導入レポート(GIGAスクール構想) - 生駒市教育委員会 様

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キーパレットで
実現するiPad学習環境
生駒市が選んだ"分離型"スタイル

導入レポート
生駒市教育委員会 様
奈良県生駒市の公立小中学校では、NEXT GIGAスクールに伴い、児童・生徒へ1人1台のiPadを使った授業が展開されている。端末を「いつでも使える文房具」として身近に置き、子ども自身が必要性を判断し、学び方を選べる環境を整えることが狙いだ。
その運用を支える周辺機器として、エレコムの有線キーボード、"KEY PALETTO(キーパレット)"とiPad用アクティブタッチペンを採用された。
今回の導入には、教育現場ならではの「要件」と、子どもに優しい「使いやすさ」を両立させるための工夫が詰まっている。

「自分らしく学ぶ」を支える
ICT教育の位置づけ

生駒市は教育の基本方針として「自分らしく生きる」を掲げ、学校教育ではこれを「自分らしく学ぶ」と言い換えている。ICT活用もその延長線上にある。生駒市教育委員会事務局 教育部 教育指導課の指導主事、金秀勇氏は「子どもが自己決定の中で選べるICT教育を進めたい」と語る。市が重視するのは、文部科学省が示す情報活用能力の育成に加え、デジタルシティズンシップ教育である。デジタルが当たり前になった社会で、社会の一員としてどう関わり、どう自己実現していくのか。学びの場でその土台を育てたいという考え方だ。

端末切り替えの出発点は
「持ち運びに重い」との声

端末をiPadへ切り替えた背景には、GIGA第1期における現場の声がある。第1期に従来配布していた端末は「キーボード一体型で重い」という意見が家庭調査でも多く、持ち帰り自体に否定的な声も少なくなかった。家でどう使うのか分からない、そもそも使わせたくないなど、家庭ごとの考え方の違いも浮き彫りになった。

そこで生駒市がまず重視したのが軽量化である。金氏によれば、従来の端末が約1.2kgだったのに対し、iPadはケースとタッチペンを含めて約850g程度まで軽くできたという。毎日持ち帰るデバイスだけに、この差は大きい。

iPadが有利だった
「学校と家庭とのすみ分け」

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中学生も利用することを考慮し、黄・青・オレンジのキー色は、オリジナルより落ち着いたカラーに変更されている。

もう一つの判断材料が、家庭との"すみ分け"を可能にする運用だ。生駒市では端末管理にMDM(モバイルデバイス管理)を導入し、家庭側でペアレントコントロールの一部設定を行えるようにした。学校では市の教育理念に基づき学びに使える環境を整え、家庭では各家庭の方針に合わせて制限を強めたい場合はそうできる。全ての時間帯で完全に両立できるわけではないが、一定の時間で切り分けることで、学校と家庭の双方の価値観を尊重する形を目指した。

また、低学年の児童にとっては、iPadのソフトウェアキーボードが優れている点も大きい。ローマ字を習う前の子どもは、かな入力が中心になるが、キーボードは「あいうえお順」ではないため、探しながら打つ負担が大きい。iPadのソフトウェアキーボードは、かな配列を選べ直感的に入力できるため、早い段階からわからないことを調べたり、その際に気を付けるべきことなどを教えやすいやすい、という狙いがあった。

外付けキーボードは
「分離型」であることが条件

一方で、文科省の情報活用能力の育成にはキーボード入力も含まれる。長文を書く、考えを構成する、といった学習活動では物理キーボードが有効だ。生駒市が選んだのは、iPadと分離して使える外付けタイプである。

キーボードとタブレットケース一体型のKEY PALETTO Folioも検討されたが、厚みが出て重くなり、サイズも大きくなる。さらに県による共同調達の充電保管庫に収まらないといった実務上の課題もあった。分離型であれば「手軽さ」と「入力能力の育成」を両立できる。長文入力は物理キーボード、ちょっと調べたい時はソフトウェアキーボード、といった使い分けも可能になる。キーボードの持ち帰りの判断は選択できるようにしており、強制しない運用としているのも特徴だ。

最大の壁は「イヤホンジャック問題」

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新開発のキーパレットには、φ3.5mmオーディオジャックが搭載された。

今回の導入検討で最大の壁となったのが、イヤホンジャックである。iPad本体にはイヤホンジャックがなく、有線イヤホンを使うにはUSB Type-Cから取り出す必要がある。しかしiPadのコネクタは1つしかないため、同時にキーボードを接続できない。

「Bluetoothイヤホンで代替できるのでは」という発想もあるが、教室で一斉に使うと混線の懸念があり、教育委員会だけで大規模な実証を行うのは現実的ではない。さらに令和8年度は外国語の学力調査が想定され、学力調査ではイヤホンとキーボードを同時に使うことが前提となる。補助要件としても、同時利用できる環境が求められた。

当初はType-C分配器で解決できると考えたが、実際に挿してみるとキーボードを読み込まないものが多かった。充電専用のType-Cで、入力機器としての役割を持たない製品が大半だったためだ。そこで金氏はエレコムの営業担当者に相談し、「イヤホンジャック付きの外付けキーボード」を開発するという解決策に踏み込んだ。こうして補助要件を満たしつつ、教室での一斉利用にも耐える構成が実現した。

「書く学び」を後押しする
アクティブタッチペン

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タッチペンは、持ちやすさや書き心地、パームリジェクション機能などを評価。

同時に採用されたアクティブタッチペンは、書き味やペン先の感触、パームリジェクションによる書きやすさが評価された。金氏は、手書きとキーボード入力の役割を明確に分けて捉えている。

「私の場合、話を聞きながら考えをまとめる時は手書きが向いています。一方で、文章を書いて構成し直す時はキーボードが適しています。子どもたちが自分に合う使い方を見つけ、必要に応じて"書く""打つ"を選び取れる環境を整えてあげることが重要ではないでしょうか」と語る。

端末は「机の中」へ。
学びを日常化する運用を目指す

運用面でも、生駒市は端末を保管庫に取りに行く形を推奨していない。 「机の中に入れておき、必要な時に出して使い、使わない時はしまう。常に身近にあることで、子どもが『今、この授業で必要か』を自分で判断する機会が生まれます。これはデジタルシティズンシップが目指す自己決定とも通じるものです」と金氏は語る。

更新後、学校を回る中で「iPadがうれしい」「起動が速くなった」といった声も聞かれるという。生駒市は推進教員との連携体制を整え、困りごとの吸い上げと周知を回しながら活用を後押ししている。

要件を満たすだけでなく、
子どもに優しい教具へ

今回の導入は、単に周辺機器を揃えたという話ではない。学力調査の要件、教室の現実、家庭の多様な価値観、そして「自分らしく学ぶ」という理念。その全てを踏まえた上で、子どもが学び方を選べる環境を組み上げた取り組みである。キーパレットは入力の道具であると同時に、タッチタイピングを習得するのに欠かせない、正しいホームポジションを身につける"教具"としての役割も期待されている。

子どもが自分の学びに必要なツールを選び、使い分け、学びを深める。生駒市が目指すICT教育の姿は、iPadの画面の中だけではなく、手元のキーボードとペンにまで一貫して表れている。

取材にご対応いただいた方

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生駒市教育委員会事務局
教育部 教育指導課 指導主事
金 秀勇 氏

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2026.03.17