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2026.09.15

「衝撃から守る」のその先へ。ZEROSHOCKリブランディングの裏側

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「衝撃から守る」のその先へ。
ZEROSHOCKリブランディングの裏側
「衝撃から守る」のその先へ。ZEROSHOCKリブランディングの裏側 「衝撃から守る」のその先へ。ZEROSHOCKリブランディングの裏側
Introduction

エレコムの製品ブランドの中でも、長い歴史を持つ「ZEROSHOCK(ゼロショック)」。その名の通り、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのデバイスを衝撃から守る高い耐衝撃性を備えたシリーズとして、多くのユーザーに支持されてきました。

そんなZEROSHOCKが、この度“リブランディング”を実施。これまで受け継いできた思想を見つめ直し、新たに「衝撃は掌握できる」というコンセプトのもと、製品を生み出すこととなりました。

なぜ、そしてどのようにしてリブランディングは進められたのか。製品の戦略を担う大嘉真伍さんと、プロダクトデザイナーの山本優希さんに、ブランド再定義の背景と、その先に見えてきた価値について聞いてみました。

時代に合わせた広がりを、原点に立ち返って整える

 そもそも、ZEROSHOCKはいつ、どんなブランドとして誕生したのでしょうか。

大嘉: 2002年に、ノートパソコンを保護するインナーケースのシリーズとして生まれました。当時はまだスマートフォンもない時代で、デジタルデバイスを持ち運び、外部の衝撃から守るという考え方自体が新しかったんだと思います。その後、スマートフォンやタブレット、ワイヤレスイヤホンなど、皆様の大切な製品を守る耐衝撃アクセサリーとして、ブランドを継続してきました。

 エレコムのブランドの中では、かなり幅広く、息の長いブランドになりましたね。

大嘉: 一般的に見ても、24年間継続できるブランドは多くありません。これからも大切に育てていきたい一方で、ここ数年は少し“ブランドの強さ”に甘えてしまっていた部分もありました。

というのも、対応するデバイスが広がる中で、社内全体でZEROSHOCKに向き合う思想が揃いきらず、本来こだわるべき根幹が揺らいでいるのではないかと感じていました。そこで、あらためてフィロソフィーを見つめ直すことにしたんです。

事業計画・商品戦略の策定から担う大嘉

山本: プロモーションやデザインの面でも、一貫性には課題があったと思います。上がってきた製品が悪いわけではないけれど、生まれた当時はあったはずの根っこが揺らぎ、デザインの許容範囲も広がっていました。

 製品を大きく変えたかったというより、思想を整え直したイメージでしょうか。

大嘉: そうですね。見ている方向は同じでも、デザインや設計構造に通っている思想が統一しきれていなかったので、もう一度芯を通し直すようなイメージに近いです。よりブランドにこだわり、ZEROSHOCKの原点に立ち戻るためのリブランディングをしようと思いました。

「突き抜けないと意味がない」―「衝撃は掌握できる」が生まれるまで

ブランドデザインの背景について語る山本

 新たなブランド設計は、どのように進められたのでしょうか。

大嘉: カテゴリごとに開発担当が分かれていて、どうしても自分の担当製品だけに目が向きがちだった部分があったので、あらためてZEROSHOCKのあらゆるお客様の声を洗い直しました。

その中で見えてきたのは、長く使ってくださっているファンの存在。評価点はもちろん、前の製品との違いや、少しがっかりしたポイントまで書いてくださる方が少なくなかったんです。使い続けてくださっている方々に改めて感謝しましたし、その声にきちんと向き合わなければいけないと感じました。

山本: 今回はさらに、ZEROSHOCKを愛用しているコアユーザーに向けてN1インタビュー(※)を実施しました。なぜ信頼し、使い続けてくださっているのかを、徹底的に深掘りしたかたちです。

その中で分かったのは、ユーザーが単に耐衝撃性だけを見ているわけではないということ。手に持ったときの安心感や信頼感まで含めて評価してくださっていたんです。デザインを気に入って、何度も使ってくださっている方も多く、性能だけではなく、デザインも含めてZEROSHOCKを選び続けてくださっていることが分かりました。

