止められない
病院基幹システムを支える、
院内ネットワークを全面刷新!
- 導入レポート
社会福祉法人恩賜財団
済生会支部
三重県済生会明和病院 様 -
「お伊勢参り」で知られる伊勢市にほど近い、三重県多気郡明和町。
のどかな田園風景の中、木々に囲まれた広大な敷地にあるのが明和病院様である。県内最大級の回復期リハビリテーションに特化した病院で、敷地内には特別養護老人ホーム「明和苑」と、重症心身障害児(者)施設「なでしこ」を併設し、地域の医療と介護・福祉を一体で支えている。
この度、同院では10年以上稼働してきた院内ネットワークを刷新。エレコムおよびグループ会社であるgroxi(グロクシー)が設計・施工を担った。
その経緯や、運用方法についてお話をうかがった。
回復期リハビリに特化し、併設施設も抱える医療拠点
広大な敷地に、特別養護老人ホーム「明和苑」と重症心身障害児(者)施設「なでしこ」を併設。
明和病院様は、急性期病院で病状が落ち着いた患者を受け入れ、リハビリを通じて在宅復帰や施設入所へつなげる回復期リハビリテーションに特化した病院である。病床は「なでしこ」を含め許可病床数で264床規模。医療と介護・福祉が複合する環境では職員間連携の密度が高く、院内ネットワークは医療活動の土台となっている。
更新のきっかけは老朽化と「将来の無線活用」
つながりにくかった「なでしこ」の窓口にも無線アクセスポイントが設置された。
「ネットワーク更新のきっかけは、ネットワーク機器の老朽化にあった」と語るのは、今回の刷新を担当された資材整備課 兼 システム管理室の西中氏だ。
「以前のネットワーク機器は、使い始めてから10年以上経っていました。電子カルテに加え、クラウドで利用するシステムなど、インターネット経由の基幹システムもあります。基幹システムのトラブルは病院経営として一番リスクが伴う部分なので、ここを見直したいと考えました」と振り返る。
加えて、病院に併設する「なでしこ」では、職員同士の連絡手段をPHSによる運用からインカムへ移行し、連絡効率を上げることも視野に入れておられた。しかし、窓口付近など一部でつながりにくい場所があり、あわせて更新することでWi-Fiが届く範囲を広げ、将来のインカム運用につながる土台を整備する必要があったという。
入札要件は「基準適合」と「迅速な復旧体制」
医療現場のネットワークに求められるのは、何よりも止まらないことだ。入札では、病院側が指定する基準を満たす機器であることに加え、サポート体制が重視された。障害が起きた際、復旧が遅れれば重大障害につながりかねない。西中氏は「トラブルがあっても、30分から1時間で復旧しないと重大なシステム障害になる」と説明する。
そのため、近隣拠点から対応できる体制も条件となり、エレコムが名古屋支店を構えている点も評価材料になった。さらに年度内完工も必須条件であり、計画性と施工力が問われる案件であった。
業務系とHIS(病院情報システム)系を分離し、ゲスト向けWi-Fiも新設
病室はもちろん、ロビーを含む全館で無料Wi-Fiサービスが利用できる。
今回の設計の核は、ネットワークを用途ごとに分けた点である。HIS系、つまり電子カルテ系のネットワークは「外に繋がらない院内のみのローカルネットワーク」で、外部からアクセスできない帯域として運用する。重要な個人情報を守るための仕組みだ。一方、業務系はインターネット接続が必要な業務に対応するネットワークとして構築した。
さらに、患者向けの無料Wi-Fiサービスも導入した。これまで院内規定で接続を認めていなかったが、今回は「誰でもパスワードを入力すればインターネットを使える」仕組みを整えた。狙いは患者向けサービスの向上であり、新規患者の誘致や既存患者への満足度向上につなげたい考えである。実際、患者から病院に寄せられた投書には歓迎する声も多く、スタッフからも「業務に役立っている」との評価を得ているという。
機器は他社製を採用。価値は"最適設計"にある
今回のネットワークでは、無線アクセスポイントなどに他社製機器を組み合わせた。医療業務での安定運用を優先し、規模や要件に合わせて最適な機器を選定したためだ。エレコムとgroxiは、自社製品ありきではなく、設計・施工・運用までを見据えた総合提案として価値を提供した。
また、併設の「明和苑」では数年前に無線アクセスポイントを前倒して更新したため、今回はそれらを流用。投資を最適化しつつ、病院と「なでしこ」は全面的にリニューアルした。
つながりにくい場所を極力無くし、安定した通信環境を実現
サーバー室に設置されたネットワーク機器。
導入後の体感について、西中氏は「以前が悪かったわけではないが、安定している印象だ」と語る。つながりにくかった地点が改善されたことも大きい。事前の電波調査では、全病室を含むあらゆる箇所を歩いて測定し、電波の強弱がヒートマップ状で表現された資料で事前に課題を洗い出した。運用面でも、管理コントローラーで多数のアクセスポイントを監視し、必要に応じて個別に再起動できる体制となっている。
一方、実際の工事日には抜線が必要で、ネットワークが止まる時間帯が発生する。そこで事前周知と部署連携により「止めても困らない段取り」を組み、急ぎの記録は紙で対応するなど、BCPに近い運用で乗り切った。
新たなネットワーク環境をベースにさらなるDXを加速
ネットワーク刷新はゴールではなく、次の取り組みへの土台である。直近では「なでしこ」のインカム導入を予定し、職員連携の効率化を図る。加えて、NDR導入も控えており、ネットワーク上の不正アクセスを早期に検知し制限する体制を整える。さらに将来的には、ペーパーレス会議システムの導入で紙コストと保管スペースの削減を目指している。
医療の"止められない"を支えるインフラとして、今回のネットワーク更新は、明和病院様の持続的な運用と次のDXを押し進める基盤となっている。
取材にご対応いただいた方

- 社会福祉法人恩賜財団 済生会支部
三重県済生会 明和病院
事務部 資材整備課 兼 システム管理室
西中 佑相 氏
社会福祉法人恩賜財団 済生会支部
三重県済生会明和病院
平成10年(1998年)開設。回復期リハビリテーションに特化し、急性期治療を終えた患者を受け入れ、集中的なリハビリを通じて在宅復帰や施設復帰へつなぐ役割を担う。敷地内には特別養護老人ホームと重症心身障害児(者)施設も併設。医療と介護・福祉を一体で支える拠点となっている。
ホームページ : https://www.meiwa-saiseikai.jp/




