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テレワーク助成金とは? 制度を活用して、生産性の高い労働環境を実現しよう

執筆者BUSINESS SOLUTION WEB 編集部
2020.05.19

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策として、多くの企業が従業員の健康と安全を守りつつ経済活動を停滞させないために、テレワークを導入しています。

しかし、急ピッチでテレワークを導入した企業の中には、コミュニケーション不全や環境構築に頭を抱えている方も多いことでしょう。同時に、社内体制やハードの整備が課題となり、依然としてテレワーク導入に踏み切れない企業が多いのも現状です。

この記事では、テレワークの基本的な概念やメリット、導入のポイントをおさらいしつつ、導入にあたり利用が可能となる政府や東京都の助成金について解説します。

関連記事:テレワーク導入のポイントとは? 必要なセキュリティとシステムを解説

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そもそもテレワークとは? リモートワークとの違い

労働人口減少にともなう社会構造の変化から、生産性向上や多様なワークスタイル導入の促進が急務となり、政府が主導して働き方改革を推進しているのは、ご存じのとおりです。

テレワークは、働き方改革を推進する施策のひとつとして大きく取り上げられるようになりました。

テレワークとリモートワーク、モバイルワークの違い

テレワークは、「tele = 離れた場所で」、「work = 働く」を組み合わせた造語であり、一般社団法人日本テレワーク協会によると下記のように定義されています。

“情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のこと”
(引用:「テレワークとは|日本テレワーク協会」)

総務省の定義も上記とほぼ同様となっています。

テレワークと似た言葉に、リモートワークとモバイルワークがあります。リモートワークは、現在ではテレワークとほぼ同義で使用されています。一方でモバイルワークは、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末を利用して、外出先や移動中でも効率良く働くことを指すテレワークの一形態です。

テレワークは、モバイルワークに加え、在宅勤務、サテライトオフィス勤務の3つに分類されます。

テレワークのメリットと導入のポイント

テレワークを導入するメリットについても確認しておきましょう。テレワークは「時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」です。その働き方が実現すると、「生産性の向上」「ワーク・ライフ・バランスの確保」「企業イメージの向上」「BCP(事業継続計画)対策」などさまざまなメリットがあります。

労働生産性の向上

例えば、育児や介護で労働時間や場所が制限される人材は、テレワークを活用することでオフィスに出社する必要がなくなり、生産性の向上が期待できます。育児や介護がなくとも、通勤時間の削減や営業先からわざわざオフィスに戻らずに、モバイルワークで業務を進めるなど、移動時間の削減も可能です。

ワーク・ライフ・バランスの確保

生産性の向上は時間外労働の抑制が期待でき、在宅勤務の場合は育児や介護との両立がしやすくなり、従業員のワーク・ライフ・バランスが確保されます。また“場所”だけではなく“時間”にとらわれない働き方、つまりフレックスタイム制度も合わせて導入することで、その効果はさらに大きくなります。

例えば、子どもの送り迎え、セミナーやボランティアへの参加などが可能になるでしょう。同時に従業員のタイムマネジメントとタスク管理の意識も高まるため、自主性が生まれます。

企業イメージの向上~優秀な人材の確保と離職率の低下~

多様な働き方を可能にする制度は、採用においてこれまでアプローチできなかった人材の確保と離職率の低下につながります。これまで説明したとおり、テレワークによってワーク・ライフ・バランスの確保が実現すると、従業員満足度が向上します。そのため、働く意義も多様化する現在では、報酬やステータスだけではなく企業の理念に共感してくれる人材を確保しやすくなるのです。それがひいては離職率の低下にもつながるでしょう。

BCP(事業継続計画)対策と従業員の安全確保

さらに現在テレワークが注目を集めているのは、BCPでの利点です。交通網の麻痺や自然災害、パンデミックなどで出社が難しくなるケースでも、経済活動の停滞を低減できます。但し、BCPと生産性向上の目的は若干異なるため、制度設計の段階でしっかりとあらゆるケースを想定しておく必要があります。

テレワーク導入が急がれる背景と普及が進まない現状

メリットが多く、政府も推奨するテレワークですが、企業の導入は進んでいないのが現状です。2020年3月に東京商工会議所が行った「新型コロナウイルス感染症への対応について」のアンケート結果では、テレワークを実施している企業は全体の26.0%にとどまりました。

企業規模でも差が生まれています。300人以上の企業では実施率が57.1%だったのに対して、50 人以上300人未満の企業では28.2%、50人未満の企業では14.4%となっています。

テレワーク導入の課題は、社内体制とICT環境構築

物理的にテレワークができない業態も存在します。同資料での「テレワーク実施を検討するにあたっての課題」では、「テレワーク可能な業務がない」を除くと、最も回答が多かったのは「社内体制の整備」「ハードの整備」「セキュリティ確保」となっています。つまり必要性は理解していても、ソフト・ハードともに整備が進んでいないのが実情です。

