
「求められる機能要素から自然と導き出した、普段使いに最適なカタチ」
ー 機能やデザインを決める要素の一つとして意見を聞き取りされていますが、どのようなことを意識されて聞かれているのでしょうか。
まずは根本となるバッグとしての使い心地が大切だと思っていました。いつものバッグをどのように使っているのか日常の行動の流れを聞いたり、現状にどのような不満や・要望があるかも合わせて聞くことで、各動作をより最適に行える機能性の選定へと結びつけていきました。
ー 使用する上での各動作とは、具体的にどのような点でしょうか。
バッグを日常で使用していく中では、背負う以外にも、持つ・置く・出し入れする等さまざまな動作が生まれます。そのそれぞれの動作を快適に行える工夫を、意見の聞き取りや使用していく中で検討しています。背負いやすさを考えた背中の構造に沿った背面構造やサポートベルト。持ち手を2本のハンドルにすることで中心軸で安定して持てる工夫など、快適にするための機能を自然にデザインへと繋げるようにしています。
ー 意見も反映しての開発にあたって、アイデアからデザイン、そして製品化へと向かうプロセスの中で、色々と試行錯誤があったかと思いますが。
そうですね。まずは平面でラフケッチを行い、それを原寸大に印刷してみて並べてみたりして、少しずつ立体化させていきました。そして工場にサンプルを依頼して調整していくということの繰り返しでしたね。実際に上がってきたサンプルを様々な角度から検証し、サンプルに対しても社内から意見をもらい少しずつ修正を加えていきました。
ー かたちを試行錯誤する上で、こだわっている点などは何かあるのでしょうか。
形状決定は、「機能から自然に導き出した、普段使いに最適なカタチ」をテーマとして、使用する上での便利な機能性が一番効率よく使用できる形へと自然になるようデザインをしています。また、ブランド全体での統一感を意識し、生地・パーツ・形状のつくり方を決定しています。生地の縫製方法に関しても、細部まで一貫して折り込み式で縫うことで縫製ラインも表に極力見えないように構成要素を減らし、素材感を活かすように心がけています。そういった本当に必要なそれぞれの要素を洗練させていくことで、必要な個所に無駄なくスムーズにアクセスできる使用の際の機能面と、雑音なく日常に違和感なく溶け込むデザイン性につながっていると思います。
「ブラッシュアップの結晶とも言える、新たなフラッグシップの誕生」
ー 「off toco」はライトユーザーから一般のカメラユーザーの方に向けたブランドですが、この機能性はプロの方でも十分納得のアイテムだと感じましたが。
実際、何名かのプロカメラマンにも使っていただいており、意見も伺いました。プロの中にも街に出掛けたり、人が多いところに持っていくことも多いので、いかにもなカメラバックより溶け込むデザインのものを求めているという意見も多かったです。今回リニューアルしたハイグレードは、普段使いをする「off toco」の中でも最高位に位置づけるような製品になりました。
ー お話にもありました今回リニューアルされたBackpack High-Grade Model/2style Camera Bagですが、どのあたりを改善されたのでしょうか?
第一にはサイドポケットの機構部分です。ジッパーを開けた時、フラップを一時的に止めるために以前は面ファスナーを採用していたのですが、面ファスナーは開閉時にどうしても「バリバリ」と音がするので、静かな場所でカメラを取り出す際に気にされる方も多かったため、マグネットに変更を行いました。マグネットの利点としては、ズレて止まってしまっても、ファスナーを閉める際に定位置へと戻ってくれるので、開閉のスムーズさも向上しました。
ー 今回のハイグレードは2室の下部分が蓋つきのボックスとして取り出せるようになりましたよね。
はい。そこも大きなポイントです。前回は簡易なケースだったのですが、蓋とハンドルのついたカメラBOXをメイン生地で作成することで単体でも使用でき、持ち運べるという観点から採用しました。これ自体をカメラの保管ケースとして活用することで、カメラを持ち運ばない時は取り外して自宅などに置いておき、一般的なバッグとして使用できるように考えました。
ー 2styleとしての機能性自体が向上しましたね。
そうですね。それぞれに独立した機能と利便性を持たせることができました。その他に、機能性という点では背面構造を変えました。背中の形状に沿うよう、EVAというクッションを採用し背負い心地が向上させました。また、チェストベルトに加え背負い位置調整ベルトとLサイズにはヒップベルトも追加することで、背負った際の重さも負担をグッと軽減することができるようになりました。
ー 形状においての特徴は?
低重心であるということでしょうか。自立する形状にデザインしているので全体的に少しハの字になっています。大きいながらスマートに見えるように意図していて、下層はカメラが入ってくるので幅の広い台形型になっています。安定して置けるということをかなり意識しています。大きさのあるバッグで、中に入れるものも重量があるかと思うので、地面に置く頻度も増えるため、底面がすり減るのが不安という意見も出ました。そこでハイパロンゴムという強い生地に切り替えました。
ー 細部に採用しているパーツもこだわりを感じます。
細かいところまで使い心地や機能面にこだわっていまして、オリジナルパーツで作成しています。持ちたくなるバッグ、出かけたくなるバッグというのを目指しています。
ー 特徴として挙げられるのはポケットの数ですよね。
ポケットの数は本当多いです。一応全てのポケットに何を入れるのかを想定してデザインしています。
ー 全てに役割があるんですね。
カメラ、パソコン・タブレットはもちろん、レンズキャップやSDカード、スマホやICカードなどをどこに収納するのかまで想定してポケットの位置を決めています。底面にはレインカバーを収納するポケットになっていて、底面にした理由は収納されたレインカバーがクッションの役割を果たすということを考えています。
ー このバッグのパーツ数は相当な数になりますね。
パターンとしては200以上のパーツを縫い合わせて作られているバッグです。かなり複雑なバッグで、工場の方からもここまで複雑なバッグは初めてですと言われるほどでした。
ー 見た目のすっきりさからは想像できない機能数だと思います
高機能ながら、取り出したい荷物にアクセスしやすいということに重きを置いていて。カメラバックの売り場では、機能性に寄ったものは見た目や使い勝手も複雑化してしまってわかりづらくなってしまっているバッグが多く見られます。そこでシンプルな見た目で分かりやすいながら、機能性に重視したバッグがあれば、そこにお客様の求める答えはあるのではないかと思っていました。
ー カメラを持たないユーザーでも、旅行時などにとても役立つバッグに感じました。
そこはかなり意識していて、今回はキャリーバッグのバーに固定できるキャリーベルトなどを追加しました。海外では防犯においても大切なポイントになりますので、簡単にロックができるフックを設けたり、大切なものは外から開けにくい場所にポケットをつけるなどの工夫をしています。
ー 今後、どのように「off toco」を展開していきたいですか?
「off toco」を開発してきて感じたのは、カメラユーザーの視点から生まれた高い機能性は、普段の生活シーンにおいても最適に当てはまり、カメラ市場を越え、より多くの一般ユーザーまでに使っていただける可能性を秘めているということです。今後、カメラバッグに備わった機能的な側面・シンプルで使いやすいデザインを引き継ぎ、より普段の鞄にも幅広くブランド展開をしてゆく予定です。 「暮らしに寄り添う機能性×シンプルで使いやすいデザイン性」という新しい価値で多くの人のお出かけシーンをより快適に変えていこうと思います。