Vol.01 USBポートを利用した給電規格USB Power Deliveryとは?
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USB Power Deliveryの基礎知識

USBポートを利用した給電規格USB Power Deliveryとは?

USBポートを利用した給電規格USB Power Deliveryとは?

最近は、スマートフォンやタブレットなどの充電に、USBポートを利用することがほとんどです。そんな中、「USB Power Delivery(USBパワーデリバリー)」という、新しいUSB給電規格が登場しました。
USB Power Deliveryとは、どのようなしくみなのでしょうか。また、USB Power Deliveryを使用するメリットについて解説していきます。

USB Power Deliveryで強力な電力供給が可能に

USB Power Deliveryで強力な電力供給が可能に

これまでも、スマートフォンやタブレットなどの小型デジタル機器を充電する際、USBポートから電源を供給することはできました。しかし、「USB BC(Battery Charging)」という規格では、供給できる電力(ワット数)は、最大7.5Wしかありませんでした。
USB Power Deliveryでは、100Wまでの電力供給が可能となり、タブレットやスマートフォンなどのデジタル機器を、速い時間で充電できる環境が整ったのです。

USB規格の役割と種類

USB規格の役割と種類

USB Power Deliveryについて詳しく解説する前に、まずはUSBについて簡単にふれておきましょう。
USBは、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)の略で、パソコンにプリンターやマウスなどの周辺機器を接続するための規格です。以前はパソコンに接続する機器ごとにポートやコネクターの形状が異なっていましたが、USB規格に統一することで、1つのポートにさまざまな機器を接続できるようになりました。また、パソコンの電源が入っていてもケーブルの抜き差しができたり、接続する機器の電力をパソコンから得られたりすることも、USB規格がもたらした大きな利点です。

USBには複数の規格があり、形状も異なります。パソコンにキーボードやマウスなどを接続する標準的な規格の「USB Type-A」、プリンターなどの大型の周辺機器で使われることが多い規格の「USB Type-B」、そしてAndroidのスマホートフォンなどに使われる「Micro-USB」などが存在しています。
そんな中、2014年に登場したのが、「USB Type-C」という新しい規格です。USB Type-Cは、大量のデータを高速で転送することが可能な上、コネクター部分が表裏対称になっているので、上下を気にせず差し込めることも特徴です。

USB Power Deliveryのメリット

USB Power Deliveryのメリット

今回紹介しているUSB Power Deliveryは、前述したUSB Type-Cに対応した給電規格で、供給電力がこれまでの規格よりも大幅に増加しています。
ここでは、USB Power Deliveryのメリットについて説明していきましょう。

1 最大100Wの電力供給で対象機器の増加や充電時間の短縮が可能

USB Power Deliveryという規格の誕生により、最大100Wという、非常に大きい電力を供給することが可能になりました。どれくらい大きいかというと、例えばこれまでの標準的なモバイルバッテリーや充電器の電力が5W程度であることを考えると、約20倍の電力が供給できるのです。これにより、ノートパソコンや液晶ディスプレイなど、大きな電力を必要とする機器への電力供給が可能となりました。
また、電力供給だけでなく、USB Type-Cには「CC」という信号ラインがあり、USB Power Delivery対応充電器に機器が接続されると双方でPower Delivery に関する情報をやりとりし、充電器側で最適な急速充電の電力が選択されることで、時間を短縮できるようになりました。

2 ACアダプタが共通化

ノートパソコンやスマートフォン、液晶ディスプレイなどの機器は、それぞれ電圧や端子の形状が異なるので、使用するACアダプタも異なります。しかし、USB Power Deliveryでは、5V、9V、15V、20Vの4つの電圧に対応した電力がUSB Type-C端子から供給できるので、同じACアダプタで異なる機器への充電が可能です。これにより、ACアダプタの数を減らすことができます。
ただし、給電できるワット数は、ACアダプタだけでなく、使用するケーブルなどによって異なるので、充電に必要な電力が供給できるかを、事前にきちんと確認するようにしましょう。

3 1本のケーブルですべての機器に対応し上下の区別もない

USB Type-Bコネクターには、「Mini B」「Micro B」など多くの種類が混在し、機器に合わせて異なるケーブルが必要となりました。しかし、USB Type-Cは、1つの形状に統一されていますので、1本のケーブルですべての機器に接続が可能です。
これにより、外出時などに複数のケーブルを持ち歩く必要がないことは大きなメリットです。また、USB Type-Cのコネクターには上下の区別もないので、差し込み方を間違える心配もありません。

1本のケーブルですべての機器に対応し上下の区別もない

4 ホスト側とデバイス側の区別なく使用可能なのでケーブルを共通化できる

以前は、ホスト側がUSB Type-A、デバイス側はUSB Type-Bというように、異なったコネクターで接続することが一般的でした。これは、デバイスのサイズから異なるコネクターを採用するしかないという場合もありますが、本来の意図は、一方通行となっている電力供給の方向を間違えて行わないようにするためです。そのため、接続する周辺機器ごとにケーブルを用意しなくてはいけないという欠点がありました。
USB Power Deliveryに対応したUSB Type-Cのケーブルは、双方向に電力供給ができますので、ホスト側とデバイス側に、同じUSB Type-C端子を使用できます。これにより、USB Type-Cを使う接続機器は、同じケーブルを使用できるのです。

ホスト側とデバイス側の区別なく使用可能なのでケーブルを共通化できる

USB Power Deliveryで快適な環境を構築しよう

USB Power Deliveryで快適な環境を構築しよう

USB Power Deliveryには、大容量の電力供給など、さまざまなメリットがあります。
所有しているパソコンやスマートフォンなどのデバイスがUSB Type-CのUSB Power Delivery規格に対応しているかを確認し、急速充電やACアダプタの共有など、快適な環境構築に役立ててください。