
加湿器が必要なのは冬だけじゃない!季節別の活用法

冬場の乾燥対策として使われる加湿器。使い始めるタイミングやしまうタイミングは、毎年悩むところではないでしょうか。それを判断するには、加湿器を使う目的を正しく知っておくことが必要です。
ここでは、加湿が必要な理由と目安となる湿度設定のほか、加湿器をしまう際のポイントを紹介します。
加湿器は一年中出番がある

加湿器を使用する時期は、10~3月頃が一般的です。
住んでいる場所によって時期は異なりますので、一概に「◯月からと」はいえませんが、寒さを感じ始めたら使い、暖かくなり始めたらしまうのが基本です。
寒くなると加湿器をつけたほうが良い理由は、「寒いと空気が乾燥するから」です。
空気に溶け込める水蒸気の量の最大値である「飽和水蒸気量」は、空気の温度によって決まっており、温度が高いほど多く、温度が低いほど少なくなります。冬場は気温が低い分、飽和水蒸気量が非常に少なく(空気中の水分が少なくなる)なりますので、乾燥してしまうのです。
冬はエアコンの暖房により乾燥が進む
冬場はただでさえ乾燥しやすいわけですが、これにエアコン暖房が加わると、さらに乾燥が進んでしまいます。
エアコン暖房は、空気を直接温めることで部屋の温度を上げています。部屋の温度が上がり、飽和水蒸気量が上がっても空気中の水蒸気の量は変わらないので、相対的に部屋の湿度が下がってしまうのです。

湿度の計算式
湿度(%)=空気1立方メートル中に含まれている水蒸気の量/その気温における空気1立方メートル中の飽和水蒸気量×100
夏場のオフィスもエアコンで乾燥しやすい
エアコンによる乾燥は、夏場のオフィスや自宅でも起こります。
エアコン冷房は、部屋の空気から熱を取って外へ放出することで室内の温度を下げています。ただし、熱を外に放出する際に、空気中の水分もいっしょに放出してしまいます。その結果、空気中の水蒸気量が少なくなり、乾燥してしまうのです。
加湿器は乾燥・花粉対策になる
加湿器は、乾燥しすぎた室内の空気を調整し、快適な湿度に保つために使います。ですから、冬場だけでなく、夏場にエアコンの効いたオフィスの乾燥問題を解決する際にも使えます。
また、加湿器を使って湿度を上げると鼻の粘膜の保護になりますし、空気中に飛散しているほこりや花粉を水分で落とすこともできるので、花粉症対策にもなります。
なぜ加湿が必要なのか?

「冬になると喉が痛い」「肌がカサカサになる」といった経験からわかるように、湿度が低いと人体にさまざまな悪影響をもたらします。乾燥がもたらす健康面への影響には、例えば次のようなものが挙げられます。
皮膚のかゆみ、むくみ、関節の痛みが発生する
空気が乾燥していると、たとえ汗をかかなくても体の水分がどんどん失われていきます。水分補給が間に合わないと水分が不足し、皮膚のかゆみや体のむくみ、関節の痛みなどが発生することがあります。

風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
空気が乾燥していると、口や鼻の粘膜も乾きやすくなるため、体の防御機能が落ちてしまいます。また、花粉やウイルスが飛散しやすくもなるので、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
髪や肌にトラブルが起こりやすくなる
空気が乾燥していると、肌を保護する天然のクリームである、皮脂や汗の分泌量が減ってしまいます。さらに、乾燥した空気により、髪や皮膚から水分が失われることで、髪がパサついたり、肌が荒れたりする原因になります。
うまく加湿されないのは置き場所が原因のことも

加湿器をつけているのに部屋が乾燥ぎみだと感じるとき、加湿器の設定湿度を上げたとしても問題は解決しません。加湿器をつけているのに乾燥が解消されない原因は、ほとんどの場合、加湿器の置き場所が悪く、せっかく放出された水蒸気がすぐに外に出ていくか、冷たい空気で冷やされて結露してしまうことにあるからです。
例えば、加湿器を窓の近くに置いている場合、加湿器から放出された水蒸気はすぐに窓辺で冷やされて窓の結露になってしまい、うまく部屋中に広がっていきません。また、暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ行くので、水蒸気の吹き出し口を床近くに設置した場合も同様のことが起こり、床に結露が増えるばかりでなかなか部屋全体の湿度は上がらないのです。
部屋の湿度を効果的に上げるためには、加湿器の置き場所に気を付ける必要があります。できれば部屋の真ん中、またはエアコンの吸込口の近くに置くのが理想ですが、難しい場合は以下のような場所を避けて設置してください。
加湿器を置いてはいけない場所
・壁際や電化製品の近く
・出入り口の近くや換気扇の真下
・窓の近く
・エアコンの風が直接あたる場所
・紙類の近く
・加湿器の水蒸気吹き出し口が床から30cm以内の高さになる場所
加湿器のしまい方

加湿器をしまう際は、タンクとフィルターをきれいに洗い、やわらかい布で拭いてからよく乾かします。カバーも外して、やわらかい布で汚れを拭き取っておきましょう。
水垢などの汚れがひどい場合やにおいが気になる場合は、クエン酸水に30分から2時間ほどつけ置き洗いをするのが効果的です。クエン酸水は、薬局などで販売している粉末状のクエン酸を水で溶かして準備します。
加湿器は、季節に関係なく乾燥対策として使うのがおすすめ
加湿器は冬場の乾燥対策としてだけでなく、夏の冷房による乾燥や花粉対策としても役立ちます。
適切な湿度を保つことは風邪やインフルエンザ、乾燥肌、枝毛などの予防にもなりますので、季節に関係なく「乾燥しているな」と感じたら加湿器を使ってみてください。
ただし、湿度が40%以下になるとウイルスが活発化する一方で、60%を超えると今度はカビやダニが繁殖しやすくなりますので、加湿のしすぎにも注意しましょう。