
Wi-Fiを使用しているとき、「つながっているのに遅い」「急に遅くなった」と感じたことはないでしょうか。
在宅勤務や動画視聴、オンラインゲームなどインターネット通信を利用する生活が日常となった昨今、Wi-Fiの通信速度は快適なインターネット生活を左右する重要な要素です。
本記事では、Wi-Fiの通信速度が遅くなる原因と、遅くなったときの対処法について解説します。
Wi-Fiの通信速度の目安と調べ方

Wi-Fiの通信速度は主に、下記の「下り速度」「上り速度」「Ping値」という3つの指標で測定されます。
下り速度(ダウンロード速度) | Webサイト閲覧、動画視聴、アプリのダウンロードなどのスピードを表します。 |
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上り速度(アップロード速度) | 写真や動画の投稿、メール送信など、データをインターネットに送信する速度です。 |
ping値(応答速度) | サーバーとの通信の応答の速さを表す指標で、数値が低いほどラグが少なく、快適に操作できます。オンラインゲームやビデオ会議では重要な要素となります。 |
目安として、4K動画の視聴には20Mbpsの速度を維持することで快適に利用できるとされています。
インターネット速度は専用のWebサイトで簡単に測定できますが、時間帯や使用環境によって変動します。
そのため、これらの数値はあくまで目安としてとらえておきましょう。
速度測定については、無線LANの基礎知識にて詳しく解説しています。
サイトやアプリでWi-Fi(無線LAN)の速度測定をしてみよう!
Wi-Fiの通信速度が遅い原因と対策

こちらでは、Wi-Fiの通信速度が遅い原因と、遅いと感じたときの対策について解説します。
接続台数が多い
家庭内で複数の端末が同時にWi-Fiに接続していると、ルーターの処理能力が限界に達し、通信速度が低下します。
スマホ、パソコン、テレビ、スマートスピーカーなど多くのデバイスを利用するときや、家族や友達など複数人で利用するときに注意が必要です。
特に動画視聴やゲームなど、帯域を多く使う用途で同時接続をおこなうと通信速度への影響が大きくなります。
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対策:
不要な端末のWi-Fi接続を切ることで、通信負荷を減らすことができます。
また、Wi-Fi 7対応など最新のルーターに買い替えることで、同時接続に強くなり、速度低下を防ぐ効果が期待できます。 端末ごとの利用状況を確認し、必要に応じて制限をかけるのも有効です。
ルーターと利用端末の距離が遠い
Wi-Fiは無線のため、距離が遠くなると信号が弱まり、通信速度が落ちます。
特に別の階や壁を隔てた部屋などでは、ルーターの電波が届きにくくなります。
ルーターの電波は横および下方向に拡散される傾向にあるため、下の階では通信状態が良好でも、上の階では通信が遅くなりがちです。
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対策:
ルーターは家の中心部や、利用頻度が高い部屋に設置しましょう。
さらに中継器を設置することで、電波の届きにくい場所もカバーできます。 Wi-Fi 7では電波の飛距離も向上しているため、買い替えによる改善も検討しましょう。
ルーターの電波が遮られている
ルーターから発信される電波は、電子レンジや金属製の棚、壁などの障害物によってさえぎられると、通信品質が落ちます。
特に密閉されたテレビ台や壁の近くにルーターを置いていると、電波がうまく飛びません。
その結果、通信が不安定になることや、通信速度が落ちることがあります。
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対策:
ルーターの設置場所は、リビングやダイニングといった、なるべく開けた場所で、かつ、高い位置に設置することが理想です。
周囲に障害物がない場所に移動させるだけでも、速度が改善されることがあります。 また、床に直接置くのではなく、棚の上などに設置することをおすすめします。
ほかの機器との電波干渉が起きている
Wi-Fiは2.4GHzや5GHzといった周波数帯を利用しており、通信機器がその電波をキャッチすることでインターネットに接続します。
また、最新のWi-Fi 6EやWi-Fi 7に対応した機器であれば、干渉の少ない6GHz帯の利用も可能となり、より安定した通信が期待できます。
Bluetooth機器や電子レンジなどが同じ周波数を使っていると、干渉が発生して通信が不安定になることがあります。
