連戦が続くツアー生活、長時間のラウンド、国内外への移動──。プロゴルファーの1年は、華やかな活躍の裏側で、常に疲労との戦いでもあります。どれだけスイングを磨いても、身体が整っていなければベストパフォーマンスは発揮できません。
本記事では、シーズンを通して安定感あるプレーを見せ、2026年からはPGAツアーへの昇格が決まった平田憲聖プロにインタビュー。医師であり、エレコムヘルスケア事業の責任者としてECLEARリカバリーウェアの開発に携わる葉田甲太氏とともに、日々のコンディショニングやゴルフへの思いを語ってもらいました。
時差や環境の変化が激しい1年。それでもパフォーマンスを保つ秘訣とは
葉田: PGAツアーへの昇格、おめでとうございます。2025年は米二部コーンフェリーツアーに参戦し、各地を転戦されてきた1年でしたが、海外ツアーを回る生活は平田選手にとってどんな感覚でしたか。
平田: ありがとうございます。ずっと目標にしてきた舞台なので、本当にうれしいです。その出場権を得るために、昨年は初めて1年を通してアメリカを拠点にツアーを回りました。アメリカと一口に言っても、広い国内のさまざまな地域で試合が開催されるので、とにかく移動が多いんです。同じ街に滞在できるのは1週間ほど。試合をしては、週末ごとに次の開催地へ移動していく生活の繰り返しでした。
葉田: それはかなりハードですね。アメリカだと、国内と言えど時差の影響も大きいのでは。
平田: 西海岸と東海岸で3時間の時差があるので、その感覚をつかむのに苦労しました。1~2時間違うだけでも早く目が覚めてしまったり、思うように休めなかったりするので…。
葉田: 環境が安定しない中でベストコンディションを保持するのは、相当大変だと思います。
平田: 最初はかなり苦労しました。日本でツアーを回るときは、家で使い慣れたマットレスや枕を持って行ったりもしていたんです。でも、海外で毎週のように移動する状況だとさすがに難しくて、ホテルに備え付けの寝具を使うしかない。
葉田: 平田選手は、普段から睡眠についてどのような意識や工夫をされていますか。
平田: 基本的には1日8時間寝るように意識しています。毎日必ずとはいかずとも、試合前は8時間寝られるように時間を逆算して行動していますね。
葉田: とても理想的です。十分な睡眠がアスリートの疲労回復に効果的なことはもちろんですが、医療の現場でも、十分な睡眠が身体だけでなく脳や心血管系の健康維持につながることが分かっています。
平田: 睡眠の質を高めるためには、具体的にはどんな点が重要なんでしょうか。
葉田: 医学的観点では、「首」「手首」「足首」など太い血管が皮膚表面に近い部位をしっかり温めて血流をよくしつつ、体の内部温度――いわゆる深部体温をゆるやかに下げることが、副交感神経を優位にし、深いノンレム睡眠につながります。睡眠中は成長ホルモンの分泌や筋肉の回復も進むので、スポーツパフォーマンスのみならず、病気の予防にも大きな意味を持つんです。
……と、細かく話し出すといろいろあるのですが、シンプルに言うなら「一度入眠したら、途中で目を覚まさず深く継続的に眠れること」が大切です。睡眠以外で、パフォーマンス維持のために意識していることはありますか?
平田: 食事も気をつけています。寝る時間から逆算して、直前に食べないように時間を調整したり。ラーメンはあまり食べないようにしていますし、タンパク質を意識して摂るようにもしています。ただ、気にしすぎるとストレスになってしまうので、ほどほどを心がけていますが。
葉田: アメリカ遠征中だと、なおさら食事の管理は難しそうですね。
平田: そうなんです。どこへ行ってもハンバーガーショップしかないようなこともあって、大変でした。僕はご飯が好きで、朝食もパンよりお米を食べたいタイプなんです。だから途中からどうしてもお米が恋しくなって、自分で炊くようになりました。調べてみたら、フライパンでもお米が炊けると分かって……。
葉田: フライパンで炊くんですか?
