Vol.06 IPv6に変更したら行うべきWi-Fiルーター設定
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IPv6に変更したら行うべきWi-Fiルーター設定

IPv6に変更したら行うべきWi-Fiルーター設定

以前に使っていた回線が遅いと感じ、IPv6に対応したプロバイダに変更した方も多いのではないでしょうか。現在は、テレワークやオンライン授業の導入などで、多くの人が高速のインターネット回線を求めるようになったため、IPv6へのニーズが高まっているといえます。また、動画配信サービスをよく利用している人なども、高速で安定しているインターネット回線でコンテンツを楽しみたいと思うのが自然です。
ここでは、インターネットを快適に使うことができる、IPv6の仕組みと設定方法についてご紹介します。

インターネットを快適に使えるIPv6とは?

インターネットを快適に使えるIPv6とは?

高速のインターネット回線が必要であれば、光回線を選んだら解決するというのは、まだADSLなどが主流だった頃の話です。今は、光回線がスタンダートとなっており、光回線サービスの中から速さや安定性を比較する時代です。
しかし、インターネットユーザ増加に伴い、回線の混雑による通信速度の低下もよく見られるようになりました。そんな通信速度の低下を防ぎ、改善してくれるのがIPv6を使った新しい通信方式です。まずは、インターネットを快適に使えるIPv6の仕組みから解説していきます。

IPv6はインターネット通信規格のひとつ

IPv6はInternet Protocol Version 6の略で、インターネット通信規格のバージョン6という意味になります。IPv6の「IP」は、パソコンやスマートフォンに割り当てられているIPアドレスの「IP」と同じもの。このIPアドレスは固有の番号となっており、現在主流となっている「IPv4」では約43億のIPアドレスが利用可能です。43億と聞くと膨大な数に思えますが、2019年時点の世界人口が約76億7,353万人ですので、IPアドレスは1人に1つもありません。しかも、すべてのネットワーク機器一つひとつにIPアドレスは割り当てられるのです。端末を複数持つことが当たり前の現在では、世界全体におけるIPアドレスの数は足りなくなっています。
このような、IPアドレス不足を打開するために生まれたのがIPv6です。IPv6は、約340澗(43億×43億×43億)ものIPアドレスが利用可能となっており、これからの時代に必要不可欠な規格といえます。

IPv6はインターネット通信規格のひとつ

IPv6とIPv4の違いは接続方式

IPv6がIPv4よりも高速な通信環境を得られるのは、利用できるIPアドレスの数が多いからではありません。実は、IPv6とIPv4は、接続方式が異なるのです。これまで主流だったIPv4の接続方式は、「PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)」です。一方、IPv6の接続方式は「IPoE(Internet Protocol over Ethernet)」となっています。
この2つの接続方式の違いは、自分の端末からインターネットのプロバイダにつなげるまでに「ネットワーク終端装置」という電話回線網と、プロバイダを接続する装置を経由するか否かです。
PPPoEの場合は、このネットワーク終端装置を必ず通りますので、回線が混んで遅くなります。車線の多い高速道路が、車線の少ないトンネルに入ると渋滞しやすくなるのと同じイメージです。IPoEはネットワーク終端装置を通らず、直接プロバイダにつながりますので、回線のスピードが速いのです。

IPv6を使うには?

IPv6を使うには?

従来のIPv4に比べて回線のスピードが速いIPv6を使うには、どうすればいいのでしょうか。続いては、IPv6でインターネット接続をするための、一般的な方法をご紹介します。

IPv6対応のプロバイダと契約する

IPv6でインターネット接続をする上で最初にすべきことは、IPv6対応の光回線を提供しているプロバイダと契約することです。現在、プロバイダと契約している場合、IPv6に対応しているかどうかを確認してください。もし、プロバイダにIPv6のプランがあれば、プランの変更で済みます。新たなプロバイダを選ぶ場合は、現在契約しているプロバイダを解約する必要があります。その際、解約手数料などが発生する可能性もあるのでご注意ください。