(※)特定の1人(N=1)のユーザーに対し、なぜその商品を選んでいただけたのか、前提や背景から深く掘り下げるインタビューのこと。

 ファンの声から、どのようにコンセプトを紡ぎ上げていったのでしょうか。

大嘉: これまでのZEROSHOCKは、衝撃を受けたあとにどう守るか、という観点で、衝撃吸収や保護性能を高めてきたブランドでした。ただ、お客様の声をあらためて見ていくと、 手が滑ることで落下そのものが起きたり、落下の仕方によってさまざまな破損につながったりと、ケースの耐衝撃性能だけでは破損を防ぎきれないことも分かってきました。

これらの振り返りを踏まえて、ZEROSHOCKが提供できる価値を「スマートフォンを安心して使い続けられること 」と捉え直したとき、見えてきたものがありました。落とす・ぶつけるといった“壊れる可能性そのもの”を減らすことこそが、より大きな安心につながる。そう考えるようになったんです。

山本: 衝撃が発生する状況をコントロールすること。それをZEROSHOCKの役割として再定義したことで、自分たちが目指すべき方向が明確になりました。

 新たなブランドコンセプトは「衝撃は掌握できる」。この言葉には、どうやってたどり着いたのでしょうか。

大嘉: 自分たちが目指すZEROSHOCKの方向性を、どうすればお客様にも共有できるか。チームで案を出し合いました。いくつかコピー案を出して社内投票も行いましたが、実はこの案がいちばん票を集めたわけではなかったんです。ただ、ターゲット層に近い人たちから最も票を集めていて。

山本: ターゲットとなる方々の共感を得ながら、ブランドとしての強い意志が明確に伝わる言葉にしたいという思いがあり、 この言葉に決めました。ブランドとしての強い意志を、最も端的に表していると思っています。

 それを製品に伝えていく上で、今回はスマホストラップ・カードケーススタンド・スマホリングと、これまでにない製品ラインアップが増えました。なぜでしょうか。

大嘉: 「壊れる可能性そのものを減らす」という考え方を突き詰めていくと、スマートフォンを使うときのさまざまな場面まで含めて、アクセサリーのあり方を考える必要がありました。そこで、「落ちた後の衝撃から守る」だけでなく、「落とす前から守る」ための製品へと、ZEROSHOCKの領域を広げることにしたんです。

山本: 落下対策だけであれば、ほかのハンドストラップでも実現できます。では、なぜZEROSHOCKでハンドストラップを出すのか。スマホリングはどうあるべきか。その辺りを開発チームで何度も議論しながら、少しずつ磨き上げていきました。

歴史を継承し、新たな高みを目指すiPhoneケース

 2026年秋発売の新機種に対応したiPhoneケースは、リブランディングを体現するアイテムですね。

大嘉: 今回、3種類のケースを展開しました。STANDARDシリーズ(PM-A26CZEROKM・PM-A26DZEROKM)は、これまで提案してきたZEROSHOCKのスマホケースの正統な後継という位置づけです。

山本: この製品は、これまでエレコムが長年かけて形づくってきたZEROSHOCKのイメージを損なわずに、「衝撃は掌握できる」という思想をもとにアップデートしたモデルです。基本のデザインは、従来のZEROSHOCKケースと同様。いわば、従来モデルの正統進化です。

一方で、細かなアップデートも加えています。たとえば、背面レンズのギリギリまで保護できるようにし、端末本体が見えにくい設計にしました。さらに、充電ポート周りは従来モデルより厚めに設計しています。ケーブルをつないだまま落とした際に、コネクターが折れるような事態も防ぎたいと考えたからです。

大嘉: スマホのボタン部分は独立したパーツにしています。そこは口コミでもかなり厳しい声があったところで、「ボタンが押しづらい」という意見が多かったんです。ボタン部分がケースと一体の硬い素材だと押しにくいですし、そもそもボタン部分を保護しないケースもありますが、今回はその押しやすさにもきちんとこだわりました。

