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2026.10.20

マイナンバーカードでの本人確認|企業の実務での使いどころ

マイナンバーカードでの本人確認|企業の実務での使いどころ

「本人確認書類としてマイナンバーカードを提示されたが、何を確認して、何を控えてはいけないのか分からない」——人事や契約実務の担当者から、こうした戸惑いの声が出ることは少なくありません。運転免許証と同じ感覚で扱ってよいのか、それとも別の注意点があるのか。実は多くの担当者が、正確に説明できないまま運用しています。

理由ははっきりしています。マイナンバーカードは、氏名・住所・生年月日・顔写真が記載された本人確認書類であると同時に、券面に記載された「個人番号(マイナンバー)」を含むカードでもあります。本人確認のために提示を受けることと、マイナンバーそのものを収集・保管することは、法律上まったく別の行為です。この違いを理解しないまま運用すると、意図せず番号法(マイナンバー法)に抵触する扱いをしてしまう恐れがあります。

この記事では、契約実務・人事労務・営業窓口でマイナンバーカードを使った本人確認を扱う企業担当者に向けて、実務での使いどころと注意点を整理します。扱うのは次の3点です。

  • マイナンバーカードでできる「券面確認」と「電子的な本人確認」の違い
  • 企業実務でマイナンバーカードが使われる具体的な場面
  • 個人番号の収集・保管に関する法律上の注意点

マイナンバーカードによる本人確認は2種類ある ― 券面確認と電子的な確認

窓口担当者がマイナンバーカードの券面を確認する様子

マイナンバーカードを使った本人確認には、目視で券面を確認する方法と、ICチップを読み取って電子的に確認する方法の2種類があります。両者は確認の厳密さも、必要な機器も異なります。

券面確認は、対面窓口で氏名・住所・生年月日・顔写真を目視で照合する、従来型の本人確認書類の使い方です。運転免許証やパスポートと同様に、犯罪収益移転防止法(犯収法)上の取引時確認においても、写真付きの本人確認書類として単独で使用できます。特別な機器を必要としない反面、確認の精度は担当者の注意力に依存します。

電子的な確認は、公的個人認証サービス(JPKI)を使い、ICカードリーダーでカードのICチップを読み取って、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が管理する仕組みを通じて本人性を検証する方法です。券面の偽造や変造を見抜く負担が減り、電子署名を伴う契約手続きなどでは、対面確認より高い信頼性が求められる場面で使われます。ICカードリーダー自体の選び方や、接触式・非接触式の違いについては、別記事「ICカードリーダーの選び方|接触・非接触と対応OSの確認点」で機器選定の観点から整理しているので、電子的な確認の導入を検討する場合はあわせて確認してください。

確認方法 必要な機器 主な利用場面
券面確認 不要(目視) 対面窓口での簡易な本人確認、取引時確認
電子的な確認(JPKI) ICカードリーダー、対応ソフトウェア 電子契約、電子申請、より厳格な本人確認が必要な手続き
券面確認と電子的な確認(JPKI)の2つの本人確認フローを対比する図

企業実務での使いどころ ― 取引時確認・雇用時確認・電子契約

企業で使う場面は、大きく3つです。

(1) 犯収法に基づく取引時確認

金融機関や一部の事業者は、口座開設や一定額以上の取引の際に、犯収法に基づく本人確認(取引時確認)を行う義務があります。マイナンバーカードは、この取引時確認において単独で使える本人確認書類の一つです。オンラインで完結させる場合は、ICチップの読み取りによる「eKYC」の一方式として使われることもあります。

(2) 雇用契約・入社手続きにおける本人確認

入社時の本人確認では、マイナンバーカードの券面を確認して身元を確かめる一方、税や社会保険の手続きに必要な個人番号は、別途「個人番号の提供」という扱いで受け取る必要があります。この2つを混同し、本人確認のために提示を受けたカードの番号までコピーして保管してしまうと、後述する番号法上の問題につながりかねません。