その際、Wi-Fiだけではなくそれぞれの機器でも不具合が起きる可能性があります。
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対策:
干渉を避けるために5GHz帯を使用できる機器であれば、そちらに切り替えてみましょう。
5GHzは2.4GHzよりも干渉に強く、より高速な通信が可能です。 また、Bluetooth機器を一時的にオフにする、電子レンジを使っている時間帯を避けるなども効果的です。
通信障害が発生している
インターネットプロバイダー側で通信障害やメンテナンスが発生している場合、ユーザー側では対処できません。
一時的に回復することもありますが、トラブルの内容によっては長時間Wi-Fiを使えないことがあります。
一般的には、設備の不具合やトラフィックの増大、自然災害などによるトラブルが考えられます。
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対策:
プロバイダー側が原因の通信障害が発生した場合、SNSやホームページでアナウンスされることがあるため、確認してみましょう。
障害が報告されていない場合でも、念のため回線終端装置(ONU)とルーターの再起動を試してみてください。 障害が頻繁に発生する場合は、プロバイダーの変更を検討するのもひとつの方法です。
回線が混雑している
インターネット回線は共有型が多く、多くの人が一斉にアクセスする時間帯は通信速度が低下しやすくなります。
特に、多くの人がWi-Fiを利用する夕方ごろの時間帯はインターネットの通信速度が遅くなりがちです。
一方、深夜や早朝など、利用者数が少ない時間帯は回線が混雑していないため、インターネットを快適に使えます。
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対策:
時間帯の違いによる通信速度の遅延は、混雑する時間帯を避けて利用することが基本的な対策です。
可能であればIPv6接続に対応したプランに変更することで、混雑の影響を受けにくくなる可能性があります。 現在の契約内容を確認し、必要に応じてプロバイダーに相談しましょう。
通信制限がかかっている
モバイルルーターや一部のインターネットサービスでは、一定の通信量を超えると速度制限がかかる場合があります。
特に大容量の動画視聴やオンラインゲームを長時間おこなうと、上限に達しやすくなります。
ホームルーターやポケットWi-Fiなどに設定されていることが多く、使用量はインターネット上で確認する必要があります。
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対策:
通信量の上限があるサービスを利用している場合は、利用状況の見直しが必要です。
必要に応じて、上位プランへの変更や無制限プランへの切り替えを検討しましょう。
また、データ量の大きなアプリの自動更新をオフにするなど、日常のデータ管理も重要です。
ルーターに不具合が発生している
長期間使用しているルーターは、内部の部品が劣化したり、ソフトウェアに不具合が生じていたりすることがあります。
ルーターは常に稼働しており、機械である以上不具合が発生する可能性はゼロではありません。
また、長時間の連続使用によって熱がこもり、パフォーマンスが低下する場合もあります。
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対策:
まずはルーターを再起動してみて、それでも改善されない場合はファームウェアの更新を試みてください。
ファームウェアの更新方法は、各メーカーの公式サイトで確認できます。 また、最新の製品では速度や安定性が向上しているため、使用年数が5年以上の場合は買い替えを検討しましょう。
Wi-Fiの通信速度が遅い場合はルーターの買い替えも検討しよう
本記事では、Wi-Fiの通信速度が遅くなる原因と、遅くなったときの対処法について解説しました。
下記は、Wi-Fiの通信速度が遅くなる原因と対策です。
- 接続台数が多い:不要な通信機器の接続を切る
- ルーターと利用端末の距離が遠い:利用頻度が高い部屋に設置する、中継器を設置する
- ルーターの電波がさえぎられている:開けた場所や高い位置に設置する
- ほかの機器との電波干渉が起きている:5GHzに切り替える
- 通信障害が発生している:プロバイダーの復旧を待つ
- 回線が混雑している:混雑する時間帯を避ける
- 通信制限がかかっている:プランを切り替える、自動更新をオフにする
- ルーターに不具合が発生している:再起動してみる
ルーターの技術は日々向上しているため、通信速度が遅いと感じたときは買い替えも検討しましょう。