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2026.09.28

アクセスポイントの設置台数と配置|フロア図から必要数を見積もる

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アクセスポイントの設置台数と配置|フロア図から必要数を見積もる

「フロア面積を坪数で割って、1台あたり何坪、だから何台」----この計算だけでアクセスポイントの台数を決めると、たいてい会議室と休憩スペースで電波が弱くなります。台数を決める本当の基準は面積ではなく、そのエリアで同時にWi-Fiを使う端末の数と、什器や壁が電波をどれだけ遮るかです。

見積もりを甘くすると起きることは決まっています。朝礼や全体会議の時間帯だけ社内Wi-Fiが重くなります。特定の会議室だけ動画が止まります。逆に「念のため」で台数を増やしすぎると、隣接するアクセスポイント同士が同じチャネルを取り合い、かえって速度が落ちます。台数は、多すぎても少なすぎても困ります。

この記事は、これからオフィスや店舗のアクセスポイント台数を見積もる担当者に向けて、フロア図をもとに必要数を割り出す具体的な手順を示します。扱うのは次の3点です。

  • 1台のアクセスポイントが実務上カバーできる範囲と同時接続数の目安
  • フロア図から必要台数を逆算する計算の考え方
  • 配置でありがちな失敗と、その回避策

台数は「面積」ではなく「同時接続数」から逆算する

必要台数を決める起点は、「そのエリアで同時にWi-Fiへつながる端末の数」です。1台のアクセスポイントが安定して処理できる同時接続数には、上限があります。超えたら、台数を増やすしかありません。

家庭用ルーターの延長で考えると、1台で数十台つながるように見えるカタログ値に引っ張られがちです。しかし、法人向け機器の「同時接続可能台数」は理論値です。動画会議やクラウドツールを同時に使う実務環境で快適に動く台数は、それより少なくなります。実務での目安としては、1台あたり20〜30台程度を上限の目線に置き、それを超える人数が集まるフロアやエリアでは台数を分けて設計するのが安全です。会議室でノートPC・スマートフォン・会議用モニタが同時に接続することを忘れて「人数分」だけで計算すると、想定より接続数が膨らむ点にも注意したいところです。

計算の順番は次のとおりです。

1. フロアを利用目的別のエリア(執務室、会議室、休憩室、応接など)に分割します

2. エリアごとに「同時にWi-Fiを使う端末数」を見積もります(人数×1人あたりの平均接続台数)

3. 端末数を1台あたりの上限接続数(20〜30台目安)で割り、必要台数を出します

4. 電波が届きにくい壁・金属什器のあるエリアには、この台数に1台上乗せします

面積だけで計算した台数と、この方法で出した台数がずれたら、後者を優先します。手戻りが少なく済みます。

エリア別に同時接続数から必要台数を計算する手順を示す図

電波の届く範囲は「壁」と「什器」で変わる

カタログに書かれた通信距離は、障害物のない環境で測った数値です。実際のオフィスでは壁、金属製のキャビネット、エレベーターシャフトが電波を弱め、カタログ値の半分程度しか届かないことも珍しくありません。

コンクリート壁は特に減衰が大きく、1枚通過するだけで電波強度が大きく落ちます。石膏ボードのパーティションはそれより影響が小さいですが、複数枚重なれば無視できません。金属製のロッカーやサーバーラックの近くにアクセスポイントを置くと、電波が反射・遮断されて特定方向だけ弱くなる現象も起きます。工場のように金属や粉塵が多い現場での設計は、通常のオフィスとは前提が変わるため、別記事「工場のWi-Fi環境構築|金属・粉塵・電波干渉のある現場での設計」で個別に扱っています。

フロア図に配置を落とし込む際は、次の点を確認します。

確認項目 見るポイント
壁の材質 コンクリート・鉄骨は減衰大、石膏ボードは中程度
金属什器の位置 ロッカー・キャビネットの近くを避ける
天井の高さ 天井が高い開放エリアは電波が拡散しやすい
電波干渉源 電子レンジ、他社Wi-Fi、Bluetooth機器の密集エリア
設置高さ 床から2.5〜3メートル程度が目安、天井裏への埋め込みは減衰に注意

