コラム

  • お役立ち情報
2026.10.13

監視カメラと個人情報保護|撮影範囲・掲示・保存期間のルール

監視カメラと個人情報保護|撮影範囲・掲示・保存期間のルール

「防犯カメラを増設したいが、近隣の窓まで映り込んでしまう」「開示請求が来たらどう対応すればいいのか分からない」——法人が監視カメラを設置・増設する場面でよく突き当たる悩みです。カメラ自体の設置工事より、この手前にある確認作業のほうが実は手間がかかります。

監視カメラの映像は、映り込んだ人物の容貌から個人を識別できる場合、個人情報保護法上の個人情報に該当し得ます。個人情報保護委員会が公表している同法のガイドラインQ&Aでも、防犯カメラの録画データについてこの考え方が示されています。「録画しているだけ」でも、取得・保管・廃棄のそれぞれの段階で法律上の位置づけを意識する必要があります。

とはいえ、身構えるほど複雑な話ではありません。撮影範囲の設計、掲示の有無、保存期間の設定という3つの実務ポイントを押さえれば、法人としてのリスクは大きく下げられます。この記事で扱うのは次の内容です。

  • 監視カメラの映像が個人情報保護法上どう扱われるかの基本的な考え方
  • 撮影範囲・掲示・保存期間について、実務でどこまで対応すべきか
  • 開示請求や外部提供を求められたときの初動対応

監視カメラの映像は個人情報にあたるのか

答えは「映り方によります」。顔や体格、行動の特徴から特定の個人を識別できる映像は個人情報にあたり、逆に人物が判別できないほど遠く小さく映っているだけの映像は該当しない、というのが基本的な整理です。

法人の監視カメラなら、多くの場合は個人情報として扱う前提で運用したほうが安全です。理由は単純で、防犯目的のカメラは通常、人物を判別できる解像度・画角で設置するからです。判別できない映像では防犯の役に立ちません。

個人情報として扱う以上、次の3つの義務が発生します。

(1)利用目的をできる限り特定し、本人が知り得る状態にしておくこと

(2)取得した映像を目的の範囲内でのみ利用し、安全に管理すること

(3)本人からの開示・利用停止の請求に、法律の定めに沿って対応できる体制を整えること

監視カメラ映像が個人情報に該当するかを判定するフローチャート

「防犯目的」で撮影を始めたのに、後から従業員の勤怠管理や生産性評価に映像を流用すると、目的外利用として問題になり得ます。カメラ導入の企画段階で、利用目的を文書に残しておくことが後々の説明責任を軽くします。

撮影範囲の設計 ― 映り込みを「仕方ない」で済ませない

撮影範囲は、防犯上の必要性と、周囲への配慮のバランスで決めます。特に注意すべきは次の3パターンです。

映り込みのパターン リスク 対応の考え方
隣接する住宅の窓・玄関 プライバシー侵害の指摘を受けやすい 画角をマスキングする、レンズの向きを調整する
公道の通行人が広範囲に映る 撮影目的を超えた個人情報の取得になり得る 自社敷地・出入口周辺に画角を絞る
従業員の休憩スペース・更衣室 従業員のプライバシーとの緊張関係が強い 防犯目的での設置適否を個別に検討する

画角の調整は、設置後にクレームが来てから直すより、設置前にプレビュー(試し撮り)で確認するほうが、手戻りはずっと少なく済みます。工場や倉庫のように広い敷地を少ない台数でカバーする場合は、画角設計そのものが難易度の高い作業になります。台数と配置の考え方は、別記事「倉庫の監視カメラ|広い空間を少ない台数でカバーする設計」で扱っていますので、広範囲の設置を検討している場合はあわせて確認してください。

マンションなど集合住宅で管理組合が防犯カメラを導入する場合は、共用部と専有部の境界、居住者以外の来訪者の映り込みなど、法人の単独設置とは異なる論点が加わります。この点は「マンション・集合住宅の防犯カメラ|管理組合が確認すべき要件」で個別に整理しています。

監視カメラの画角設計を適切な例と不適切な例で対比した図

掲示の考え方 ― 義務ではないが、実務上はほぼ必須

防犯カメラの設置を知らせる掲示は、法律で一律に義務づけられているわけではありません。しかし、利用目的を本人が知り得る状態にするという個人情報保護法の要請を満たす手段として、掲示は最も現実的で分かりやすい方法です。多くの自治体が定める防犯カメラ関連のガイドラインでも、設置の掲示は推奨事項として位置づけられています。

掲示に最低限含めたい項目は次のとおりです。

  • 防犯カメラが作動中である旨
  • 設置目的(防犯、事故防止など)
  • 問い合わせ先(管理部門の連絡先)
入口に防犯カメラ作動中のステッカーが掲示されている様子

