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テレワーク導入のポイントとは? 必要なセキュリティとシステムを解説

執筆者BUSINESS SOLUTION WEB 編集部
2020.05.28

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大にともない、ビジネス環境は大きく変化しています。以前のようにオフィスに出社することは当たり前ではなくなり、テレワーク制度やフレックスタイム制度の導入が増加しているのは周知のとおりです。

ポスト・コロナウイルス、withコロナウイルスの状況下では、柔軟なワークスタイルを実現しなければ企業の経済活動は停滞してしまいます。

この記事では、テレワークの概念をおさらいしながら、導入のポイントや大きなハードルとなるセキュリティについて解説します。

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そもそもテレワークとは? リモートワークやモバイルワークとの違い

労働人口減少にともなう社会構造の変化から、多様なワークスタイルの導入促進による労働力の確保や、生産性向上を目指し、政府が主導して働き方改革を推進しています。そのため、これまで働く意思がありながらも、介護や育児などを理由に働けなかった方々が利用できる制度としてテレワークが注目されるようになりました。

テレワークは、「tele = 離れた場所で」、「work = 働く」を組み合わせた造語であり、一般社団法人日本テレワーク協会によると下記のように定義されています。

“情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のこと”
(引用:「テレワークとは|日本テレワーク協会」)

総務省の定義も上記とほぼ同様となっています。

テレワークと似た言葉に、リモートワークとモバイルワークがあります。リモートとは、「remote = 遠隔、離れて」という意味で、リモートワークはオフィス以外で働くことを指し、現在ではテレワークとほぼ同義で使用されています。

一方でモバイルワークは、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末を利用して、外出先や移動中でも効率良く働くことを指すテレワークの一形態です。テレワークは、働く場所によって、モバイルワーク、在宅勤務、サテライトオフィス勤務の3つに分類されます。

テレワーク導入のメリット

テレワークは、企業、従業員の双方にメリットがあります。

テレワーク導入のメリット
企業のメリット 従業員のメリット
従業員満足度の向上 ワーク・ライフ・バランスの確保
企業ブランドの向上 生産性の向上
離職率の低下 タイムマネジメント・タスク管理の向上
優秀な人材の確保 モチベーションの向上
BCP(事業継続計画)対策  
オフィスコスト、通勤費の削減  

企業のメリット

テレワークの導入によって多様な働き方を実現することで、従業員満足度の向上、離職率の低下、採用市場における優秀な人材確保に効果があります。また新型コロナウイルス(COVID-19)のような感染症や自然災害、交通網の混乱など出社できない状況でも経済活動を止めずに済みます。

さらに、オフィスに必要なスペースを縮小することが可能になり、結果的にオフィスコストなど固定費の削減につながります。同時に通勤交通費もテレワークの頻度に応じて削減できます。削減できた固定費を従業員の福利厚生などに回すことができれば、さらに従業員満足度の向上が期待できるでしょう。

従業員のメリット

状況に合わせて従業員がテレワークを選択できるようになると、通勤、会議のための帰社、出張などにかかる時間を大幅に削減できます。

ワーク・ライフ・バランスを確保することで生産性向上にも期待できますし、タイムマネジメントなどで自律した働き方も身に付けていけます。

テレワーク導入のステップ

このように多くのメリットがあるテレワークですが、実際に導入するとなると、ICT機器は必要不可欠ですし、就業規則や勤怠管理、連絡やコミュニケーションのルールなど、自社に合わせて設計しておかなければ機能しません。

ここではテレワークの実現までに必要な6つのステップを解説します。

ステップ1 導入の目的を明確にする

テレワークを導入するには、まず目的を明確にする必要があります。前述したように、テレワークには、BCP(事業継続計画)対策、生産性向上、ワーク・ライフ・バランスの確保、コスト削減などさまざまなメリットがありますが、企業や業態によって導入目的は異なります。

まずは「何のために導入するのか?」この点を明確にしましょう。

ステップ2 対象範囲を決める

明確化した目的に沿って、テレワークの対象範囲を決めます。「対象者」「対象業務」「実施頻度」という3つの視点で定めるといいでしょう。ベンチャー企業やスタートアップ企業などでは、全職員・全業務を対象にしているケースも多いですが、環境や制度が整っていなくては機能しません。まずは小さい範囲から導入し、徐々に拡大していくのがおすすめです。

