Better being Stories

  • Column
  • 開発秘話
2025.05.15

製品デザインにかける想い

この記事をSNSで共有しませんか?

エレコムは、1986年の創業以来、差別化戦略のひとつとしてデザイン力の向上を図っています。また、デザイン力の向上のみならず、ユーザーや使用場面を想定し、より使いやすい製品となるよう心掛けています。

今回はパーパス「Better being」を製品に昇華させた取り組みや、第三者から評価された製品の事例をご紹介いたします。

▲エレコムの主力製品

「あるべき姿」を捉え、具現化するデザイナー集団

エレコムには、製品デザインを担当する部署として「デザイン課」があります。デザイン課に所属するデザイナーは、企画担当者から製品戦略や企画概要や製品仕様情報が共有され、製品デザインを提案します。プロダクト(製品)やパッケージをデザインする前に、製品戦略や企画の狙いを理解した上で、ラフスケッチやモックアップを通じてターゲットへヒアリングを行い、仮説・検証を実施します。

▲マウスのモックアップ製作の一例

技術担当者や企画担当者と連携や協議しながら、事業の採算性や製造面を考慮した上で製品デザインの提案をします。新たな機能的価値や情緒的価値をどうデザインで分かりやすく伝えていくのかを考え、ブラッシュアップを積み重ねながら「あるべき姿」を具現化していきます。

直感で分かる・伝わるデザインを創出するために

デザイン課は、エレコムグループが提案する製品およびサービスにおいて、多くを語らずともお客様が「見て」「触れる」ことで伝えるべき価値が直感で分かる・伝わるデザインの創出をミッションとしています。

一見、簡単なようで難しいミッションを実現させるため、開発部門を横断してプロダクトとパッケージのデザインやディレクションを行っています。また、デザイン強化のための仕組みを策定し、日々運用しています。

こだわっているのは、時代に左右されないニュートラルで親しみのあるデザイン

製品をデザインする際、担当する製品ジャンルはもちろんのこと、様々な分野の製品を参考にしながら、理想に近づけるための手立てを探求しています。

「新しい機能的価値・情緒的価値が生み出せているか」「コストや製造面に配慮し、実現性がともなっているか」「佇まいが美しく、使いやすく、分かりやすいか」「自らの手で引いた一本の線やその線から形成された面に意味があるのか・責任がもてるか」「押しつけがましく、主張しすぎていないか」「手に触れた瞬間、ユーザーの心を揺さぶり未来をよりよくしてくれそうか」など、手を動かしながらも思考を巡らせて「あるべき姿」を突き詰めていきます。

時代に左右されないニュートラルで親しみのあるデザインにするために、細部に至るまで妥協せず丁寧に仕上げていくことを常に心がけています。

デザインへのこだわりを商品開発部 デザイン課 課長の佐藤へインタビューしました。

デザイナーとしてゆずれないスキル

あらゆるトレンドからくる「要望」を理解した上で、あるべき姿を捉えて周囲と連携しながら期日までに形にしていく「調整力」「提案力」と、破壊と創造を愚直に繰り返してあるべき姿に近づけていく「熱量」がデザイナーには必要です。これらは、デザイナーとして持つべきスキルであり資質だと思います。現状に満足せず社内外の交流を重ねて、常に精進していきたいと考えています。

世界をワクワクさせる製品を生み出すために

製品としての「あるべき姿」を突き詰めた結果、様々な賞を受賞し、評価いただいています。受賞は、第三者から見ても共感できることと、課題解決につながる点を評価いただいた結果だと考えています。もちろん、良い点だけでなくご指摘いただいた課題も真摯に受け止めて改善していくことで、これからも多くの人から支持される製品を生み出していきます。

第三者から評価されている例①:
日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨のしくみ「Good Design Award」

エレコムは1993年から受賞しており、現在累計165シリーズの製品が表彰されています(2025年5月現在)。2024年度は13シリーズが表彰され、21年連続の受賞となりました。近年は受賞製品の幅が広がり、マウスやキーボードなどのパソコン周辺機器にとどまらず、電源タップやリフレッシュガン、サーキュレーターなどライフスタイルに関わる製品のデザイン性が評価されています。

グッドデザイン賞 https://www.g-mark.org/

▲2024年度受賞製品

第三者から評価されている例②:
国際的に権威のあるデザインアワードのひとつ「iF Design Award」

2006年から受賞しており、現在累計71シリーズの製品が表彰されています(2025年5月現在)。
2025年は、131名のデザイン専門家が66か国/地域から集まった約11,000件の応募デザインを厳正に審査し、当社からは1シリーズの製品が表彰され、17年連続の受賞となりました。

iF Design Award https://ifdesign.com/en/if-design-award-and-jury

▲2024年度受賞製品

社会情勢や市場環境を知ることもデザインには重要

デザイナーは担当している製品に活かせるよう常に様々なトレンドにアンテナを張り、ユーザーの琴線に触れるものづくりを関連部署と連携しながら適正な価格で提供していくことが重要だと考えています。デザインは事業戦略・販売戦略を実現させる重要なファクターのひとつです。社会情勢や市場環境・製品企画・製品の仕様を理解した上で、生産効率を考慮し、新たな価値が備わったデザインを生み出す必要があります。

ヒット製品を生み出したとき、デザイナーとしてのやりがいを感じる

多くの人に注目されたり、ヒット製品を生み出した時、デザイナーとしてのやりがいを感じます。自ら発案した価値にお客様が気づいて共感してくれた=存在意義のある価値を世に生み出すことができているということだと思うので、素直に嬉しいですし、デザイナー冥利に尽きます。時には厳しい意見もいただきますが、関心を寄せて今後に期待していただいていると捉え、新たな製品開発の糧にして日々奮闘しています。

製品化における問題への解決策は、全員で考える

製品に携わる関連部署と協議し、企画担当者が実現したいことや開発期間をふまえた上で、実現すべきデザインの妥当性やプライオリティを明確にして落とし所を探ります。場合によっては製品企画の見直しも含めて、実現すべきデザインを相手側に理解してもらう強引さも必要です。臨機応変かつ柔軟に対応しつつ、一人ではなく製品に関わる全員で解決策の糸口を探ります。

製品化に向けて、プロトタイプ制作やヒアリング重ねることで品質を高めていく

デザイナーは、製品の企画内容や特性、開発期間にもよりますが、製品化に向けてプロトタイプ試作やユーザーヒアリングを重ねてデザインを検討します。ラフスケッチからスタイロフォーム(※)や製品イメージに近い代用品を改造し、ラフなモックアップを試作したり、CADデータを作成して3Dプリンターで出力・試作したりするなど、臨機応変に手法を変えて対応し、品質の向上を図っています。

※ポリスチレン樹脂のこと

手掛けたマウスは、累計850万台出荷の大人気製品に

2013年に発売した「EX-G」マウスは、私が社会人4年目の時に手掛けた製品で、当時市場になかった新しい握り心地をデザインによって生み出しました。発売後も多くの方に使っていただくために改良を重ね、発売から12年経った現在も販売し続けるロングセラーシリーズとなりました。

▲「EX-G」マウスは、シリーズ累計850万台出荷しているロングセラー製品
画像は初代モデル

今後もデザインによって新たな価値を生み、製品のあるべき姿を導くことで、多くの方に支持されるより良き製品を提案し、皆さまの豊かな生活を支えてまいります。

エレコムグループは、今まで、そしてこれからも、より良き製品・サービス・ソリューション、より良き社会、より良き会社を追求しつづけます。

人気記事

新着記事