印刷会社の製造ラインを見守る
ネットワークカメラが、
品質管理やトラブルの原因究明に活躍!


- 導入レポート
大日本パックェージ株式会社 様 - 埼玉県の南東部に位置する越谷市。江戸時代には日光街道の「越ヶ谷宿」として栄え、近年は首都近郊のベッドタウンとして発展している。
この地に本社工場を構える大日本パックェージ様は、前回の東京オリンピックが開催された1964年創業の印刷会社である。
創業当時からグラビア印刷に特化し、幅広い製品の包装材用フィルムを生産されている。
この度、同社では本社工場の製造ライン用にエレコムのネットワークカメラを16台導入された。その経緯や目的、効果などについてお話を伺った。
オペレーターの職人技が不可欠なグラビア印刷
大日本パックェージ様が手掛けるグラビア印刷とは、色彩豊かな表現力を持つ印刷手法で、食品や医薬品をはじめ、幅広い製品のプラスチック包装や紙包装などに使用されている。その作業工程には、高度な職人技が必要とされるという。例えば、顧客からの高い要望に応えるために、インクを調合して色合いを調整するなど、長年の経験とノウハウが欠かせない。同社の創業の精神が一貫して「良い製品作りはよい人づくり」であることも、グラビア印刷のオペレーションに高いレベルの技術が不可欠であることを物語っている。
印刷品質の向上を目指し16台のネットワークカメラを導入
かつて、同社の製造ラインには2台のモノクロカメラが設置されていた。ただ、ラインの様子はわかるものの、具体的な作業内容が記録できるほどのものではなかったという。
「2台のカメラはかなり古く、解像度も低いものでした。また、LAN回線ではなく同軸ケーブルでつながれていました。それらが故障したので置き換えることになったのですが、当時の常務が『せっかくなら、しっかりとラインの映像が残せるようにしよう』と提案され、今回の導入に至りました」と本社工場長の三杉氏は振り返る。
工場には4つの製造ラインがあり、各ラインに4台ずつ、合計16台のネットワークカメラが設置されることになった。
システムを構築したのは、販売店である日興通信株式会社だ。
「当初は同軸ケーブルによるネットワーク連携に強い、DXアンテナ(エレコムグループ)さんの製品を想定していました。ただ、より本格的にラインの様子を収録したいという方針を受けて検討しなおし、LANケーブルによるネットワークカメラシステムをご提案しました。エレコムさんには、検討段階で実機をお持ちいただき、画質の良さ、レコーダーのUI(ユーザーインターフェース)のわかりやすさ、そしてコスト面で優れていたため導入に至りました」

ネットワークレコーダーの操作画面。カレンダーで日付を選び、時間帯を選択するだけで見たい映像を確認。直感的に操作できるユーザビリティも機器選択の決め手になった。

クレームに対する調査・回答をすばやく行うためのソリューションとして
そもそも、製造ラインにカメラを設置する必要に駆られたのには、理由があるという。
「当社では、印刷したフィルムを納品した後、半年や1年といった長期間が経ったあとお客さまからクレームが発生することがありました。パッケージに使うフィルムですから、個包装の段階になってから不具合がわかる場合も多いのです。そうなると、どうしてこのようなトラブルになったのかという原因の究明が、オペレーターの記憶に頼るしかなくなります。しかし、長い時間が経った後では、究明に時間がかかりました」と三杉工場長は語る。
パッケージになった後に商品回収ということになれば、被害金額も大きく、同社の長年の課題になっていたという。
「そこで、カメラで現場の作業を収録しておけば、トラブルの原因究明もしやすくなるのではと考えたわけです(三杉工場長)」
トラブルの原因究明に映像による記録が大きな貢献
取材時点で導入から約2ヶ月というタイミングだったが、実際に導入の成果はあったのだろうか。
「実は、さっそく役立っています。納品したフィルムの一部に、黄色いインクが飛び散っているというクレームがあったのです。そこで録画した映像を見直したところ、オペレーターがインクの桶を洗っているシーンが見つかりました。おかげで、すぐに原因を報告することができました。本人はそのことに全く気が付いていないので、映像なしでは原因の究明は簡単ではなかったと思います(三杉工場長)」
また、品質管理部の中村係長によれば、日ごろのトラブル対応にも役立っているという。
「設備に何か問題が発生した時はその報告書が届くのですが、書面では詳細がこちらに伝わらないことがよくありました。しかし、その時間にさかのぼって映像をチェックすることで、解決までの時間をかなり短縮することができています」
品質管理室に設置されているネットワークレコーダー。
お客さまが色校正のチェックを行う会議室では、大型ディスプレイで製造ラインの様子をリアルタイムで見ることができる。
従業員の監視ではなく、あくまで品質向上が目的
印刷ラインの様子を24時間収録している現在のシステムだが、導入にあたって現場オペレーターからの反発はなかったのだろうか。
「実は、最初は反発がありました。自分たちの作業を監視されるのではないかという不安があったようです。しかし、品質向上のためだというこちらの意図をしっかり伝え、理解してもらうことができました。カメラが小さく目立たないため、現在では気にせず作業を進められています(三杉工場長)」
同社では、クライアントから色校正のチェックを受ける「立会」と呼ばれる工程がある。この作業を行う会議室でも、大型モニターでラインの様子をリアルタイムで確認することができる。
「こうやって、作業記録を収録していることをお見せすることで、お客さまの安心にもつながっている(菊地係長)」とのことだった。

グループ会社の工場への導入も検討中
大日本パックェージ様の品質管理に大きな成果をもたらしている、エレコムのネットワークカメラシステム。今後はグループ会社の工場への導入も検討されているという。まだまだ職人技が必要とされる同社へのさらなる貢献が期待される。
取材にご対応いただいた皆さま
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大日本パックェージ(株)
総務部 菊地係長
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大日本パックェージ(株)
三杉本社工場長
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大日本パックェージ(株)
品質管理部 中村係長
- 日興通信株式会社

大日本パックェージ株式会社
1964年の創業以来、主にフィルム包装や紙包装のグラビア印刷を手掛ける。「良い製品作りは良い人づくり」を創業の精神とし、優れたオペレーターを育てることに注力。お客様からはその高い品質に定評がある。

ホームページ http://www.daipake.co.jp/
日興通信株式会社
1947年の創業以来、ネットワークインフラの構築や業務ソフトウェアの開発、導入後の保守・運用サービスをワンストップで提供。近年は、リモートワークを強化する仕組みや、強固な安全性を備えつつ運用管理の手間を軽減するITインフラや教育ICT導入支援などに注力している。