なお、接続方式をIPv6にした場合、IPv6に対応していないWebサイトには接続できなくなります。対応していない有名サイトにはTwitterなどもありますので、困る方もいるでしょう。そこで開発されたのが、IPv6とIPv4の通信が両方できる「IPv4 over IPv6」という接続方式です。各プロバイダのプランが「IPv6プラス」や「IPv6オプション」といった名前になっているのは、そのためです。

IPv6対応ルーターを購入する

プロバイダをIPv6対応のプランにした場合、注意しなければいけないのが使用しているWi-FiルーターがIPv6に対応しているかどうかです。もし、対応していない場合は、新たに購入が必要です。
Wi-Fiルーターは、基本的には接続時に回線識別機能でIPoEに設定されます。IPoEはプロバイダを介して、直接インターネットに接続できる新しい接続方式のこと。これは、パソコンなどの機器を有線接続する際の通信規格のひとつであるイーサネットを通信に使う前提で開発されており、「ネイティブ方式」とも呼ばれます。
IPv6対応ルーターを購入したら初期設定が必要ですので、各メーカーの設定手順にしたがって初期設定を行ってください。

IPv6対応ルーターを購入する

端末のIPv6接続設定を行う

Wi-Fiルーターだけでなく、使用する端末も、IPv6の接続設定が必要です。例えば、Windows 10であれば、下記の作業が必要です。なお、スマートフォンなど一部の端末では、事前に設定が済んでいる場合もあります。

<Windows 10のIPv6接続設定方法>

  1. 画面左下にある「Windows」ロゴをクリックし、アプリ一覧から「Windows システム ツール」を開きます。
  2. 「コントロール パネル」から「ネットワークの状態とタスクの表示」をクリックします。
  3. 「アクティブなネットワークの表示」から「接続」に記載されている「イーサネット」などの項目をクリックします。
  4. 状態の詳細画面が表示されたら、「プロパティ」をクリックします。
  5. 回線識別画面が表示されたら、「自動設定」を選択します。
  6. プロパティ画面で「この接続は次の項目を使用します」の中から「インターネット プロトコル バージョン 6(TCP/IPv6)」にチェックを入れて、「OK」をクリックします。

IPv6に変更できているか確認するには?

IPv6に変更できているか確認するには?

端末の接続設定をIPv6に変更したのにスピードが遅いと感じる場合は、実際にIPv6で接続できているかを確認しましょう。確認するには、下記のような方法があります。

スピードテストサイトでIPv6に変更できているかを確認する

一番簡単にできるのが、スピードテストサイトでIPv6に変更できているかを確認することです。GoogleでもIPv6かどうかをチェックできるページがあります。

パソコンの設定画面でIPv6に変更できているかを確認する

外部サイトを使わないのであれば、接続しているパソコンの設定画面から調べる方法もあります。

<Windows 10でIPv6に接続できているか確認する手順>

  1. 画面左下にある「Windows」ロゴをクリックし、アプリ一覧から「Windows システム ツール」を開きます。
  2. 「コントロール パネル」から「ネットワークの状態とタスクの表示」をクリックします。
  3. 「アクティブなネットワークの表示」から「接続」に記載されている「イーサネット」などの項目をクリックします。
  4. 状態の詳細画面が表示されたら、「詳細」をクリックします。
  5. 「ネットワーク接続の詳細」画面が表示されたら、「IPv6 アドレス」と「IPv6 デフォルト ゲートウェイ」があるかどうかを確認します。表示されていれば、IPv6でインターネットに接続しています。

IPv6で高速インターネットを満喫しよう

IPv6で高速インターネットを満喫しよう

個人でインターネットを楽しむ場合、光回線のIPv4でも実用性は十分あります。しかし、最近ではオンライン会議、オンライン授業、動画配信サービスなど、スピードだけでなく安定性を求めるシチュエーションも増えてきています。Wi-Fiルーターの買い替えなどコストはかかりますが、先行投資という意味でも、IPv6で快適なインターネット環境を整えてみてはいかがでしょうか。
IPv6にはIPv6対応サイトしか閲覧できない欠点がありますが、サービスを選ぶ際は、その欠点をカバーしてくれる「IPv6プラス」や「IPv6オプション」といった名称がついたプランを選べば、従来のIPv4対応サイトも閲覧できるので安心です。