- 概要
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PCやコンピューターには、さまざまな機器や技術が存在します。
そのなかに「ラズベリーパイ(ラズパイ)」と呼ばれるものがあります。 ラズパイはプログラミング学習や電子工作、IoTなどで用いられる、小型のコンピューターです。
本記事では、産業用ラズパイとはどのようなものなのかについて、特徴や用途例とあわせて解説します。
産業用ラズパイとは何か?
産業用ラズパイは、教育用やホビー用として普及したラズパイを、工場やインフラなどの産業用途に対応させた高性能モデルです。
堅牢性、長期供給、拡張性といった産業現場で求められる要件に対応しています。
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一般用ラズベリーパイと産業用との違い
一般的なラズパイは教育や試作、個人用途向けに開発されており、安価で扱いやすい点が特徴です。 しかし、産業用途では長期供給や高い耐環境性が必要とされます。 産業用ラズパイでは部品表の固定による長期供給が可能であり、耐振動性や広範な動作温度範囲に対応しています。
また、Compute Module 4(CM4)の採用により、産業用CPUボードとしての活用も進行中です。
産業用に適した主な特徴
産業用ラズパイは、拡張I/Oポートやカスタム基板との高い接続性を有しており、機器の制御や監視に柔軟に対応できます。
さらに、BOM固定により製品寿命中の仕様変動が少なく、長期供給と一貫した保守体制を実現。
LinuxやリアルタイムOS(RTOS)、CODESYSとの連携により、エッジコンピューティング用途にも活用されており、柔軟なアプリケーション開発が可能です。
産業用ラズパイの用途と導入メリット
産業用ラズパイは、工場の現場やスマートファクトリーにおいてさまざまな役割を担います。
こちらでは、産業用ラズパイの用途と導入メリットをご紹介します。
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具体的な活用例
工場内では、産業用ラズパイを用いた設備監視やセンサー情報の収集が一般的です。振動センサーや温湿度センサーなどと組み合わせることで、リアルタイムなデータ取得と分析が可能になります。
また、AGV(無人搬送車)や小型ロボットの制御ユニットとしても活用されています。カメラモジュールと組み合わせれば、画像認識処理やAIによる異常検知など、エッジAI用途にも対応します。
さらに、簡易PLCやHMI(ヒューマンマシンインタフェース)としても導入実績があります。
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導入のメリットと注意点
産業用ラズパイは、一般的な産業用PCと比べて初期導入コストが低く、小規模な試験導入にも適しています。 また、オープンソースのソフトウェアと親和性が高いため、自由度の高いシステム構築が可能です。
加えて、モジュール単位での拡張が可能なため、段階的なスケーラビリティにも優れています。
一方、OSのアップデート管理やセキュリティ対策は使用者側に委ねられるため、運用体制の整備が重要です。
選定時のポイントとおすすめモデル
産業用ラズパイを選定する際には、Compute Module 4ベースのモデルで、必要なI/O数や対応電源、ケースの耐久性などを確認することが重要です。
たとえば、Portwellの「KUBER-1000」や、Pi4Industryの各種筐体付きモデルは、産業用途での導入実績が豊富です。
現場の要件に応じて最適な構成を選ぶことが、安定した運用につながります。
おわりに
本記事では、産業用ラズベリーパイとはどのようなものなのかについて解説しました。 産業用ラズパイは、教育用やホビー用として普及したラズパイを、工場やインフラなどの産業用途に対応させたものです。
拡張I/Oポートやカスタム基板との高い接続性を有しており、機器の制御や監視に柔軟に対応できる特徴を持ちます。
一般的な産業用PCと比べて初期導入コストが低い、オープンソースのソフトウェアと親和性が高いモジュール単位での拡張が可能といったメリットがあります。 産業用PCやラズパイを導入する際は、現状を確認し、必要な機能やシステムを洗い出すところから始めましょう。

