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2026.10.20

PCのキッティングを効率化する|台数が増えても回る手順

PCのキッティングを効率化する|台数が増えても回る手順

4月の入社シーズン、あるいは拠点新設のタイミングで「来週までに30台セットアップしてほしい」と言われた経験はないでしょうか。1台なら1時間で終わる作業も、30台になれば単純計算で30時間。確認作業や個体差対応を含めると、実際にはもっとかかります。しかも情シス担当者は、日々の問い合わせ対応や既存システムの保守と並行して、この作業を進めなければなりません。

台数が増えるほど問題になるのは、作業時間そのものより「手順のばらつき」です。担当者Aがやると30分で終わる設定が、担当者Bだと1時間かかります。どちらが正しいのか、誰も検証していません。結果として、新人が増えたときに教育コストがかさみ、繁忙期はいつも同じ人に負荷が集中します。

この記事では、台数が増えても破綻しないキッティングの進め方を、次の3点に分けて整理します。

  • キッティング作業を工程ごとに分解し、ボトルネックを特定する方法
  • 手順の標準化とツール活用で作業時間を圧縮する具体的な考え方
  • 台数・拠点数が増えたときに外部サービスへ切り替える判断基準

キッティング作業を「工程」に分解すると、どこが重いかが見える

キッティングが重く感じるのは、作業全体をひとかたまりで捉えているからです。実際には、(1)開梱・初期設定、(2)OSアップデートとドライバ適用、(3)業務アプリのインストール、(4)セキュリティソフトや資産管理エージェントの導入、(5)ネットワーク・プリンタ等の周辺設定、(6)動作確認とラベリング、という6つ程度の工程に分かれます。

このうち、時間を最も食うのはどこか。体感と違って、多くは「作業」ではなく「待ち時間」です。OSアップデートのダウンロードとインストールは、1台あたり20分から40分ほどかかることも珍しくありません。その間、担当者の手は空きます。勝負は待ち時間の使い方です。この間に何台を並行処理できるかが、キッティング全体の所要時間を左右します。

台数別の大まかな目安は次のとおりです。

台数 想定される課題 対応の方向性
1〜5台 手作業でも十分対応できる 手順書があれば個人差は出にくい
10〜30台 並行作業の組み方で所要時間が大きく変わる 工程の標準化とマスタイメージ活用を検討
30台以上 手作業のみでは繁忙期に他業務を圧迫する 自動化ツールや外部委託の併用を検討

台数が増えるほど、「1台ずつ丁寧に」から「まとめて効率的に」への発想の転換が必要になります。ここを変えないまま台数だけが増えると、担当者が疲弊し、確認作業が雑になってミスが増えます。悪循環です。

PCキッティングの作業工程を6段階に分解したフロー図

標準化とツール活用で、作業時間は圧縮できる

圧縮の近道は、マスタイメージの作成と手順書の整備です。全社共通の設定を1台のPCに作り込み、それをディスクイメージとして複製する方式を使えば、OS更新やアプリインストールを1台ずつ繰り返す必要がなくなります。部署ごとに異なるアプリが必要な場合も、共通部分をイメージ化し、差分だけを個別対応にすれば作業量は大きく減ります。

マスタイメージから複数PCへ複製する流れを示す図解

手順書は、担当者の頭の中にある手順を文字にするだけでも効果が出ます。ただし、書いたら終わりにはなりません。別の担当者がそれだけを見て作業できるかを実際に試して、ようやく完成です。この検証を飛ばすと、結局「わかっている人に聞かないと進まない手順書」ができあがります。手順書の作り方や引き継ぎの仕組みについては、別記事「情シスの属人化を解消する|引き継げる運用ドキュメントの作り方」で詳しく扱っているので、あわせて確認してください。

キッティングと同時に済ませておきたいのが、資産情報の登録です。シリアル番号、購入日、配布先、初期設定日をこのタイミングで記録しておかないと、後から棚卸しをするときに「このPCは誰が使っているのか」がわからなくなります。資産管理をExcelで始めている企業がぶつかる壁については、別記事「IT資産管理の始め方|Excel管理から抜け出す最初の一歩」で整理しています。資産登録を工程に組み込めば、二度手間は避けられます。

最低限のチェック項目を挙げておきます。

  • マスタイメージに含める共通設定と、部署ごとの差分設定を切り分けているか
  • 手順書は「担当者以外」が読んでも再現できる粒度になっているか
  • キッティングと同時に資産台帳への登録を済ませる運用になっているか
  • 周辺機器(マウス、キーボード、モニタなど)の型番がばらついていないか

周辺機器の型番がバラバラだと、キッティングのたびにドライバの確認や設定手順が変わり、標準化の効果が薄れます。この点は別記事「周辺機器の標準化|バラバラな機器が情シスを消耗させる」で扱っているので、キッティング業務の見直しとあわせて検討する価値があります。

情シス担当者が複数台のPCを並行してキッティングしている様子

台数・拠点が増えたら、外部委託やリモート管理の併用を検討する

自社の情シス人員だけで対応しきれない規模になったら、外部委託やリモート管理ツールの併用を検討する段階です。目安として、繁忙期に月30台を超えるキッティングが発生する、あるいは複数拠点に同時配布する必要がある場合は、社内リソースのみでの対応が業務全体を圧迫し始めます。

外部委託を使う場合も、品質を左右するのは、標準化した手順書とマスタイメージを委託先に渡せるかどうかです。手順が言語化されていない状態で外部委託すると、委託先ごとに仕上がりがばらつき、結局は自社での確認作業が増えてしまいます。

拠点が離れているなら、配布後の運用も考えておきます。現地に情シス担当者がいない拠点にPCを配布する場合、初期設定の段階でリモート管理ツールを導入しておけば、その後のトラブル対応や資産の可視化がしやすくなります。拠点PCの運用体制については、別記事「遠隔地のPCを管理する|拠点に情シスがいない会社の運用」で具体的に取り上げています。

複数拠点へのPC配布とリモート管理の連携を示す図解

エレコムのIT資産管理・情シス運用関連サービス

エレコムは、法人向けにPCの遠隔管理・資産管理・キッティング支援を行うクラウドリモート管理サービス「AdminLink」を提供しています。キッティング時の初期設定から、配布後の資産管理・トラブル対応までを一つの管理画面でカバーできる点が特徴です。仕様や対応範囲の詳細は製品ページで確認できます。

項目 内容
製品カテゴリ クラウドリモート管理サービス
対応範囲 PCの遠隔管理、IT資産管理、キッティング支援
想定利用シーン 新規導入時の一括セットアップ、複数拠点への配布、資産台帳の一元管理

まとめ ― キッティングは「作業」ではなく「仕組み」で乗り切る

台数が増えたときにキッティングが破綻するかどうかは、担当者の頑張りではなく仕組みの有無で決まります。工程を分解してボトルネックを特定し、マスタイメージと手順書で標準化し、資産登録を同時に済ませます。この3点を押さえておけば、台数が2倍になっても作業時間は2倍にはなりません。

繁忙期に社内リソースだけでは足りないと感じたら、外部委託やリモート管理ツールの導入を早めに検討したいところです。特に複数拠点への配布が絡む場合は、キッティングの段階から配布後の運用まで見据えて設計しておくと、後からの手戻りを防げます。

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