
製品イメージ
2025年3月中旬に発売を予定し、世界で初めて(※1)モバイルバッテリーとして製品化に成功した「ナトリウムイオンモバイルバッテリー」。
次世代のバッテリーといわれる、「ナトリウムイオン」を使用したモバイルバッテリーの開発担当者に、開発時の苦労や製品に込めた想いをインタビューしました。
※1 ナトリウムイオン電池を採用したモバイルバッテリー(製品)/容量 9,000mAh ・ USB Type-C対応(45W出力・30W入力) に関する市場調査「世界初」検証調査(㈱未来トレンド研究機構 調べ)2024年11月27日時点
―「ナトリウムイオン」に着目したきっかけは、モバイルバッテリーが抱えるリスクを知ったから
近年、リチウムイオン電池を搭載した製品の普及に伴い、発火事故が増加しています(※2)。また、電池に使用されているリチウムの採掘現場では、環境問題だけではなく人権や労働環境に関するリスクがあり、近年では社会課題として問題視されています(※3)。当社は、より良き社会を目指してこれらの課題に真摯に向き合い、解決への一歩を踏み出すために数年前から取り組みを進めています。
※2 参考:独立行政法人 製品評価技術基盤機構
https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/pdf/2024battery.pdf
※3 参考:ナショナル ジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/122800662/
―社会課題解決の一環として製品を開発
2022年、社会課題解決の一歩を踏み出すため、安全性が高く、環境負荷軽減に配慮した「リン酸鉄リチウムイオン電池」を採用したモバイルバッテリーを発売しました。当製品は、従来のモバイルバッテリーと比べると高価格帯で、サイズや重量も大きいという課題がありながらも、「高い安全性」と「長寿命」という点で多くのお客様に評価いただきました。
―リン酸鉄モバイルバッテリーで解決しきれなかった環境負荷低減の課題
当製品は、従来のリチウムイオン電池より使用量は少ないものの、レアメタルの一種であるリチウムを使用しているため、環境負荷の面ではまだ改善の余地がありました。そこで地球上に豊富にある「ナトリウム」を使用した「ナトリウムイオン電池」を採用することで、さらに環境負荷の低い製品を実現しました。
-新しい素材を採用し、2年かかった製品開発
ナトリウムイオン電池は、近年ようやく量産化された新しい電池です。すでに電気自動車などで採用されていますが、従来のリチウムイオン電池に比べサイズや重量が大きいため、モバイルバッテリーに採用できるサイズ、容量、価格を考慮したとき、満足できるものを見つけることに苦労しました。

ナトリウムイオン電池の性能
また、これまで採用したことのない新しい電池を利用した製品開発だったため、製品を長く安全に使用していただく際に欠かすことのできない「電流の出力調整」や「使用可能な環境温度での評価」などの検証にも時間を要しました。そのため構想から約1年半の期間を経て、ようやく製品化に成功しました。
当製品の検証は、エレコムグループの製品設計や研究開発を担う横浜技術開発センター(通称:YIH)や、中国にある深圳技術開発センターにて実施しました。

横浜技術開発センター(通称:YIH)の施設詳細はこちらからご覧いただけます。
製品の特長や、開発でこだわった点などは後編でご紹介します。
エレコムグループは、今まで、そしてこれからも、より良き製品・サービス・ソリューション、より良き会社、より良き社会を追求しつづけます。