モバイルバッテリー選び
の役立つ基礎知識11(全12回)
USB Power Delivery(PD)対応モバイルバッテリーとは?特徴と選び方を紹介
外出先でスマートフォンを使うことが多い人にとって、今や必須アイテムとなったモバイルバッテリー。ビジネスでもプライベートでも、モバイルバッテリーで充電する際は、できるだけ高速に充電したいものです。モバイルバッテリーで急速充電が可能な規格としては、USB Type-Cで採用されている最新の給電規格「USB Power Delivery(PD)」があります。
ここでは、USB Power Deliveryについての基礎知識や、USB Power Delivery対応のモバイルバッテリーの選び方についてご紹介しましょう。
USBポートを利用した給電規格「USB Power Delivery(PD)」の特徴
スマートフォンを充電する際は、USBポートを利用することが主流です。USB Type-Cで使える給電規格のUSB Power Delivery(PD)は、最大100Wまでの電力供給が可能となっています。まずは、USB Power Deliveryの特徴について見ていきましょう。
急速充電が可能
USB Power Deliveryを使うと、急速充電が可能です。これは、USB Type-Cにある「CC(Configuration Channel)」という信号ラインにUSB Power Delivery対応充電器に機器が接続されると、デバイス同士で情報交換が行われ、充電器側で最適な急速充電の電力が選択されるからです。

さまざまな機器に給電できる
急速充電以外のUSB Power Deliveryのメリットとしては、ACアダプタの共通化が挙げられます。USB Power Deliveryでは、USB Type-C端子から5V、9V、15V、20Vの4つの電圧に対応した電力を供給できます。そのため、スマートフォンだけでなく、Nintendo Switchや大容量の給電が必要なノートPC、液晶モニターなど、さまざまなデバイスへの給電が可能です。
これまでは、それぞれの機器に対応したACアダプタが必要だったのが、USB Power Deliveryでの充電に対応した機器なら、1つに共通化できるのです。

双方向に電力の供給が可能
USB Power Deliveryに対応しているUSB Type-Cのケーブルは、双方向に電力供給ができる仕様となっています。これは、「ロールスワップ」という機能で、電力の供給側と受給側をスワップ(入れ替え)する際に活かされます。
例えば、ノートPCに液晶ディスプレイをつないだ場合を考えてみましょう。ノートPCにACアダプタがつながっていて、ディスプレイにACアダプタがつながっていなければ、ノートPCからディスプレイに給電されます。反対に、ノートPCにACアダプタがつながっておらず、ディスプレイにACアダプタがつながっていれば、ディスプレイからノートPCへと給電されるのです。

ケーブルもUSB Power Deliveryに対応している必要がある
USB Power Deliveryにも注意点はあります。それは、接続するケーブルが必ずUSB Power Delivery対応のケーブルでなければいけないことです。
USB Type-Cのケーブルだからといって、USB Power Delivery対応のケーブルとは限りません。USB Power Deliveryを利用する際には、この点を必ず確認するようにしましょう。
USB Power Delivery(PD)対応モバイルバッテリーの選び方

「使用に問題はないが、もっと高性能な製品を買ったから捨てる」ということはたくさんあります。そこで、USB Power Delivery対応モバイルバッテリーを選ぶ際に、何を基準にして、どこに注意すればいいのかをご紹介しましょう。
どのデバイスを充電したいのかを決める
USB Power Deliveryは、大容量の電流を給電できるのがメリットです。また、電圧も5V、9V、15V、20Vの4つに対応しているので、スマートフォンだけでなく、Nintendo Switchやタブレット、ノートPCなど、さまざまなデバイスに使用可能です。USB Power Delivery対応モバイルバッテリーを購入する際は、自分が所有するどのデバイスを充電したいのかを考えて購入しましょう。
充電回数や給電するデバイスを考えてバッテリー容量を決める
USB Power Delivery対応モバイルバッテリーを購入する場合、通常のモバイルバッテリーよりも容量の選定が重要になります。それは、人によって給電させたいデバイスの種類が異なるため、「スマートフォンだけ充電できればいい」とは限らないからです。USB Power Delivery対応モバイルバッテリーだからといって、すべての製品が大容量なわけではありません。必要な容量を持った製品を選びましょう。
最大電力に注意して急速充電ができるかどうかを確認する
急速充電できるかどうかは、給電できる最大電力に左右されます。例えば、iPhoneをはじめとするスマートフォンでは問題ありませんが、ノートPCなどに給電する場合は注意が必要です。そこで、USB Power Delivery対応モバイルバッテリーを購入する場合、必ず給電したいデバイスに必要な電力を調べておきましょう。
おすすめのPD対応モバイルバッテリーは?
これまで解説してきたことを踏まえて、エレコム製のおすすめのモバイルバッテリーをご紹介しましょう。スマートフォン向けとノートPC向けそれぞれで、おすすめの製品は異なります。
スマートフォン向けPD対応モバイルバッテリー「DE-C28-10000シリーズ」
エレコム製のスマートフォン向けUSB Power Delivery(PD)対応モバイルバッテリーとしては、「DE-C28-10000シリーズ」がおすすめです。DE-C28-10000シリーズは、USB Power Deliveryに対応した容量10,000mAhのモバイルバッテリーで、USB AポートとType-Cポートの2ポートを搭載。合計20Wの出力が可能です。
ノートPCなどを充電するには若干パワー不足ですが、スマートフォンや携帯ゲーム機などに充電するには十分でしょう。
ノートPCを充電するなら「DE-C33L-20000BK」
スマートフォンや携帯ゲーム機だけでなく、ノートPCにも給電したいのであれば、20100mAhの容量を持つモバイルバッテリー「DE-C33L-20000BK」がおすすめです。DE-C33L-20000BKは、45W出力以下のUSB Power Delivery対応機器と他の機器を超高速で2台同時充電可能なモバイルバッテリーです。
また、「低電流モード」も搭載しておりますので、Bluetoothヘッドセットのような小型電子機器であっても、最適な電流で充電することが可能です。
いざというときも見据えてモバイルバッテリーを選定しよう

USB Power Delivery(PD)対応モバイルバッテリーのメリットは知っていても、外出先でノートPCに充電する必要がない人なら、「通常のモバイルバッテリーで十分」と思うかもしれません。それも間違いではありませんが、USB Power Deliveryのメリットは、さまざまな電子機器に充電ができることです。
USB Power Deliveryに対応したモバイルバッテリーなら、万が一の災害時にはノートPCを充電できる場合があります。せっかく購入するなら災害時なども見据えて、モバイルバッテリーを選定するのもひとつの考え方といえるでしょう。