法人ソリューション コラム
  • デジタルサイネージ
  • 会社・オフィス
2026.09.18

デジタルサイネージのLAN接続・ネットワーク構成|社内LANとクラウドの選び方

この記事をSNSで共有しませんか?
デジタルサイネージのLAN接続・ネットワーク構成|社内LANとクラウドの選び方

「サイネージを設置したら情報システム部門から『勝手に社内LANにつなぐな』と指摘された」「クラウド型を導入したのに、設置場所にネットワークが来ておらず追加工事になった」----デジタルサイネージのつまずきは、機種選定より先にネットワーク構成の検討が抜け落ちていることで起きるケースが多いです。

サイネージのネットワーク構成は、大きく分けると「社内LANに接続する方式」と「独立した回線でクラウドに直結する方式」の2つになります。どちらが正解というものではなく、拠点数・更新頻度・社内ネットワークのポリシーによって向き不向きが分かれます。

この記事でわかること。

  • 社内LAN接続型とクラウド直結型、それぞれの仕組みと向き不向き
  • 社内LANに接続する場合に情報システム部門と詰めておくべき設計項目
  • セキュリティを確保するための基本的な考え方

サイネージのネットワーク構成は2パターンで考える

結論から言えば、サイネージのネットワーク構成は「社内LAN接続型」と「独立回線・クラウド直結型」の2パターンに整理できます。どちらを選ぶかで、必要な工事の範囲もセキュリティ設計も変わります。

社内LAN接続型は、既存の社内ネットワークの一部としてサイネージ用の機器を接続する方式です。新たに回線を引く必要がないため初期コストを抑えやすいですが、社内の基幹システムと同じネットワークに機器が乗ることになるため、情報システム部門との調整が前提になります。

独立回線・クラウド直結型は、サイネージ専用のモバイル回線やインターネット回線を用意し、社内システムとは切り離してクラウドの配信管理システムに直結する方式です。社内LANの構成に手を入れずに済むぶん調整の手間は少ないですが、拠点ごとに回線契約が必要になり、月額の通信費が積み上がります。

方式 仕組み 向いているケース
社内LAN接続型 既存の社内ネットワークにサイネージ機器を接続 情報システム部門と調整でき、拠点数が少ない
独立回線・クラウド直結型 専用回線でクラウドに直結、社内システムと分離 社内LANに手を入れたくない、店舗など拠点が多い

どちらの方式を選ぶかは、そもそもスタンドアロン型かクラウド型かという配信方式の選択とも関係しています。配信方式ごとの違いと拠点数による向き不向きは、別記事「スタンドアロン型とクラウド型サイネージの違い|拠点数で変わる最適解」で仕組みから詳しく比較していますので、あわせて確認しておくと構成全体の判断がしやすくなります。

社内LAN接続型とクラウド直結型のネットワーク経路を対比する図

社内LANに接続する場合の設計ポイント

社内LANにサイネージをつなぐ場合、最初に決めるべきは「基幹業務のネットワークとどう分離するか」です。ここを曖昧にしたまま接続すると、情報システム部門から後々指摘を受けることになります。

VLANでネットワークを分離する

サイネージ用の機器を、業務用のPCやサーバーと同じセグメントに置かず、VLAN(仮想的なネットワークの区切り)で分離するのが実務上の基本です。サイネージ機器が万一マルウェアに感染しても、業務システムへの影響を遮断できます。

帯域を確保する

動画コンテンツを配信する場合、通信量は静止画中心の運用よりかなり大きくなります。オフィスの基幹業務の通信を圧迫しないよう、あらかじめ必要な帯域を見積もっておく必要があります。特に複数台のサイネージを同じネットワークに接続する場合、台数分の通信量が同時に発生する前提で見積もっておく必要があります。

設置場所の配線を確認する

天井や高所に設置する場合、そこまでLANケーブルを配線できるか、PoE(LANケーブル1本で電源も供給する仕組み)に対応した機器で配線をまとめられるかを事前に確認します。配線工事の要否は、初期費用にも直結する項目です。工場や倉庫のように設置環境が特殊な現場では、配線ルートの確保自体が課題になることもあります。工場・倉庫特有の設置上の注意点は、別記事「工場・倉庫のデジタルサイネージ|安全掲示と生産実績の見える化」でも触れています。

設計項目 確認内容
VLAN分離 サイネージ機器を業務システムと同一セグメントに置かない
帯域確保 動画配信・台数分の通信量を見積もる
配線・給電 LAN配線ルートとPoE対応の要否を確認する
アクセス制御 サイネージ機器からの通信先を必要最小限に制限する
VLANで業務システムとサイネージ機器のネットワークを分離する構成図