 TOUGHシリーズ(PM-A26CZEHKM・PM-A26DZEHKM)は、従来品より大きく、屈強な印象です。

従来のZEROSHOCKケースがさらに進化したTOUGHシリーズ

大嘉: こちらは、先ほどのものよりもさらにハードな環境で使う方に向けたモデルです。口コミを見ていると、ZEROSHOCKをツーリング中に使っている方や、グローブをしたまま扱う方など、日常以上の環境で使っているという声も多くありました。そうした、より高い耐久性を求める方に自信を持って届けられる、「衝撃は掌握できる」を最も体現するモデルになると考えています。

 今回は開発中のモックアップも持ってきていただきました。

山本: どうアプローチすれば従来品より保護性能を高められるのか、かなり試行錯誤しましたね。四つ角のダンパーも、機能的なタフさはもちろん、見た目としてもより 防御力の高い印象にしたいという意識がありました。機能をただ足し合わせるのではなく、全体の統一感や印象値を丁寧に仕上げることが求められていると感じていました。

 かなりの回数の試作があったのですね。

山本: はい。最初のグレーのモックアップは、まず実際に手を動かして、形状や構造の可能性を探るところから始めたものです。この段階では一つの方向性に絞り込まず、使いやすさと保護性能の両面から、形状の検証を重ねました。また、形状設計と並行して技術面のアプローチ検討する中で、着目したのがD3O®です。モータースポーツのプロテクターや、ラグビーの防具、軍事領域でも使われている、特殊衝撃保護素材で、薄さと高度な衝撃吸収性能を両立しています。

とは言え、素材そのものの性能に頼るのではなく、どう設計に生かすかが重要です。試作を重ね、カメラレンズ周りを極限まで二重構造で覆う形状にたどり着いたとき、「これなら、これまで以上にカメラ周りの破損リスクを減らせる」と手応えを感じました。それが3つ目のモックです。ここで設計の方向性が見えてきたことで、ほかの細部についても一気に検討を進めていきました。ほぼ毎日のように3Dプリンターでモックを出力しては、開発メンバーに共有していました。

大嘉: チーム内でコンセプトを握れていたから、モックが上がってきたときに「思っていたのと違う」ということにはならなかったですね。むしろ、デザインに反映してもらったものを見ながら、「もっとこうあるべきだ」とブラッシュアップしていく議論に進めたのが良かったと思っています。

 毎日というのは、ものすごいスピード感に思えますが。

山本: エレコムの強みである開発スピードは妥協できません。その中でも、ブランドコンセプトを軸に、製品一つひとつに一貫した考え方を落とし込んでいくことを大切にしました。

 背面のデザインが何度も変わっているように見えます。

山本: MagSafeの形状が一番悩みました。正直、デザインそのものが機能に直接関わる部分ではないんです。ただ、ここではMagSafe本来のあるべき形状を踏襲しながら、機能と意匠が正しく結びついた、ZEROSHOCKらしい背面デザインにこだわりたくて、図面では何十パターンも試行錯誤しています。

大嘉: 高い保護性能を追求したモデルを新たにデザインしてもらい、自信を持って送り出せる製品になりました。

 今回は、加えてクリア素材のLIGHTシリーズ(PMWA26CZELKMCR・PMWA26DZELKMCR)もラインアップしています。

大嘉: LIGHTシリーズは、今お話しした2モデルの良さ をより手軽に体感できるエントリーモデルとして用意しました。背面にステッカーを入れるなどクリアケース特有の多様な自己表現を楽しみながらも、十分な保護性能を体感いただけます。

山本: この製品をきっかけに、今までZEROSHOCKを知らなったお客様にも手に取っていただけたら、そしてZEROSHOCKっていいなあ!と思っていただけたら嬉しいです 。

ZEROSHOCKと共に使える、アクセサリーにもこだわりを

 ハンドストラップ・ショルダーストラップについてもお話を聞かせてください。

大嘉: ZEROSHOCKとしてあるべきストラップの姿を考えたとき、握りやすさや耐久性はもちろん重要ですが、軽く扱いやすい点を大切にしました。部品点数を極限まで減らし、軽量化も図って、使用時のストレスも減らしました。見た目にも、独自性のある意匠になっています。

