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2026.09.18

自治体・公共施設のデジタルサイネージ|災害時の情報発信を兼ねる設計

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自治体・公共施設のデジタルサイネージ|災害時の情報発信を兼ねる設計

庁舎のロビーや公民館に設置するデジタルサイネージは、普段は窓口の案内やイベント告知を映しています。ところが災害が起きた瞬間、この画面に何を出すかを決めていない自治体は少なくありません。担当者が慌てて手書きの張り紙を用意する光景は、平常時の案内表示と緊急時の情報発信を別物として考えてきたことの表れです。

デジタルサイネージは本来、この2つを1つの画面で両立できる機材です。ただし「両立できる」のは設計しておいた場合に限ります。平常時の運用しか考えずに導入すると、災害時に電源が落ちる、表示を切り替える手順が誰にも分からない、といった事態が起きます。

この記事では、自治体・公共施設がデジタルサイネージを導入する際に、平常時の案内表示と災害時の緊急情報発信をどう両立させるかを整理します。読み終えたときには次の3点がわかるはずです。

  • 平常時の案内表示に求められる要件
  • 災害時に切り替えるべき情報と、切り替えの仕組み
  • 停電・通信断を想定した設計で最低限決めておくこと

結論:平常時と災害時を「同じ画面」で両立させる

結論から言えば、自治体・公共施設のデジタルサイネージは、平常時の案内用途を主目的にしつつ、災害時には緊急情報表示に切り替えられる設計にしておくのが現実的です。災害専用の画面を別に用意するのはコストが見合わないことが多く、既存の案内表示の仕組みに緊急モードを組み込む発想になります。

大事なのは、この切り替えが「起きてから考える」ものであってはいけない、という点です。平常時の運用設計の段階で、緊急時にどう振る舞うかを決めておく必要があります。

平常時の案内表示に求められること

庁舎や公民館、図書館といった公共施設のサイネージは、窓口の案内、混雑状況、イベントや講座の告知が中心になります。来庁者の年齢層が幅広いため、文字は大きく、情報量を絞った表示が基本になります。

多言語対応も検討事項の1つです。外国人住民や観光客が窓口を利用する自治体では、日英併記や多言語切り替えに対応した表示が求められる場面が増えています。窓口の案内表示という用途は、病院やクリニックの待合室での案内表示と共通する部分が多く、運用負荷を抑える考え方は別記事「病院・クリニックのデジタルサイネージ|待合の案内表示を職員負担ゼロで回す」でも扱っています。

庁舎ロビーのデジタルサイネージで案内表示を確認する来庁者

災害時に切り替えるべき情報

災害時にサイネージへ表示すべき情報は、施設の役割によって変わります。避難所に指定されている施設なら、開設状況や受け入れ可否、給水・物資の配布情報が中心になります。避難所ではない庁舎なら、周辺の避難所一覧や交通機関の運行情報が優先されます。

全国瞬時警報システム(Jアラート)と連携し、緊急地震速報や避難指示などの情報を受信して自動表示する仕組みを持つサイネージ製品もあります。ただし、どの情報源と連携できるかは機種やシステム構成によって異なるため、導入前に対応範囲を個別に確認する必要があります。

施設の役割 平常時の主な表示 災害時に切り替える表示
庁舎(窓口) 窓口案内・混雑状況・イベント告知 周辺避難所一覧・交通情報
指定避難所 施設利用案内・貸室予約状況 開設状況・受け入れ可否・物資情報
図書館・公民館 講座案内・蔵書検索の案内 施設の被害状況・休館情報
施設の役割ごとに平常時と災害時でデジタルサイネージの表示内容が切り替わる比較図