掲示を怠ったことだけで直ちに法令違反になるわけではありませんが、無断で撮影されていたという不信感はトラブルの火種になりやすいです。店舗であれば、掲示があること自体が万引き抑止の効果も兼ねます。防犯と接客改善を両立させるカメラ活用の考え方は「店舗の防犯カメラ|万引き対策と接客改善の両面で使う」で詳しく触れています。

保存期間とアクセス管理 ― 「とりあえず全部残す」の危うさ

保存期間を決めずに録画を蓄積し続けるのは、望ましい運用とは言えません。個人情報は利用目的の達成に必要な範囲でのみ保有すべきというのが法の基本的な考え方であり、防犯目的であれば、事案の発覚から対応までにかかる標準的な期間を踏まえて上書き保存期間を設定するのが実務的です。

一般的な目安として、店舗・オフィスでは2週間から1か月程度、事故・盗難の発覚が遅れやすい工場や倉庫では1か月から3か月程度で設定している例が見られます。ただし適切な期間は業種や過去のトラブル状況で変わるため、数字を機械的に当てはめず自社のリスクに応じて決めたほうが良いでしょう。

店舗・オフィスと工場・倉庫の録画保存期間の目安を比較する図

アクセス権限についても、録画データを閲覧・書き出しできる担当者を限定し、誰がいつ映像を確認したかのログを残しておきたいところです。映像データが漏えいした場合、本来の防犯目的を超えて拡散するリスクがあるため、保管サーバーやNVR(ネットワークビデオレコーダー)へのアクセスは、業務上必要な人物に絞るのが基本です。

開示請求・外部提供を求められたときの初動

映像に映っている本人から開示請求があった場合、個人情報保護法に基づき、原則として対応する義務があります。ただし、他の利用者のプライバシーが同時に映り込んでいる場合は、該当箇所にモザイク処理を施すなど両立させる工夫が必要です。

警察から捜査関係事項照会や令状に基づいて映像提供を求められるケースもあります。任意提出を求められた場合と強制的な要請の場合とでは、対応の可否が変わります。判断に迷ったら顧問弁護士や所轄部門に確認してから対応する、という体制を平時のうちに決めておくと安心です。

エレコムの監視カメラ・IoT関連製品・サービス

エレコムは、法人向けにVIVOTEK社製の監視カメラを取り扱っており、屋内外の設置環境やネットワーク構成に応じた提案を行っています。配線が難しい場所向けには、Wi-Fi HaLow規格を使ったIoT監視ソリューションも展開しており、撮影範囲の設計や録画データの保管方法についても、導入相談の中で確認できます。

項目 内容
製品カテゴリ 法人向け監視カメラ(VIVOTEK製)、Wi-Fi HaLow対応IoT監視機器
対応範囲 屋内外設置、録画データの保管構成の相談(詳細は製品ページ・お問い合わせ窓口でご確認ください)
主な用途 オフィス・店舗・工場・倉庫の防犯、法令順守を意識した映像管理体制の構築支援

よくある質問

Q1. 録画映像はどのくらいの期間保存すればよいですか。

法律で一律の期間が定められているわけではありません。事案の発覚から対応までにかかる期間を踏まえ、自社のリスクに応じて上書き保存の期間を決めるのが実務的です。店舗やオフィスでは2週間から1か月程度、盗難などの発覚が遅れやすい現場ではもう少し長めに設定する例が見られます。

Q2. 顔がはっきり映らない防犯カメラなら個人情報の規制対象外になりますか。

個人を識別できない解像度・距離であれば個人情報に該当しない可能性はあります。ただし、防犯目的のカメラは通常、人物を判別できる画質で設置するため、識別可能な映像として扱う前提で運用体制を整えておいたほうが安全です。

まとめ ― 「映すこと」より「管理すること」に手間をかける

監視カメラの導入で問われるのは、機材の性能より映像の管理体制です。

  • 監視カメラの映像は個人を識別できる場合、個人情報として扱う前提で運用します
  • 撮影範囲は防犯上の必要性と周囲への配慮のバランスで設計し、掲示で利用目的を明示します
  • 保存期間とアクセス権限を決めておき、開示請求や外部提供の依頼にも初動対応を決めておきます

新設・増設のどちらであっても、機種選定に入る前にこの3点を社内で確認しておけば、後からの手戻りは大きく減ります。法人向け監視カメラの基本的な選び方から見直したい場合は「法人向け監視カメラの選び方|画素数・画角・夜間性能の決め方」も参考にしてください。

お問い合わせ

ご検討の方は、ぜひお気軽に、下記WEBフォームで
お問い合わせください!

  • 本サービスについてのお問い合わせ以外は、回答致しかねますのでご了承ください。

新着記事