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【法人向け】無線LANアクセスポイントで快適なオフィス環境を構築

執筆者BUSINESS SOLUTION WEB 編集部
2019.11.12

ひと昔前とは異なり、企業が無線LANを導入することは一般的となりました。無線LANの導入は、業務の効率化や働き方に変革を起こす可能性を秘めています。一方で、盗聴や情報漏えいなどに対するセキュリティが課題となります。

今回は、安全で効率的な通信環境を整えるための基本知識を紹介します。

無線LANを導入するメリット

無線LAN導入のメリット

企業が無線LANを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な例をいくつか挙げます。

オフィスが整理される

無線LANはLANケーブルを使用しないため、デスク周辺などの整理が期待できます。また従業員のデスクの位置がLANケーブルに依存しないため、レイアウト変更も容易になります。

スマートデバイスの効果的な活用

現在のワークスタイルでは、パソコンの他にスマートフォンやタブレットなど持ち運びに便利な端末を利用することも珍しくありません。無線LANを導入することで、持ち運んで使うスマートデバイスをより効果的に利用することが可能となります。

フリーアドレスの実現

無線LANによるインターネット環境を構築できると、パソコンをデスクの位置に固定して使用する必要がなくなるため、フリーアドレスを実現することができます。フリーアドレスは、席を固定せずに自由な場所で働くオフィス形態の1つです。

オフィス内でノートパソコンやタブレットを手に、どこでも仕事をすることができれば、部署の内外を問わず気軽に顔を合わせて話すなど、社員同士のコミュニケーション活発化に効果があります。そのためフリーアドレスが実現すれば、生産性や従業員満足度の向上が期待できるでしょう。またオフィスをフレキシブルにレイアウトすることで、職種や組織による従来の島型オフィスによって形成される封建的、序列的秩序も希薄になるため、風通しのいい企業風土を醸成できます。

またフリーアドレスはテレワークと好相性です。テレワークによりオフィスで働く従業員が減るため、全員分の席を用意する必要がなくなり、スペースコストの削減にもつながります。まさに無線LAN導入の実現は、働き方改革の第一歩と言えるでしょう。

●フリーアドレスとは?メリット・デメリット、導入のステップを紹介

無線LAN環境を構築するために必要なアクセスポイントとは?

無線LANアクセスポイントとは?

オフィスで無線LAN環境を作るには、無線LANアクセスポイントを設置する必要があります。アクセスポイントとは、スマートフォンやパソコン、タブレット、ゲーム機などの端末をネットワークに接続する基地局のことを言います。中でも無線の電波を送受信する役割があるのが無線LANアクセスポイントです。ルーターや中継機など似た名称もあるので、より詳しく解説します。

ルーターと無線LANアクセスポイントの違い

オフィスでインターネット環境を整備するには、まず専門業者が回線をオフィスに引き込み、ルーターを設置する必要があります。ルーターは、オフィス内の端末を外部のインターネットに接続するための機器です。家庭用の場合は、ルーターと無線LANアクセスポイントが一体となっている機器がほとんどですが、法人用の場合は、使用するスペースが広い、もしくは障害物があるといった場合に電波がうまく届かないことが発生するため、ルーターとは別に、複数台のアクセスポイントが必要となるケースが多いです。

さらに法人では、拠点間通信などを前提としたVPNルーターが導入されている場合があります。この場合、社外との通信に使うルーターはVPNルーター1台だけとし、その先社内で無線通信を行う機器として、無線LANアクセスポイントをオフィスの広さに応じて設置することになります。

無線LANアクセスポイントの選び方

無線LANアクセスポイントの選び方

働き方改革を進める上で必要な無線LAN環境の構築ですが、機器の選び方によって成否は分かれます。ここでは、無線LANアクセスポイントを選ぶ基準について解説します。

通信速度

無線LANアクセスポイントは機種によって「通信速度」が変わるため、的確に選ぶ必要があります。例えば、世界最速の超高速光インターネット回線を採用していても、無線LANアクセスポイントの性能が低いと、回線のポテンシャルを最大限発揮することができません。通信速度は「bps」で表示されますが、例えば、下り最大速度が2G(ギガ)bpsと表示されている場合、これは有線LANでつないだ場合の理論値になりますので注意が必要です。無線LANによる通信速度は、無線LANアクセスポイントの性能によって変わるため、表示されている理論値より遅くなることは理解しておきましょう。さらに、遮へい物などがあると速度に影響が出るため、オフィスのレイアウトによっても通信速度は変動します。

最大同時接続台数

法人が無線LANアクセスポイントを導入する際に重要なのは、デバイスの同時接続台数です。同時に通信を行うことで、通信速度が遅くなる場合があるため、最大同時接続台数を検討しましょう。その際、従業員の人数を考慮する必要がありますが、基本的に「台数」基準になっているので、従業員の2倍を目安にすると余裕が生まれます。

また通信速度のばらつきを抑えるためには、SSIDの数に注目するとよいでしょう。基本的にルーター1台に対し1~3のSSIDを設けることが多いですが、部署ごとでグループ分けしたり、ゲスト用に開放したりすることで混信を避けることも可能です。

通信範囲・設置場所

最大同時接続台数とともに注意したいのが、通信範囲と設置場所です。オフィスが広大な場合で、特に会議室や応接間など、フロアを壁で複数の部屋に分けている場合は、通信範囲や設置場所を考慮する必要があります。高性能の無線LANアクセスポイントでも設置場所やオフィスのレイアウトによって、能力を発揮できるかどうかが左右されますので、事前に確認をしておきましょう。

セキュリティ

無線LANアクセスポイントは、盗聴や情報漏えいの危険性をはらんでいます。セキュリティに不備があると、外部から不法な侵入を許すことになり、最悪の場合、機密情報にアクセスされかねません。無線LANアクセスポイントのセキュリティ機能には、WPA、SSIDのステルス化、MACアドレスフィルタリングなどがあります。外部からの不正アクセスを防ぐために、セキュリティ機能を重視しましょう。

アフターサービス

さまざまな数値を把握した上で無線LANを導入しても、どうしても電波が届かない場所がある、想定した速度が出ない、などの事態が発生することがあります。原因は、壁などの遮へい物や他の電波が邪魔をしていることなどさまざまで、なかなか判断しにくいことが多々あります。無線LAN機器メーカーでは、環境調査サービスや導入後のアフターサービスを提供しているので、信頼できるメーカーに依頼するようにしましょう。

まとめ〜適切な機器を選定し、快適なオフィス環境を〜

法人で無線LAN環境を導入するには、無線LANアクセスポイントが必要になります。しかし、無線LANアクセスポイントをただ設置しただけでは、快適なインターネット環境を構築できるとは限りません。

オフィスの広さや従業員の人数、遮へい物に始まり、機器の設置場所や通信速度、導入後のアフターサービスまで、考慮すべき点はいくつもあります。ぜひ慎重に選定し、快適なオフィス環境を実現しましょう。

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