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2026.08.31

サプライチェーン攻撃の脅威と対策:取引先を守るセキュリティ強化ガイド

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サプライチェーンの一番弱い環が攻撃の入口になることを表した鎖のイメージ図

自社のセキュリティ対策には自信がある。ファイアウォールもウイルス対策もバックアップも入れている――。
それでも、取引先が原因で自社が止まる、あるいは自社が原因で取引先に迷惑をかける。サプライチェーン攻撃とは、そういう「自社だけ守っても防げない」種類の脅威です。

IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威」でも、「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」は組織向け脅威の上位に居座り続けています。
守りの厚い大企業を正面から破るより、つながった中小企業の手薄な一点を抜く方が、攻撃者にとって合理的だからです。

この記事では「守る側」の実務に軸を置きます。
攻撃が具体的にどう起きるのか、自社と取引先を同時に守るために何をすべきか、そして2026年度末に始まるSCS評価制度がこの守りにどう関わるのかを、順に整理します。

  • サプライチェーン攻撃の3つの代表パターン
  • 自社と取引先を同時に守る、実務レベルの対策
  • 「対策しているつもり」を「証明できる状態」に変える方法

サプライチェーン攻撃とは ― 3つの代表パターン

サプライチェーン攻撃とは、標的企業を直接狙わず、その企業が信頼している外部(取引先・委託先・利用ソフト)を経由して侵入する攻撃の総称です。
ひとくくりにされがちですが、入口は大きく3つに分かれます。

サプライチェーン攻撃の3類型(取引先経由型・ソフトウェア型・サービス委託型)を整理した図
パターン 入口になるもの よくある経路
取引先経由型 取引先・委託先の弱いセキュリティ 取引先のPCが乗っ取られ、なりすましメールで侵入
ソフトウェア型 利用しているソフト・更新プログラム 正規アップデートにマルウェアが仕込まれる
サービス・委託型 業務を委託している外部事業者 委託先が預かるデータが漏洩する

最も身近なのが「取引先経由型」です。攻撃者は取引先のメールアカウントを乗っ取り、過去のやり取りを装って請求書や添付ファイルを送りつける。受け取る側は「いつもの取引先」と信じて開く。信頼関係そのものが攻撃に利用されるため、技術だけでは塞ぎきれません。

中小企業が特に意識すべきは、自社が「狙われる標的」であると同時に「踏み台にされる側」でもある点です。
自社の被害だけでは済まない。自社を経由して大手取引先が攻撃されれば、損害賠償や取引停止という、事業の根幹を揺るがす事態に発展しかねません。

なぜ中小企業が狙われるのか ― 攻撃者の合理性

結論からいえば、中小企業が狙われるのは「弱いから」ではなく「割に合うから」です。
攻撃者はコストとリターンで標的を選びます。大企業は防御が厚く突破コストが高い。
一方、その大企業とつながる中小企業は防御が手薄なことが多く、突破すれば大企業へ抜ける近道になる。費用対効果の良い入口なのです。

ここで効くのが対策の「非対称性」です。大企業は専任のセキュリティ部門と予算を持ちますが、中小企業では情報システム担当が他業務と兼任、あるいは担当者不在というケースも珍しくありません。この差が、サプライチェーンの中に「弱い環」を生みます。

当社(エレコム)が日頃お取引先やお客様と接する中でも、「バックアップやウイルス対策などのシステムは導入されているものの、設定や運用ルールが十分に整理されておらず、結果としてセキュリティ上の弱点が放置されている」というケースが少なくありません。

つまり、自社の対策を固めることは取引先を守ることと同義です。
あなたの会社が踏み台にならなければ、つながった先の安全度も上がる。サプライチェーンセキュリティとは、この相互依存を前提にした考え方です。

取引先を守る対策 ― 自社・取引先・委託先の3層で考える

対策は「自社の内側」だけでは完結しません。自社・取引先・委託先という3つの層で考えると、抜け漏れが減ります。

サプライチェーンセキュリティを自社・取引先委託先・説明責任の3層で整理した図

(1)自社の守りを固める(踏み台にならない)

基本の徹底がすべての土台です。OS・ソフトの更新を放置しない、退職者アカウントを残さない、多要素認証を有効にする、重要データのバックアップを取る。派手さはありませんが、侵入口の多くはこの基本の穴から開きます。

見落とされがちなのが「組織面」です。技術対策が入っていても、誰がどの権限を持つかを管理する規程がなければ、退職者のアカウントが半年放置される、といった事態が起きます。ルールの文書化と定期的な棚卸しが、技術対策と同じ重みを持ちます。

(2)取引先・委託先を可視化する

自社が安全でも、業務を委託している先が漏洩すれば、預けたデータは流出します。誰に・どんなデータを・どこまでの権限で預けているかを一覧化し、相手のセキュリティ水準を把握しておく。これが委託先管理です。SCS評価制度が「取引先管理」を評価領域に含めているのも、この観点が重要だからです。