クラウド配信型の場合の設計ポイント

独立回線でクラウドに直結する構成を選ぶ場合は、社内LANとの調整は不要になるぶん、別の観点での見積もりが必要になります。

通信量を見積もる

クラウド型は、コンテンツの配信・更新のたびに通信が発生します。静止画中心の更新頻度が低い運用であれば通信量は小さく収まりますが、動画を多用し頻繁に更新する運用では、想定より通信量が膨らみやすいです。契約する回線のプランは、実際の運用イメージに合わせて選ぶ必要があります。

モバイル回線の活用を検討する

固定回線の工事が難しい場所や、短期間だけ設置するイベント会場のような用途では、モバイル回線(SIM内蔵ルーター等)を使う選択肢があります。工事不要で開通できる手軽さがある一方、電波状況が悪い場所では配信が不安定になるため、事前の電波確認が必要です。

拠点間で構成をそろえる

複数拠点にサイネージを展開する場合、拠点ごとに接続方式がばらばらだと、トラブル発生時の切り分けが難しくなります。可能な範囲で拠点間の構成を統一しておくと、運用開始後の保守がしやすいです。この拠点展開の視点は、複数店舗や複数拠点の運用を扱う別記事「デジタルサイネージのコンテンツ更新を続けるには|運用が止まる原因と対策」とも関連するテーマなので、あわせて確認しておくと良いでしょう。

モバイル回線を使ったクラウド直結型デジタルサイネージの設置例

セキュリティ設計 ― サイネージを「侵入口」にしない

サイネージ機器は、業務用PCほど頻繁にセキュリティパッチが適用されないことがあります。だからこそ、ネットワーク設計の段階で侵入経路になりにくい構成にしておく必要があります。

  • サイネージ機器の通信先を、配信管理システムなど必要な宛先だけに制限します
  • 来客向けにゲストWi-Fiを提供する場合は、サイネージ用のネットワークとも分離します
  • 機器のファームウェアやソフトウェアの更新を定期的に適用する運用を決めておきます
  • 管理画面のログイン情報を担当者間で適切に共有し、退職・異動時には速やかに変更します

オフィスの掲示物をデジタル化する場合も、ネットワーク設計の考え方は基本的に同じです。社内掲示板のデジタル化を進める際の運用設計は、別記事「オフィスの社内掲示板をデジタル化する|紙の掲示物をなくす進め方」でも扱っていますので、掲示板用途での構成を検討する場合はあわせて参照してください。

サイネージ機器の通信先を必要最小限に制限するアクセス制御の模式図

エレコムのネットワーク・デジタルサイネージ関連製品

エレコムは、ネットワーク機器とデジタルサイネージの両方を扱うメーカーとして、接続方式に応じた構成の相談に対応しています。社内LAN接続型・クラウド直結型のどちらであっても、必要な周辺機器を含めて検討できます。

項目 内容
ネットワーク機器 PoE対応スイッチ、法人向け無線アクセスポイント
サイネージソリューション 法人向けデジタルサイネージソリューション
対応範囲 接続方式の相談、構成提案(詳細は要問い合わせ)

社内LANへの接続を検討する場合は、情報システム部門を交えた早い段階での相談が、後戻りを防ぐ近道になります。

よくある質問

Q1. Wi-Fi(無線)だけで運用しても問題ありませんか。

問題ない場合も多いですが、設置場所の電波状況次第で安定性が変わります。壁や什器で電波が遮られやすい場所、他の無線機器が密集している環境では、途切れや遅延が起きやすくなります。安定性を優先するなら有線LANでの接続を基本とし、配線が難しい場所に限って無線を使う、という使い分けが現実的です。

Q2. 社内LANに接続すると、セキュリティ上のリスクは高まりますか。

適切に分離すればリスクは抑えられます。VLANでサイネージ機器を業務システムと別セグメントに置き、通信先を必要最小限に制限しておけば、サイネージ機器を経由した侵入のリスクは大幅に下げられます。分離をせずに同一ネットワークへ接続することが、リスクを高める主な原因になります。

まとめ ― 接続方式は「拠点数」と「社内ポリシー」で決める

サイネージのネットワーク構成に唯一の正解はなく、自社の状況に合わせて選ぶものです。

  • 社内LAN接続型とクラウド直結型、どちらもメリットと調整すべき点があります
  • 社内LANに接続するなら、VLAN分離・帯域確保・配線の3点を先に詰めます
  • クラウド直結型は通信量の見積もりと拠点間の構成統一がポイントになります
  • セキュリティは、通信先の制限とネットワーク分離を基本に設計します

構成を決める前に、情報システム部門と「どこまで社内LANに乗せてよいか」を一度すり合わせておくと、設置後のトラブルをかなり減らせます。具体的な機器構成で迷ったら、早めに相談するのも一つの手です。

※法人様向け「導入ご相談 / 製品・サービスの販売」以外の
お問い合わせは、回答致しかねますのでご了承ください。

新着記事