このたびの新型コロナウイルスの感染拡大は、誰もが予想できなかったことです。周囲がテレワークを実施する中で着手が遅れることは、それだけで大きなデメリットになります。

現在、厚生労働省や東京都などの各自治体ではテレワークの助成金を用意しており、総務省では「テレワークマネージャー相談事業」を行うなど支援事業が多くあります。またIT企業各社もソリューション提供から機器の導入支援までを行っています。

まずは無料相談を実施している企業、団体に相談をして、業種・規模に適切なテレワークの制度とICT環境のアドバイスを受けてみることをお勧めします。その上で、テレワーク導入に必要なコストに対して、助成金の申請をしてみてはいかがでしょうか。

<参考:東京商工会議所|新型コロナウイルス感染症への対応について
<参考:株式会社NTTデータ経営研究所|総務省令和2年度 テレワークマネージャー相談事業

テレワーク助成金をうまく活用しよう

テレワークの実現には、各種システムの導入やセキュリティ対策が求められるため、初期費用がかかります。それに対し、現在、企業のテレワーク導入を支援するさまざまな助成金が用意されているので、それらを活用することでコストを抑えられます。代表的な助成金をいくつか紹介します。

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

厚生労働省が、中小企業に導入される時間外労働の上限規制に向け、長時間労働の見直しのために、働く時間の縮減に取り組む中小企業事業主を対象に助成金を支払う制度です。

支給対象となる事業主 ・労働者災害補償保険の適用事業主であること
・テレワークを新規で導入する事業主であること
※試行的に導入している事業主も対象となります
又は
テレワークを継続して活用する事業主であること
など
支給対象となる取組 ・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発
・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
※ WEB会議用機器など
シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は支給対象となりません
成果目標の設定 支給対象となる取組は、以下の「成果目標」を達成することを目指して実施してください
1.評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる
2.評価期間において、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した回数の週間平均を、1回以上とする
評価期間 事業実施期間(交付決定の日から令和3年2月15日まで)の中で、1~6か月の間で設定する「評価期間※」で判断
※評価期間は申請者が事業実施計画を作成する際に自ら設定します
支給額 ・成果目標未達成の場合:1人当たりの上限額20万円、1企業当たりの上限額200万円として対象経費の1/2
・成果目標達成の場合:1人当たりの上限額40万円、1企業当たりの上限額300万円として対象経費の3/4
※「1人当たりの上限額」 × 対象労働者数又は「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額

<参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」

新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース

厚生労働省では、新型コロナウイルスの拡大を背景に、新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組を行う事業主を支援する特例コース「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」を時限的に設けています。

対象事業主 ・新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規(※)で導入する中小企業事業主
※試行的に導入している事業主も対象となります
・労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であること
助成対象の取組 ・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発
・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング 等
※ WEB会議用機器など
シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象となりません
ただし、レンタルやリースについては、5月31日までに利用し、支払った経費については対象となります。
主な要件 事業実施期間中に
・助成対象の取組を行うこと
・テレワークを実施した労働者が1人以上いること
助成の対象となる事業の実施期間 令和2年2月17日~5月31日
支給額 1企業当たりの上限額100万円として費用の1/2

<参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金(東京都)

東京しごと財団が新型コロナウイルス感染拡大防止のため、都内の中堅・中小企業などに対し、テレワーク導入時に必要な機器やソフトウェアなどの経費を助成するもので、助成金上限額は250万円と、前出の厚生労働省の助成金より高額です。

助成対象事業者 1. 常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
2. 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
※その他にも要件があります。詳細については募集要項をご確認ください。
助成事業の実施期間 支給決定日以後、令和2年6月30日までに完了する取組が対象です。
助成対象経費 1. 機器等の購入費(例:パソコン、タブレット、VPNルーター)
2. 機器の設置・設定費 (例:VPNルーター等機器の設置・設定作業費)
3. 保守委託等の業務委託料(例:機器の保守費用)
4. 導入機器等の導入時運用サポート費 (例:導入機器等の操作説明マニュアル作成費)
5. 機器のリース料(例:パソコン等リース料金)
6. クラウドサービス等ツール利用料(例:コミュニケーションツール使用料)
※助成対象となる機器等には指定がありますので、募集要項をご確認ください。
助成金上限額 250万円
助成率 10/10

<参考:東京しごと財団雇用環境整備課「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、テレワークを始めとした多様な働き方の有用性が急速に浸透し、同時にビジネスのデジタルシフトも加速しています。

制度と機器の導入を急いだ企業からは現在、導入後、コミュニケーション不全やセキュリティ、勤怠管理の課題が頻出しています。スピーディな導入が求められますが、テレワークの目的を明確にして、社内へのメッセージや、導入後の設計を検討することで、その後の運用はスムーズになるでしょう。

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