 紐は7mmと太く耐久性がありながら、やわらかくて触り心地もいいですね。

山本: 編み方にも工夫を入れています。紐は3Dプリンターでは再現できないため、原寸大で編み方のパターンを作図し、関係者間で何度も検討しました。エレコムオリジナルの紐です。編み方の候補を絞ったあとは、今度は紐の色の組み合わせもあるので、最終的には40パターンほどを比較しながら選定しています。

大嘉: 協力工場にも、素材やカラーのさまざまなパターンをお願いして、多くのサンプルを出してもらいました。そのうえで、一つひとつ吟味しながら検討していった形です。開発担当はもちろん、社内のZEROSHOCKファンの意見もかなり参考になりました。

 カードケーススタンドも、ZEROSHOCKとしては新しい取り組みです。

大嘉: ZEROSHOCKのケースと組み合わせて使うことで、ユーザーのライフスタイルそのものを向上させたいという意図が大きいです。キャッシュレス化が進むなかで、スマートフォンを中心とした日常に自然に寄り添えるアイテムとして考えました。

山本: スマートフォンをポケットに入れて持ち歩くことが多いため、表面には摩擦に強く、耐久性に優れたコーデュラ®バリスティックナイロン生地を採用しています。また、逆さにしてもカードが抜け落ちにくいよう、内部に板バネを入れるなど、日常的に持ち歩くことを考えた耐久性と使いやすさにもこだわりました。

大嘉: スマホリングは、スマホ操作時の落下リスクを減らすため、指にフィットしやすいオーバル型のリング形状を採用しています。360度回転するリングは、持ちやすい角度に調整でき、スタンドとしても使用可能です。さらに両面マグネット構造により、リングを外すことなくMagSafeアクセサリーを重ねて使えるなど、日常の使いやすさまで考えて設計しました。

発売後の反響と、次に見据える展開

 ストラップ・スタンド・スマホリングはすでに発売されていますが、反響はいかがですか。

大嘉: こだわりを持って作ったこともあり、出荷実績もかなり好調で、想定を上回っている部分もあります。これまでとは異なるアウトドア系のメディアなどでも取り上げていただけたのは、非常にうれしいことでした。ZEROSHOCKはどうしても“ケースのブランド”という印象が強かったのですが、今回の展開を通じて、これまで届いていなかった層にも少しずつ認知が広がってきたのではないかと感じています。

山本: ケースをお客様にどう受け取っていただけるかも楽しみですし、「衝撃は掌握できる」という考え方を、ぜひ製品を組み合わせて使うことで体感していただきたいです。ケース、ストラップ、リング、カードケースまで、それぞれの役割は異なりますが、「壊れる可能性そのものを減らす」という一つの考え方でつながっています。そうしたZEROSHOCKの新しい“守り方”まで感じていただけたらうれしいです。

 新たなZEROSHOCKの思想から、今後はどのような製品展開をしていきたいと考えていますか。

大嘉: 再定義した哲学をもとに、既存製品を刷新しながら、私たちの思想をファンの方々に届けていきたいです。原点であるノートパソコン用のインナーバッグの展開も視野に入れていますし、ラインアップも広げていくつもりです。

 製品点数が増えれば、より多くの方に使っていただける未来も広がりますね。

大嘉: ユーザーの裾野は広げていきたいと思っていますし、もっと多くの方に使っていただきたい、という気持ちはもちろんあります。ただ、ブランドとしての哲学をブレさせるつもりはありません。そのために、あらためて軸を再設定した、という感覚ですね。よりよいデジタルライフを送っていただくために、ZEROSHOCKはZEROSHOCKのやり方で、価値を届け続けていくつもりです。

長く愛されてきたブランドだからこそ、ただ守るのではなく、どう守るのか、どんな思想で守るのかまでを問い直す。ZEROSHOCKのリブランディングは、その答えを製品に落とし込む試みでもあります。

そしてその先にあるのは、単なる新製品の投入ではなく、ユーザーの毎日に自然と溶け込みながら、安心を支え続けるブランドとしての再出発。これからのZEROSHOCKシリーズの展開にも、ご期待ください。

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