
用途で選ぶ、おすすめの外付け・内蔵ハードディスク
パソコン用だけでなく、テレビ番組の録画やゲーム機といった家電製品向けにもラインナップされているHDD(ハードディスク)。さまざまなタイプがそろっていますので、ニーズや使い方に合わせて最適なHDDを選びましょう。
用途に合わせて最適なHDDを選ぼう!
一般的に「ハードディスク」と呼ばれている機器は、正確には「ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)」といい、頭文字をとって「HDD」と呼ばれることがあります。
形状としては筐体の中に、容易に磁気を帯びることができる「磁性体」が塗られた円盤が収納されています。その磁性体が高速で回転し、搭載されている磁気ヘッドが移動することで、データを読み書きしていくことができるのです。
このHDDが誕生したのは1956年のこと。HDDが登場した当時は、高価でサイズが巨大だったため、大企業などで使用されていた汎用コンピューターのみに使われていました。しかし、HDDサイズの小型化と低価格が進行した1980年代にはパソコンに内蔵されるようになり、1990年代以降になるとパソコンにHDDを内蔵することがあたりまえとなりました。
そして、2000年代以降、HDDはパソコンのみならずテレビ番組を録画するためのハードディスクレコーダーや、「プレイステーション 3」「Xbox 360」といったゲーム機など、家電製品にも搭載されるようになりました。さらに最近では、外付けHDDを接続するだけで番組を録画できるタイプのテレビも数多く登場しています。このように、HDDは幅広い用途で使われるようになっているのです。
そのほか、LANに接続して使用する「NAS(Network Attached Storage)」というネットワークHDDもあります。元々、オフィスなどの業務で使用されることが多かったのですが、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなど、複数のデバイスを利用することが多くなったことで、ホームユースとしても普及しつつあります。
HDDを選ぶポイント
HDDは、大きく分けて「外付けHDD」と「内蔵HDD」の2種類があります。自分のパソコンのタイプやHDDの使い方に合わせて、いずれかを選びましましょう。
・内蔵HDD
内蔵HDDは、ある程度パソコンの知識がある人向けです。というのも、パソコン内のハードディスク用に空いている3.5インチベイ(※)に対して、内蔵HDDを取り付ける作業が発生してくるからです。それだけでなく、内蔵HDDを取り付けたあとに、HDDの設定やフォーマットも行う必要があります。また、現在主流となっているノートパソコンや、液晶ディスプレイ一体型などの省スペース型デスクトップパソコンは、その設計上、内蔵HDDを新たに取り付けることができないものもあります。
ただし、内蔵HDDは外付けHDDに比べて安価という良さがあります。また、パソコン内にHDDを内蔵するため、ケーブルやACアダプタが不要となり、デスクスペースを占有しないというメリットもあります。
自分で内蔵HDDを増設したり交換したりすることが不安な人に向けて、「HDD交換サービス」を行う業者も存在します。HDDの容量を増やしたいけれども、外付けHDDでスペースがとられるのが嫌という人は、サービスの利用を検討してみてもいいでしょう。内蔵HDDはこちら
※「ベイ」とは、パソコン本体の中にあるハードディスクやCD-ROMドライブなどを取り付けるために設けられたスペースのこと
・外付けHDD
外付けHDDは設置が簡単です。外付けHDDに付属しているUSBケーブルでパソコンに接続すれば、自動的に認識されてすぐに使えるようになります。パソコンの電源のオン・オフに連動してHDDの電源もオン・オフする機能が搭載されている物もあり、その場合は機器を外付けしているという感覚なく使うことができます。また、ポータブル型HDDの場合には、USBケーブル経由で給電されますので、別途ACアダプタを接続するわずらわしさもありません。外付けHDDはこちら
ただし、外付けHDDはあくまでパソコンに接続して使用する機器ですから、どうしてもHDDのサイズ分、デスクスペースを占有してしまうというデメリットもあります。
内蔵HDDの選び方
内蔵HDDは、サイズによってタイプが分かれており、おもにデスクトップパソコン用の3.5インチの物と、ノートパソコン用の2.5インチの物があります。
HDDは、磁気ヘッドが動きディスクが回転することでデータが記録されていきますが、その回転数によって、データの読み書き速度も変わってきます。HDDの回転速度は5,400rpm(5,400回転/分)と7,200rpm(7,200回転/分)の物がありますが、おもに7,200rpmのHDDはデスクトップパソコン、5,400rpmのHDDはノートパソコンで使われています。
もちろん、回転速度の値が大きいほうがデータの読み書き速度も向上するのですが、その代わりに消費電力と発熱量が大きくなるほか、駆動音も大きくなってしまうといったデメリットもあります。