ステップ3 現状の制度の見直しと課題の抽出

次に、現状の就業規則や人事評価制度、勤怠管理など社内ルールの変更を念頭に、主に下記の項目で現状の制度を確認し、実現のための課題を抽出することが必要です。

①就業規則
②テレワーク時の人事評価制度、勤怠管理と業務管理
③テレワーク希望者の申請・承認のフロー
④テレワーク実施時のセキュリティポリシー
⑤ICT環境

どの項目も非常に重要ですが、テレワーク実施者が不利にならないように細心の注意を払うことがポイントです。特に②が整備されていないと、せっかくテレワーク制度を導入しても希望者が利用を躊躇し、制度の浸透が遅くなりかねません。

ステップ4 導入計画とセキュリティポリシーの策定

課題の把握の後は、実現までの具体的なスケジュールを決めます。制度・ルールの変更、ICT環境の導入、セキュリティポリシーの策定、社内でのセミナーの実施など、導入予定日から逆算して計画を立てましょう。

特にセキュリティポリシーは重要です。従業員それぞれが異なる場所で働き、社外から社内ネットワークにアクセスするようになるため、従業員が扱う端末やサーバー、ネットワークなどに関するセキュリティ対策は当然のこと、紛失・盗難といったヒューマンエラーへの対策と、従業員の意識の向上も指導する必要があります。

ステップ5 実施環境の整備

導入計画に沿って、制度やルール、ICT機器などの整備を進めます。
初期コストを抑えたい場合は、従業員の個人端末を業務に利用するBYOD(Bring Your Own Device)も選択肢のひとつです。ただBYODを採用するケースでは、セキュリティと個人情報保護の問題が煩雑になるので、クリアにしておく必要があります。
また現在、総務省や自治体で、テレワーク導入に関する相談窓口や助成金が設けられています。積極的に活用しましょう。

ステップ6 テレワークの実施

いよいよ実施となりますが、常にPDCAを回して改善していく姿勢が重要です。テレワークを利用している従業員から定期的に意見を聞いたりアンケートをとったりするなどして、課題を把握できるようにしましょう。

テレワークで課題となるコミュニケーションとセキュリティ

次にテレワーク導入後に、課題として浮き彫りになりやすいコミュニケーションとセキュリティについて、対策のポイントを解説します。

コミュニケーションの課題について

テレワークでは、意識的にコミュニケーションをとるような制度・ルールづくりが重要です。オフィスに出勤している従業員とテレワーク実施者との間で、情報格差が生じてはいけません。また、テレワーカーは1人での作業が多くなるため、業務と直接関係のない適度なコミュニケーションが必要になります。

オフィスで行われる朝礼や会議にテレワーカーが参加するためには、WEB会議ツールや、手軽に連絡ができるビジネスチャットの用意が必須です。カメラやマイクが内蔵されていないパソコンの場合は、WEBカメラとマイクが別途必要になります。

悩みなどの相談ごとも把握しにくい環境となるため、上長や同僚は定期的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

セキュリティの課題について

テレワークのためのICT環境構築にはさまざまな選択肢があります。リモートアクセス、シンクライアント、仮想デスクトップ、SaaSなどが一般的ですが、情報システム担当者は自社の環境とテレワーカーの環境の双方を考慮して、最適かつセキュリティ性の高いシステムを選ばなくてはいけません。

旧来型のシステムのままですと、遠隔での業務に支障をきたし、生産性が下がる恐れがあります。オンプレミス型からクラウド型への移行や、WEB会議システムの導入など、テレワーク導入は、社内システムを変化させるいい機会となるかもしれません。従業員の柔軟な働き方への変化に伴い、企業のセキュリティポリシーも見直す必要があるといえます。

テレワークは今後、当たり前の働き方になる

新型コロナウイルス(COVID-19)以降、急速にテレワークが普及しています。テレワークが物理的に不可能な業態もありますが、多くの企業がテレワークや時差出勤の制度を平時でも運用するようになるでしょう。

またもともとテレワーク制度があった企業でも、新型コロナウイルスの感染拡大により、対象範囲や期間を拡大して実施したケースも多かったのではないでしょうか。

テレワークのメリットと課題、双方の発見があったと思いますが、そこから派生して、オフィスそのものの機能や役割について再検討が必要だと感じている方もいらっしゃるはずです。働く場所、時間についてこれまで一様だった日本社会に変化が求められています。自社の方針に沿った多様な働き方の模索は急務といえるでしょう。

小さく始める・働き方改革のすすめ