(3) 電子契約・電子申請での本人性確認

契約の締結や行政手続きの電子申請で、なりすましを防ぐために公的個人認証サービスを使う企業も増えています。この場合はICカードリーダーでの読み取りが前提になるため、社内のどの端末で、どの業務に使うかを事前に整理しておく必要があります。電子申請・電子契約でICカードリーダーを使う場合に確認すべき要件は、別記事「電子申請・電子契約で使うICカードリーダー|要件と選定」で扱っているので、導入を検討する部署は参考にしてください。

企業の本人確認業務でマイナンバーカードが使われる3つの場面を示す図

個人番号の収集・保管に関する注意点 ― 「本人確認」と「番号取得」を分けて考える

本人確認と個人番号取得の違いを対比する図

ここが企業実務で最も誤解されやすい点です。マイナンバーカードを本人確認書類として提示してもらう行為と、カードに記載された個人番号(マイナンバー)を取得・保管する行為は、法律上の位置づけが異なります。

番号法では、個人番号を収集・保管できる場面が、税や社会保険の手続きなど法律で定められた目的に限定されています。本人確認のためだけにカードの提示を求める場合、担当者が確認すべきは氏名・住所・生年月日・顔写真であって、個人番号そのものを書き写したり、コピーをそのまま保管したりする必要は本来ありません。逆に、雇用保険や源泉徴収の手続きのように個人番号の提供を受ける法的根拠がある場合は、その目的の範囲でのみ取得・保管が認められます。

実務上は、次のように整理しておくと運用がぶれにくくなります。

  • 単なる本人確認(取引時確認、来訪者確認など)では、個人番号部分を記録・保管しない運用を徹底します
  • 個人番号の提供を受ける必要がある手続き(税・社会保険関係)では、法律上の利用目的を明確にしたうえで取得します
  • 電子的な確認(JPKI方式)を使う場合は、読み取る情報の範囲がシステム側でどう制御されているかを確認します

この整理は制度上の解釈にかかわる部分でもあるため、社内規程を整備する際は、デジタル庁や個人情報保護委員会が公表している資料を一次情報として確認しながら進めるのが確実です。

エレコムのICカードリーダー関連製品

エレコムは、マイナンバーカードの読み取りに対応した接触型・非接触型のICカードリーダーを法人向けに展開しています。電子的な本人確認や電子契約の導入を検討する部署に向けて、既存システムとの接続構成についても相談に応じています。

項目 内容
製品カテゴリ 接触型・非接触型ICカードリーダー
対応範囲 マイナンバーカード読み取り対応機種(詳細は製品ページで確認)
導入相談 契約・人事システムとの接続構成についての相談

よくある質問

Q1. 本人確認のためにマイナンバーカードのコピーを取ってもよいですか。

慎重な判断が必要です。単なる本人確認の目的でも、コピーには個人番号部分が写り込みます。番号法の趣旨を踏まえると、本人確認の記録として残す場合は個人番号部分を復元できない形でマスキングするなどの対応が現実的です。具体的な運用は、個人情報保護委員会やデジタル庁の公表資料、必要に応じて社内の法務担当者に確認してください。

Q2. マイナ免許証との違いはありますか。

マイナ免許証は、運転免許証の情報をマイナンバーカードのICチップに搭載する制度で、2025年3月24日から開始されています。マイナンバーカード自体の本人確認の仕組みとは別に、運転免許証としての機能が加わる形になります。マイナ免許証への対応で現場が変わる点は、別記事「マイナ免許証への対応|2025年開始で現場が変わる点」で扱っているので、運転免許証の確認業務がある部署は参考にしてください。

まとめ ― 「確認」と「取得」を分けて運用すれば実務は難しくない

マイナンバーカードによる本人確認は、券面を目視で確認する方法と、ICカードリーダーを使って電子的に確認する方法の2つがあり、どちらを使うかは求められる確認の厳密さで決まります。企業実務でつまずきやすいのは機器の話よりも、本人確認と個人番号の取得を混同してしまう点です。

  • 券面確認と電子的な確認(JPKI)の使い分けを、業務ごとに整理しておきます
  • 取引時確認・雇用手続き・電子契約という3つの主要な利用場面を把握します
  • 「本人確認のための提示」と「個人番号の適法な取得」を明確に分けて運用します

電子的な確認の導入を検討する段階になったら、ICカードリーダーの機種選定と社内規程の整備を並行して進めるのが実務的です。

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