
加湿器の効果を十分発揮する使い方と、カビを防ぐお手入れ方法

空気の乾燥を防いでくれる加湿器は、風邪やインフルエンザの予防、肌の乾燥の防止にとても役立ちます。ただし、使い方を間違ったり、手入れが不十分だったりすると、カビなどの問題を引き起こす場合があります。ここでは、加湿器の効果と正しい使い方と、お手入れ方法について紹介します。
部屋が乾燥するとさまざまな悪影響が発生する

そもそも部屋が乾燥していると、なぜ良くないのでしょうか。部屋が乾燥しすぎていると、次のような悪影響が発生します。
風邪やインフルエンザにかかりやすい
部屋の空気が乾燥していると、花粉やウイルスが空気中に飛散しやすくなります。また、口や鼻の粘膜が乾きやすくなり、体の防御機能が落ちてしまうため、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
髪や肌にトラブルが起こりやすい
健康な髪や肌は、一定以上の水分を含んでいます。空気が乾燥していると水分量が減り、髪がパサついたり、乾燥肌になって肌荒れやかゆみが出やすくなったりします。

静電気が起こりやすい
空気が乾燥していると物の表面が乾き、電気が流れにくくなります。帯電が起こりやすくなった結果、不快な静電気が発生しやすくなります。
野菜や果物が悪くなりやすい
乾燥の悪影響が及ぶのは人間だけではありません。空気が乾燥していると、野菜や果物に含まれる水分が失われやすくなり、鮮度や品質が落ちやすくなります。

工芸品や美術品が劣化しやすい
空気が乾燥していると、絵画や工芸品のひび割れ、ひずみなどにつながりやすくなります。
上記のようなトラブルが起こりにくく、人間が快適に感じる湿度は40~60%といわれています。
加湿器は、直接肌に潤いを与えてくれるわけではありませんが、うまく使って湿度をコントロールすることは、風邪やインフルエンザ、肌トラブルなどの予防に役立ちます。
加湿器の正しい使い方

加湿器を使って部屋の湿度を快適に保つには、「とりあえずつけておく」のではなく、置く場所や置き方、使う時間を考える必要があります。加湿器を正しく使うためのルールは、次の3つです。
適切な位置に置く
狭い範囲だけを加湿するコンパクトタイプの加湿器は別ですが、部屋全体を加湿したい場合は、次の条件を満たす場所に置くようにしましょう。

部屋の真ん中に置く
加湿器から放出される水蒸気を部屋全体に拡散するには、部屋の真ん中に置くのが理想です。
ただ、スペースやインテリアコーディネートの関係上難しい場合は、出入り口や窓、家具、パソコンなどの近くは、避けて設置するようにしましょう。
家具から10cm以上離す
加湿器は、家具から少なくとも10cmは離して置くようにしましょう。家具と密着した状態で水蒸気を放出し続けていると結露の原因にもなりますし、家具を傷めてしまう場合もあります。
窓の近くは避ける
空気は、温度によって飽和水蒸気量(空気に溶けられる水蒸気の量)が決まっています。飽和水蒸気量は、温度が高いほど多く、温度が低いほど少ないのが特徴。冬場の窓辺などで見られる結露は、気温が下がって飽和水蒸気量が少なくなった結果、溶けきれなかった水蒸気が追い出されて水滴として固まったものです。
加湿器を窓の近くに置いた場合、せっかく加湿(空気中の水蒸気を放出する)してもすぐに窓辺で冷やされてしまい、窓に結露ができるだけという結果になりがちです。
水蒸気吹き出し口が、床から30cm以上の高さになるようにする
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ行く性質があるので、加湿器の水蒸気吹き出し口を、床近くに設置してしまうと、冷たい空気の中に水蒸気を吹き出すことになります。これだと床に結露ができるばかりで、水蒸気が空気中に拡散されません。
換気扇の真下や部屋の出入り口付近は避ける
換気扇の真下や部屋の出入り口付近に加湿器を置くのは、せっかく放出した水蒸気が外に出ていってしまうのでおすすめしません。ただし、換気扇ではなくエアコンの吸入口の近くに置くのは、加湿器から放出された水蒸気をエアコンが吸い込み、部屋全体に拡散してくれるので効果的です。
夜眠るときは加湿器を消す

加湿器は、寝るときもつけっぱなしにして喉や肌の乾燥を防ぐのが良さそうですが、就寝時は消しておくのが基本です。
暖房を消して眠る場合、部屋の温度が徐々に下がっていくのに合わせて部屋の空気の飽和水蒸気量も少なくなっていくので、加湿器をつけて水蒸気を出し続けていると、湿度が高くなりすぎたり、結露ができたりしてしまいます。
湿度が高すぎると不快に感じるのはもちろん、アレルギー症状の原因のひとつでもある、カビやダニが発生しやすくなってしまうのです。
また、就寝時かそうでないかにかかわらず、加湿器から出る水蒸気を直接浴びることも良くありません。
水蒸気を浴びると肌が潤うような気がしますが、実際には水蒸気が直接肌に吸収されることはなく、むしろ肌についた水蒸気が蒸発する際に肌の水分を持っていくため、かえって乾燥してしまいます。
タンクの水は毎日替える
タンクの水を替えずに使い続けていると、タンク内で細菌やカビが繁殖し、細菌やカビが含まれた水蒸気を部屋に拡散することになってしまいます。
タンクの水は毎日使いきるか、毎日替えるようにしましょう。
加湿器を清潔に保つお手入れ方法

加湿器は、正しく使えば風邪やインフルエンザの予防に役立ちますが、手入れが不十分で水のタンク内にカビが発生してしまった場合、カビが含まれた水蒸気を拡散してしまいます。
カビや細菌が混入した水蒸気を長期間にわたって吸い込んでいると、次のような症状が出ることがあります。
・喉の痛み
・咳
・発熱
・悪寒
・長期にわたる倦怠感
・慢性的な喘息、気管支炎、扁桃炎
・過敏性肺臓炎(アレルギー性の肺の病気)
加湿器内にカビを発生させないためには、まずタンクの水をこまめに替えることが一番です。
タンクの水は、毎回使いきるか毎日取り替えるようにし、使わないときは必ずタンクの水を抜いて乾燥させるようにして、カビの発生を防ぎましょう。
フィルターも使いっぱなしにせず、薄い洗剤液を少しつけた布や綿棒を使ってこまめに掃除することをおすすめします。
また、最初からカビが発生しにくい機種を選ぶこともおすすめです。例えば、内部にヒーターが内蔵されており、加熱することでお湯を沸かし水蒸気を発生させるスチーム式の加湿器は、加熱する分、カビや細菌が繁殖しにくいといえます。
加熱せず、水に超音波の振動をあてることで微細な粒子に分解し、その粒子を霧のように噴出することで加湿する「超音波」タイプの加湿器でも、抗菌加工が施されている機種が販売されています。「抗菌加工が施されている機種だから、タンクの水は替えなくていい」ということではありませんが、カビが発生しにくい機種を選べば、安心して使用できます。

加湿器は、最大の効果を上げられる置き方・使い方を!
部屋の湿度を快適に保つには、ただ加湿器をつけておくだけでなく、置き場所や使い方、お手入れ方法にも気を配ることが大切です。
せっかく加湿器を使っても、結露やカビの被害が出たのでは本末転倒です。置き場所や使い方の基本ルールを守ることが、最大の効果を上げることにつながりますので、ぜひ実践してみてください。