停電・通信断を想定した設計で決めておくこと

災害時に画面自体が使えなければ、どれだけ良い表示内容を用意していても意味がありません。設計段階で決めておくべきことは主に3つです。

停電時のUPS電源と通信断時の予備回線による冗長構成を示す図

(1)停電時の電源をどうするか

商用電源が落ちた場合に、無停電電源装置(UPS)でどの程度の時間、表示を維持できるかを確認しておきます。24時間の稼働を求めるのか、数十分でも表示できれば十分なのかは、施設の役割によって異なります。すべての施設で最大構成の電源対策が必要というわけではなく、指定避難所とそれ以外で優先度を分けるのが現実的です。

(2)通信が途絶えた場合の表示

クラウド型で配信している場合、通信が切れると新しい情報を受信できなくなります。あらかじめ本体に基本的な避難情報や連絡先を保存しておき、通信断時にはその内容を自動表示する設計にしておくと、最低限の情報は途切れずに済みます。

(3) 誰が切り替え操作を行うか

平常時から緊急表示への切り替えを、誰が・どの手順で行うかを事前に決めておきます。担当者が不在の時間帯に災害が起きることも想定し、複数の職員が操作できるようにしておく必要があります。この考え方は、サイネージの更新作業を属人化させない運用設計と根が同じで、別記事「デジタルサイネージのコンテンツ更新を続けるには」でも取り上げています。

ネットワークの二重化や、庁舎内のLAN構成をどう組むかについては、別記事「デジタルサイネージのLAN接続・ネットワーク構成」で解説しています。導入の進め方全体を確認したい場合は、別記事「デジタルサイネージの導入手順|設置場所の決め方から公開までの流れ」も参考になります。

導入前に確認しておきたい制度面

災害時の情報発信体制は、自治体の地域防災計画の中に位置づけられていることが一般的です。サイネージを緊急情報発信の手段として組み込む場合、防災担当部局との調整が必要になります。予算や調達の方法は自治体ごとに異なり、補助制度の対象になるかどうかも変わりうるため、導入を検討する段階で担当部局に確認しておくと良いでしょう。

自治体庁舎内でサイネージ担当者と防災担当部局が打ち合わせをする様子

エレコムの自治体・公共施設向けサイネージ製品・サービス

エレコムは、庁舎や公共施設の窓口案内に使えるディスプレイから、複数施設への一括配信に対応するクラウド型サービスまでを取り扱っています。

項目 内容
設置環境 庁舎ロビー・公民館・図書館などの公共施設
配信方式 スタンドアロン型/クラウド型、複数施設への一括配信に対応
停電・通信断対策 UPSとの組み合わせなど、施設の要件に応じた構成を相談可能

緊急情報連携の可否など機種ごとの対応範囲は、製品ページまたは相談窓口で確認できます。

よくある質問

Q1. 既存の防災行政無線や防災アプリと連携させる必要がありますか。

必須ではありません。サイネージ単体でも避難所情報や施設の案内は発信できます。ただし、他の情報発信手段と表示内容がずれると住民の混乱を招くため、どの情報を一元管理するかは事前に整理しておくことが望ましいです。

Q2. 予算が限られる中で、災害対応まで含めた構成にする必要はありますか。

すべての施設で最大構成が必要というわけではありません。指定避難所や中核となる庁舎から優先的に整備し、その他の施設は平常時の案内表示を主目的とした構成にする、という段階的な進め方も現実的な選択肢です。

まとめ ― 「起きてから考える」を前提にしない

自治体・公共施設のデジタルサイネージは、平常時の案内表示という日常業務と、災害時の情報発信という非常時の役割を、同じ画面に持たせる設計が現実的です。

  • 平常時は窓口案内・イベント告知、災害時は避難所情報・交通情報など、施設の役割に応じて表示内容を整理します
  • 停電時の電源維持時間、通信断時の表示、切り替え操作の担当者は事前に決めておきます
  • 防災担当部局との調整や予算・補助制度の確認は、検討の早い段階で行います
  • 全施設に最大構成を求めず、指定避難所など優先度の高い施設から段階的に整備する考え方もあります

まずは自施設が「指定避難所」に該当するかどうかと、現在の防災計画でサイネージがどう位置づけられているかを確認するところから始めてください。

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