配置は「等間隔に並べる」のではなく、障害物を避けながら死角ができないよう互い違いに配置するのが基本になります。

壁の材質や金属什器によって電波の届く範囲が変わることを示す図

配置でありがちな失敗と、その回避策

台数を正しく見積もっても、配置を誤ると効果は出ません。ここでは実際によく起きる3つの失敗を挙げます。

(1) 隣接するアクセスポイント同士が同じチャネルを使う

台数を増やしたのに、速度が改善しない。そんなときに真っ先に疑うべきは、チャネルの重複です。近接する機器が同じ、または近いチャネルを使うと電波が干渉し合い、双方の実効速度が落ちます。これは台数を増やしても解決しない、設定の問題です。切れる・遅いといった症状の原因の切り分け方は、別記事「オフィスのWi-Fiが遅い・切れる原因と対処|担当者が最初に見る5項目」で具体的に整理しています。

アクセスポイントのチャネル重複による電波干渉と改善後の状態を対比する図

(2) 一等地に固めて配置し、奥の部屋が手薄になる

エントランス近くや役員室周辺にアクセスポイントを集中させ、奥の会議室やバックヤードが手薄になるケースは多いです。フロア図を描いた段階で、利用頻度の高いエリアと死角になりやすいエリアの両方を洗い出しておく必要があります。

(3) 有線バックホールの配線を後回しにする

無線で電波を飛ばすアクセスポイントも、ネットワークへは有線LANでつなぎます。設置場所を先に決めてから配線の可否を確認すると、思わぬ場所に配線工事が発生します。給電と配線をまとめて減らす方法については、別記事「PoE給電とは|アクセスポイント・カメラの電源工事を減らす仕組み」で扱っています。台数が10台を超える規模になると、個別の機器を手動で管理するのは非現実的になるため、その場合は「無線LANコントローラは必要か|台数と拠点数で決める管理方式」もあわせて確認しておきたいところです。

天井にアクセスポイントを設置しLANケーブルを配線する作業員

エレコムの法人向け無線LAN製品・ソリューション

エレコムは、法人向けの無線LANアクセスポイントや、複数拠点・複数台構成に対応したネットワーク機器を取り扱っています。台数の見積もりから配置の相談まで、規模に応じた構成を検討できます。

項目 内容
製品カテゴリ 法人向け無線LANアクセスポイント(Wi-Fi 6/6E/Wi-Fi 7対応モデル)
対応範囲 同時接続数・設置環境に応じた機種選定の相談(詳細は要問い合わせ)
関連機能 PoE給電対応、複数台の一元管理に対応したモデルを用意

よくある質問

Q1. 台数を増やせば増やすほどWi-Fiは速くなりますか。

そうとは限りません。同時接続数に対して台数が不足している場合は増設で改善しますが、すでに十分な台数がある状態でさらに増やすと、チャネルの干渉が増えて逆に不安定になることがあります。増設前に、現状のどのエリアで、どの時間帯に接続が集中しているかを確認したほうが確実です。

Q2. 賃貸オフィスで壁に穴を開けずに配線したい場合はどうすればよいですか。

天井裏の配線スペースやモール(配線カバー)を使う方法、あるいは有線配線が難しい場所限定でメッシュWi-Fi構成を使う方法があります。いずれもフロアの原状回復条件に関わるため、契約内容を確認したうえで工事業者に相談するのが現実的です。

まとめ ― フロア図を描いてから台数を決める

アクセスポイントの必要台数は、エリアごとの同時接続数と障害物の状況から逆算します。面積の割り算で決めないための手順を、あらためて並べておきます。

  • フロアを利用目的別に分割し、エリアごとの同時接続数から台数を計算します
  • 壁の材質・金属什器・干渉源を確認し、カタログ値どおりに電波が届くと考えません
  • チャネル設計と配線計画を、台数決定と同時に検討します

見積もりの段階でここまで整理しておけば、設置後に「思ったより電波が届かない」という手戻りは大きく減らせます。規模が大きく判断に迷う場合は、早めに相談窓口を頼るのも一つの手です。

※法人様向け「導入ご相談 / 製品・サービスの販売」以外の
お問い合わせは、回答致しかねますのでご了承ください。

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