パソコン作業をする人にとって欠かせないアイテム「マウス」。エレコムの歴史を語る上でも、欠かすことのできない大切な存在です。

<現在当社で販売しているマウス>
今でこそ色やデザイン、機能など豊富な種類がありますが、実は、36年前のマウスは、どれも似たり寄ったりで画一的なデザインと性能でした。
「『マネコム』はもうやめましょう」新入社員が打ち出したアイデア
マウスの新時代は、当社の新入社員だった、ある一人の開発担当者のひらめきによって始まりました。1988年当時、22歳だった開発担当者は市場に多く出回っていた四角いマウスを持ちやすい「卵型」にすることを思いつきます。今では丸いマウスが主流になっているため、単純なアイデアに思えるかもしれませんが、当時は革新的なアイデアでした。

<初代エッグマウス>
もちろん、最初から順風満帆だったわけではありません。「会議の場で、『マネコム』からの脱却を主張したこともあります」と開発担当者。他社のマネをするエレコムの姿を揶揄した造語が、社長も参加する会議の場で出てしまったこともあったそうです。時が経過した今思い返すと、怖いもの知らずの発言だったのかもしれません。しかし、誰よりも製品開発に対する熱意があったからこその一言でした。

<数年後、復刻版として発売したエッグマウス>
「とにかく、人と違うことがしたかったんです」(前述の開発担当者)。その言葉通り、形の提案だけではなく、ベージュしかなかったマウス業界にカラーバリエーションや製品本体への「ロゴ」印字、細部のデザイン性など次々と新しい発想を取り入れます。
マウスは1万円ほどする高級品だった
「オリジナルデザインを採用した、初めてのマウス」という前例のない製品を開発する中で、2つの壁にぶつかります。1つ目の壁は「価格」。当時はまだパソコンの所有が一般的ではなく、周辺機器自体が高価で、マウスは1万円ほどの価格がつけられていました。そのため、家電量販店では今のように陳列棚ではなくショーケースに展示され、販売されていました。
そこで、もっと気軽に製品を手に取って選んでいただきたいという思いから、大幅な価格調整を行います。初代エッグマウスの価格は、3,980円。1万円台が主流だったマウス業界では価格勝負で、圧倒的に勝者となりました。
前例がなければ、切り開くしかない
2つ目の壁は「どう手に取っていただくか」。当時のマウスはショーケースに並んでいたため、購入時の心理的ハードルは高いものでした。そこで気軽にお客さまに手に取っていただけるよう、これまでにない「棚のフックにかけることを前提にしたパッケージ」と、「製品を棚一面に並べる販売」方法を提案します。

<製品をフックにかけることで、手に取りやすくなったパソコン周辺機器>
その結果、接客なしでお客さまに製品を自由に手に取っていただけるようになり、手に取りやすくお買い求めやすい売り場に変化していきました。
また、エッグマウスはエレコムで初めてオリジナルでデザインしたマウスでしたが、斬新なデザインが評価され1989年にグッドデザイン賞を受賞しました。
日本で一番売れているマウスメーカー
エッグマウス発売後も様々なマウスの提案を行った結果、国内販売数1位の企業が表彰される「BCNアワード」において、25年連続で最もマウスを販売している企業として表彰されています(※)。

36年前にマウスを発表してから十数年で、国内市場のシェアトップを獲得し、その地位を確かなものにしています。また、2025年に発表された同アワードでは、マウス以外の10部門でも受賞しています。
※「BCN アワード」は、全国の量販店のPOSデータを日次で収集・集計した「BCNランキング」に基づき、パソコン関連・デジタル家電関連製品の年間(1月~12月)販売台数第1位のベンダーの功績を讃える賞です。
エレコム社内で人気No.1に輝いたマウスは?
当社では不定期で社内における人気製品の調査を実施しています。社内で一番人気のマウスは、2度の調査でともに「EX-G」シリーズのマウスでした。「握りやすさ」にこだわり抜いた製品で、整形外科医との共同開発により、手首と指への負担を極限まで抑えています。

<2023年に発表した、最新の「EX-G」シリーズマウス>
右利き用だけではなく左利き用の製品も展開し、同シリーズではS、M、L、LLの4サイズをラインアップしています。手を自然に乗せるだけで余計な力がかからず、手の痛みを和らげるようなエルゴノミクスデザインを採用している点が特長です。

<サイズは4種類をご用意>
今回のマウスのように形こそ時代によって変わっていきますが、世界を少しずつより良くしたいという想いは創業当初から変わりません。
エレコムグループは、今まで、そしてこれからも、より良き製品・サービス・ソリューション、より良き会社、より良き社会を追求しつづけます。