平田: 意外と難しくないんですよ。最初は日本からパックご飯を持って行っていたんですが、どうしてもかさばってしまって、途中からはお米そのものをスーツケースに入れてアメリカに持って行っていました。一度炊いたら冷凍保存もできますし。カレーやシチューを作って一緒に食べたり、朝は卵をおかずにしたり。インスタント味噌汁も持参していましたね。どうしても鮭が食べたくなって、現地のスーパーで大きな塊を買ってきて、自分で小さく切って焼いたりもしました。
葉田: ご自身のコンディションやモチベーションを維持するための一環として食事を楽しんでいるところもありそうですね。
平田: 確かに、そういう部分も含めて、パフォーマンスの土台をつくるために考えていることかもしれません。
プロゴルファーと医師。「好きだから続けられる」仕事への共通点
葉田: ゴルフでは、身体的にはどの部位に負荷やエネルギー消費が生じやすいのでしょうか。
平田: ゴルフは1ラウンド回るのにだいたい5時間半くらいかかるのですが、その間ずっと「打つ・歩く・立って待つ」の繰り返しで、座ることがほとんどないんです。芝生の上とはいえ傾斜もありますし、スイング以外の部分でも足や腰にはかなり負担がかかりますね。
葉田: 連日その状態が続く中で、筋肉疲労や関節の蓄積ダメージも相当大きそうです。試合の合間やオフの日にはどのように過ごされているのでしょうか。
平田: オフは、トレーニングに時間を使うことが多いです。体を動かすこと自体が好きなので、ダラダラ休んだりすることもあまりないですね。
葉田: 遊びたいと思うこともないですか。
平田: それが、なかったんです。高校や大学の頃って、一般的には一番遊びたい時期って言われると思うんですけど、僕はあまりそういう欲がなくて。それをつらいとも感じなかったんです。みんなと一緒にいられなくても、遊べなくても、ゴルフが好きだから、練習していればそれで満たされていたというか。
葉田: 競技生活においては当然、勝ち負けがついてきますよね。結果によってメンタルが左右されることもあると思いますが、プレーを続ける源泉となる自信はどこから生まれてくるのでしょうか。
平田: やっぱり練習ですね。とにかく練習を重ねて、「これだけやったから大丈夫だ」と自分で思えることが、自信につながっています。もちろんプロなので、周りの選手もたくさん練習しているのは分かっているんですけど、自分が納得いくまでやりきって、そのうえで結果が出ると、より強い自信になります。
葉田: 壁を感じたり挫折感を覚えたりすることはありませんでしたか。
平田: 試合で負けたり、うまくいかなかったりすると落ち込むことはあります。でも、最終的に成果につながるのは練習しかないので、あまりマイナスなことを考える時間を自分に与えないようにしていますね。何よりゴルフが好きなので、練習自体が苦にならないんです。
葉田: すごく分かります。僕も医者という仕事が好きなんです。お金をいただきながら、患者様から「ありがとう」と感謝の言葉をもらえる。こんなに恵まれた仕事はありません。厳しい面もありますが、「好きだから続けられる」の感覚は共通するものがあります。
平田: お医者さんとして、仕事の中で大事にされていることを聞いても良いですか。
葉田: 医療の現場には、何らかの苦しみや課題を抱えて来院される方が大半です。その痛みや不安を少しでもやわらげ、少しでも楽になってもらう。悲しみや涙を減らして、幸せな時間を増やす。その思いを大切にしています。ヘルスケア製品の開発もそのための取り組みです。より多くの人の健康な生活をサポートし、病気を未然に防ぎ、不幸を減らすことができるはずだと信じています。そのためにも、今後も一層、エレコムヘルスケアの事業責任者として世界中に価値ある製品を届けていきたいと思っています。
「薄いのに温かい」――遠征先でも活躍するリカバリーウェア
葉田: 平田選手は、エレコムのリカバリーウェアをツアー中にも着てくださっていると聞きました。
平田: はい、転戦が続くツアー中の寝間着として着ていました。薄くてかさばらないので、海外に持っていくのにも便利ですよね。
葉田: ありがとうございます。今回のリカバリーウェアは非常に薄くてコンパクトに作っていますが、それでいて十分な温かさを保てるよう、素材選定・設計には注力して開発を行いました。
平田: 「薄いのに温かい」というのは、すごく実感しています。僕はもともと、1年中パジャマ代わりに半袖Tシャツとハーフパンツで寝ていて、布団をたくさんかけて温まるタイプだったんです。でも、今回いただいた長袖のリカバリーウェアに変えてからは、着心地が軽いのに温かいので、布団を何枚も重ねる必要がなくなりました。
葉田: ゆったり着ていただきたいので、手首・足首までしっかり覆いながらも大きめのサイズで作っていますし、通気性や吸湿性といったディテールにもこだわりました。
平田: 確かに、タイトでないので着心地が良いし、すごく寝返りが打ちやすいです。基本的には寝相は良い方だと思うんですが、たまに朝起きたらベッドに対して真横に寝ていて、「あれ、枕どこ行った?」みたいな状態になっていることもあります(笑)。
葉田: 夜中に何度も目が覚めるようなことがなく、深く眠れているのであれば、寝相はあまり気にしなくて大丈夫ですよ。
平田: 良かったです。来年もツアーが続きますので、リカバリーウェアは持っていきたいと思います。
葉田: 最後に、2026年の抱負をぜひお聞かせください。
平田: PGAツアーは、ゴルフの世界で最高峰の舞台で、ずっとそこを目指してきました。だからこそ、できるだけ長くそのツアーに参戦し続けたいですし、その中で優勝を目指していきたいと思っています。
葉田: ありがとうございました。これからのご活躍も楽しみにしています。
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平田 憲聖
プロゴルファー
2000年生まれ、大阪市吹田市出身。エレコム所属。7歳でゴルフを始め、大阪学院大学高校時代には「日刊アマ」優勝、「関西アマ」優勝などアマチュア大会で活躍し、その後進学した大阪学院大学では2021年に「日本学生ゴルフ選手権」を制覇。同年のQTを経てプロ宣言し、大学在学中にツアープロとしてのキャリアをスタート。2023年「~全英への道~ミズノオープン」でツアー初優勝を挙げると、「日本プロゴルフ選手権」も制し、若くして国内メジャーチャンピオンの座を手にする。2024年シーズンは日本ツアー24試合に出場して予選落ちゼロ、年間4勝を達成し、賞金ランキング2位に。2025年は主戦場を米国のコーンフェリーツアーに移し、シーズンを通じて好成績を重ねて年間ポイントランク15位に入り、世界最高峰・PGAツアーの出場権を獲得。今後のさらなる飛躍が期待される。