(3)「説明できる状態」を保つ

取引先から「御社のセキュリティ体制を教えてほしい」と問われたとき、根拠を持って答えられるか。対策していることと、それを証明できることは別物です。何を・どこまでやっているかを文書で示せる状態が、商談を止めないための備えになります。

「対策しているつもり」を証明できる状態へ ― SCS評価制度との関係

ここまでの対策を第三者に伝わる形で整理するものさしが、2026年度末ごろ運用開始予定のSCS評価制度です。
企業のセキュリティ対策を5段階で評価し(うち★3・★4がSCS評価制度、★1・★2はセキュリティアクション)、サプライチェーン全体で水準を見える化する国の制度で、経済産業省が主管しIPAが運用を担います。

なぜこの制度がサプライチェーン攻撃対策と直結するのか。大企業が取引先を選ぶときの「共通のものさし」になるからです。これまで各社バラバラだったセキュリティ確認が、いずれ「御社の★はいくつですか」に集約されていく。そのとき、対策していても証明できない企業は、比較の土俵に乗る前にふるい落とされかねません。

裏返せば、★を取得する過程そのものが防御を一段引き上げます。★を宣言するには、組織面を含めた対策の棚卸しが必須だからです。制度の全体像と★の目安は、別記事「SCS評価制度とは?2026年制度化に向けて中小企業が今すぐ始めるべき対策」で解説しています。

最初の一歩は、自社の現在地を知ることです。攻撃の侵入口になりうる穴がどこにあるのか、組織面も含めて棚卸しする。その方法は別記事「中小企業のためのセキュリティアセスメント実践ガイド」で扱っています。

エレコムのセキュリティアセスメントサービス

「対策しているつもり」を「証明できる状態」に変える出発点が、現状把握です。
エレコムのセキュリティアセスメントサービスは、サプライチェーン攻撃の侵入口になりうる穴を、技術面と組織面の両方から洗い出します。

項目 内容
診断範囲 ガバナンス・取引先管理・リスク特定・防御・検知・対応・復旧の7領域
成果物
  1. (1)専門観点で整理したチェックシート
  2. (2)差分を数値化・グラフ化した現状評価レポート
  3. (3)優先順位付きの改善ロードマップ
期間 最短4週間
進め方 オンライン完結。打ち合わせは初回と最終報告の2回のみ
参考価格 280,000円(税別)

「取引先管理」の領域を診断範囲に含めているのが特長です。自社の守りだけでなく、委託先・取引先まわりのリスクも俯瞰できます。なお、現地訪問や証跡の突合は本パッケージの範囲外です。まず全体の現在地を素早く・負担なく把握することに特化したサービスとお考えください。

実際のアセスメントでも、「技術的対策は導入されていても、なりすましメールを想定したインシデント対応手順がない」「委託先に預けたデータの範囲・権限が管理されていない」「退職者アカウントが残っている」といった、"侵入口になりうる組織・運用面の穴"が見つかることが少なくありません。

よくある質問

  • Q1. ウイルス対策ソフトを入れていれば、サプライチェーン攻撃は防げますか?

    それだけでは防ぎきれません。取引先のなりすましメールや、正規ソフトに仕込まれた不正コードは、従来型のウイルス対策をすり抜けることがあります。
    技術対策に加えて、取引先・委託先の管理や、不審なやり取りを見抜く運用面の備えが必要です。

  • Q2. セキュリティ要求への備えとして、何から手をつければよいでしょうか?

    「入札要件や取引先からのセキュリティ要求に備えたいが、何から対応すればよいかわからない」というご相談は、当社でも非常によくいただきます。
    まずは自社の現状と課題を客観的に把握し、ルール作りや運用面の穴を洗い出すこと(アセスメント)がすべての出発点になります。

  • Q3. 取引先のセキュリティまで、自社で確認すべきですか?

    業務を委託している先については、確認しておくことをおすすめします。預けたデータが委託先から漏れれば、責任の一端は自社に及びます。
    すべてを監査する必要はありませんが、誰に何を預けているかの把握と相手の体制確認は、委託先管理の基本です。

まとめ ― 自社を守ることが、取引先を守ること

  • サプライチェーン攻撃は「自社だけ守っても防げない」脅威。取引先経由・ソフトウェア・委託先という3つの入口がある
  • 中小企業が狙われるのは弱いからではなく、大手への割の良い踏み台になるから。自社が踏み台にならない対策が、取引先を守る
  • 対策は「証明できる状態」にして初めて商談で武器になる。2026年度末開始予定のSCS評価制度が、その共通のものさしになる

自社の守りに穴がないか、組織面まで含めて一度棚卸しする。それがサプライチェーン全体を守る最初の一歩です。エレコムのセキュリティアセスメントサービスは、最短4週間で貴社の現在地を可視化します。

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