内蔵HDDには回転速度のほか、パソコン本体とHDDとを接続するインターフェイスによってデータ転送速度が変わってきます。現在、主流となっている接続インターフェイスは「シリアルATA」という規格で、データ転送速度は1.5Gb/sとなっています。さらに、その2倍、または3倍のデータ転送速度を持つシリアルATAも存在します。
ただし、以前のパソコンの場合は、旧インターフェイスの「ウルトラATA」(最大転送速度133MB/s)しか対応していないものもあります。パソコン内での接続ケーブルも異なってきますので、古いパソコンを使用しているのであれば注意が必要です。
外付けHDDの選び方
外付けHDDには、3.5インチサイズのHDDを格納した「据え置き型」と、2.5インチサイズのHDDを格納した「ポータブル型」があります。どちらのタイプにもそれぞれメリット・デメリットがありますので、それを踏まえて選びましょう。
据え置き型は安価で大容量
据え置き型の最大のメリットは、容量あたりの単価が安く、2TB以上の大容量モデルがラインナップされています。
デメリットとしては、本体サイズが大きいため、設置スペースを取ってしまうことが挙げられます。また、ほとんどのモデルでACアダプタが必要になります。
ポータブル型は小型でノートパソコン向き
ポータブル型の最大のメリットは、サイズが小型なので狭いスペースでも設置ができたり、ノートパソコンといっしょに持ち歩いたりできることです。USBケーブル経由で給電できるタイプも多く、その場合にはACアダプタが不要になります。また、書き込まれるデータを暗号化して記録し、HDD自体にパスワードロックをかけられる「ハードウェア暗号化機能」を搭載したタイプもラインナップされています。ノートパソコンを持ち歩くことが多いユーザーにはおすすめです。
デメリットとしては、HDDの回転速度が5,400rpmのタイプが主流となっているため、データの読み書きは7,200rpmタイプに比べると遅めになることです。また、容量あたりの単価が、据え置き型と比べると割高となってしまうのもデメリットのひとつといえるでしょう。
HDDの便利な機能
そのほか、テレビ番組録画用としてHDDを使うのであれば、別のテレビで録画した番組を再生できる「SeeQVault(シーキューボルト)」という技術に対応したHDDがおすすめです。また、寝室などで使うためにHDDのファンの音が気になるようでしたら、ファンレスで放熱設計がされている静音設計タイプの外付けHDDもラインナップされています。
なお、外付けHDD全般の話となりますが、USB3.0という高速なデータ転送規格に対応したモデルを選ぶことがおすすめです。なぜなら、旧規格であるUSB2.0の最大データ転送速度が480Mbpsに対し、USB3.0の最大データ転送速度が5Gbps(5,000Mbps)と、スピードが大きく異なるからです。ただし、古いパソコンの場合、パソコン自体がUSB2.0までしか対応していない場合がありますので注意しましょう。
さらに、10GpbsというUSB3.0の倍の最大データ転送速度を誇る次世代モデル、USB3.1が登場。USB3.1では、上下の区別なく指すことができる新コネクタ「Type-C」を採用しています。なお、パソコンのポートがUSB3.1でも、従来のUSB製品の周辺機器を利用することが可能です。Mac製品で採用されているインターフェイス「Thunderbolt 3」は、データ転送速度が最大40Gpbsとなるなど、大幅な高速化が実現しています。
<各製品の機能対応表>
■据え置き型
製品シリーズ名 | SeeQVault対応 | USB3.0対応 | USB3.1対応 | Thunderbolt 3対応 | ファンレス静音設計対応 | Mac対応 | 備考 |
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SGD-NYUシリーズ(パソコン・テレビ録画両対応) | ○ | ○ | ○ | ||||
ELD-ERHUシリーズ | ○ | ○ | ○ | ひかりTV テレビサービス録画対応 | |||
ELD-QENUシリーズ(テレビ録画用) | ○ | ○ | ○ | ||||
2A69Pシリーズ | ○ | ○ | ○ | ○ | Mac向き | ||
STEW400シリーズ | ○ | ○ | ○ | Mac向き |
■ポータブル型
製品シリーズ名 | SeeQVault対応 | USB3.0対応 | USB3.1対応 | Thunderbolt 3対応 | ファンレス静音設計対応 | Mac対応 | 備考 |
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ELP-QENUシリーズ(テレビ・レコーダー録画用) | ○ | ○ | ○ | ||||
ELP-EKTUBKシリーズ | ○ | ○ | テレビ背面取付けキット同梱 | ||||
ELP-ZSUシリーズ | ○ | ○ | ○ | 耐衝撃モデル ZEROSHOCKシリーズ | |||
STET400シリーズ | ○ | ○ | ○ | Mac向き | |||
LCH-RGT3シリーズ | ○ | ○ | ○ | Mac向き |